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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
6章 遺失記録:8/30~8/32

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’11年8月30日12:21  東京都江東区有明3丁目11-1 東京ビッグサイト構内:5号スタッフルーム

 墨帖さんとツーショットを撮ったりした後、いつの間にかお昼になっていた。休憩時間になったので、シャワールームで汗を流してから、私服に着替える。裏方の人が休憩するブースに入って、先に待っていた佐藤さんのところに向かった。


「おつかれさま! お弁当届いてるわよ」

「ありがとうございます! いただきます」


 そんなに人数がいないからか、本社のある場所がちょっと遠いからか、先方が仕出しのお弁当を用意してくれていた。盛夏とまでは言えないけど、かなり暑い時期だ。みんなが自分で持ってきたお弁当の方は、衛生面がちょっと心配だから、ここまでしてくれているのだろう。


「あら、これけっこういいお値段するお弁当ね。二千円以上するわよこれ」

「二千円!?」

「東京ですからね。きっと、よいものなのでしょう」

「に、にせんえん……」


 コンビニ弁当は買ったこともないけど、たぶん千円もしないし、ファミレスで二千円食べることもあんまりない。ちょっと金銭感覚の限界が庶民すぎて、あんまり想像できなかった。


「ささ、水分補給はしてたでしょうけど、ちゃんとお茶も飲んで。ちゃんと時間をずらして休憩してるから、イベントの方も大丈夫よ」

「消化にも水は使いますものね。では、ありがたく」


 四角いえんじ色の箱を開けると、なんだか知らない料理がみっちり詰まっていた。ファミレスでいっぱい食べるよりちょっと高いくらいの金額が、と考えてみるけど、実際に何なのかよくわからない何かを口に運ぶと、けっこう美味しい。和食みたいだけど、食材からぜんぜん分からなかった。香り的に柚子っぽいなとか、そういうことしかわからない。


「不思議そうな顔してるわね」

「いやー、これ何なのかなって……佐藤さん、わかりますか?」

「ぜんぜん。自炊も適当だし、外食もほぼ洋食ばっかりだもの」

「わたくしも、あまり」


 いちばん知っていそうなレーネがダメだったので、全滅だった。結局、ウナギが真ん中に入っただし巻き卵が「う巻き」というらしい、ということだけ分かって、でも冷めても美味しかったお弁当を食べ終わった。


「ごちそうさまでした。美味しかったー!」

「コミケ時代からの取引先みたいね。いいところだわ、東京に行ったらちゃんと食べに行きましょうか……」

「とても良いお仕事でしたね……ごちそうさまでした」

「バイトさんにも人気だった、ってちゃんと言っとくわね」


 微笑ましげに眺める佐藤さんに見守られつつ、いっしょに休憩を終える。




「午後からはいちおうフリータイムよ。前半がきつすぎたから、後半はふつうににごフェスを楽しんでいってもらうことになってるの。ごめんね、お渡し会三時間にパフォーマンス五分、大変だったでしょう」

「この日のために体力づくりはしてましたけど……想像以上に、夏がやばいです」

「でしょう。大事を取って、涼しめのところを歩いて、水分補給もしっかりね。レーネちゃんもね」

「はい、かしこまりました」


 ずっと付き添っていてくれたレーネは、けっこう汗をかいたりじっと耐えたりしている時間が長かった。めちゃくちゃに動き回ってはいないけど、私以上に消耗しているかもしれない。


「それに、日本最大のオタクの祭典だものね……みんなに楽しんでほしい。これは私個人の意見だけど、提案として受け入れられたわ」

「いいんですね」

「どんな関わり方でも、ここにいてくれるあなたたちには……ここの、この祭典の良さを少しでも伝えたいの。ことばで言うのもいいけど、目で見て感じることに勝る体験はないと思うから。ね?」

「たしかにですねー……言葉のパフォーマンスしなくても、みんな喜んでくれるし」


 レーネも、ほとんど相槌を打つだけだけど、どこかそわそわしている。


「ここには、たくさんの識者が自らまとめた情報を本にしているところがあるとか。祖父の流派が載った本もあるでしょうか」

「武術の本ね。地図でいうとこのあたりかしら」

「じゃあ、私は『スペクトラ』とか『大選隊』とか見たいです」

「特撮? 自作のスーツで来てる人もいるから、コスプレブースに言ってみるといいわ。『カメン』シリーズがいちばん人気だけど、スペクトラはいるかも」


 本はここかしら、と地図に印をつけてもらった。


「いちおう試し読みもできるけど、じっくりは読まないこと。一期一会だから、内容が好みかどうかは……作者の傾向とか知ってるヤツがいればいちばんいいんだけど。難しいわね、オタク・チュートリアルは……」


 頭を悩ませている佐藤さんにお礼を言いつつ、私とレーネは連れ立って、まず本の試し読みブースに向かうことにした。

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