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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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224 女子(骨)も三日会わざれば刮目しちゃうくらい変わる

 どうぞ。

 最近はほとんどフィエルでばかりログインしていたけど、プロミナの方はちょこちょこログインするだけで、ほったらかしにしていた。最初にかなりレベルが上がったから、そこまで取り残されてもいない。


「よう、久々じゃないの。いろいろ勝手に進めさせてもらってるよ」

「シシィ!? だいぶ変わったね?」

「そりゃあんた、アンデッドには人の形なんて関係ないんだから。いじり倒してナンボさ、勉強にもなったしね」

「なんていうか、動かせるんだね……」


 腕が四本に増えていて、尻尾も生えて、前後両方に生えた頭がドラゴンの頭骨になっている。名前を見ると「キメラスケルトン・サージァン(外科医)」となっていた。


「よく見りゃ、この、肩甲骨ってのかい? これって背骨やらあばらと腕をつなぐためにあるんだろ。そいつの形さえ変えちまえば、腕も増やせるって寸法になるね」

「すごいこと考えるなー。尻尾と頭は?」

「人間は機能が少ないからね、増やしたのさ。炎を吐いたり、ぶっ叩いたり。あんたの仲間が譲ってくれたんだよ」

「え、聞いてないけど。そうだったんだね……?」


 話をしながらも腕は動いていて、調合したり加熱したりと忙しく何かを作っている。


「何してるの?」

「あんたはポーションを山ほど作ってただろ。あんたがいない時間も、必要になるだろうと思って作っといたんだよ。さすがに、あの飴玉は作れないけどね」

「あれはジョブスキルだもんね。ありがと、シシィ。みんなにも渡したりしてる?」

「ああ。あたしもだんだん、上手く作れるようになってきてね……ギルドのために、ちょっと小銭稼ぎしたりもしてるよ」

「ゆ、有能……!」

「あんたみたいな放蕩者は、よく相手にしてたからね。あたしらがしっかりしなきゃ」


 さらっと流されてしまった。なんだかヒモ男がお世話されてるみたいに聞こえてしまうから、ちょっとくらいは自重した方がいいのかもしれない。


「それに、あんたの名前さえ出しゃあどこでも商売させてくれるし、手を出そうってバカもいないからねえ。あんた相当手広くやってるね」

「あ、あはは……四大ギルドと全部つながりあるし。正教会にも顔が……や、顔が利くんじゃなくて覚えられてるっていうのかなー、あれ」


 ゾミアさんには「早く借金を返しなさい」とは言われつつも、「苦難があるのなら正教会に頼ってもよいのですよ」とも言ってもらえている。ほかのゲームで言うところのNPC連れ歩き許可だ、とアンナは言っていた。


「今日は悪魔の貴族とお食事してきたんだー。いつも呼び出してるから」

「悪魔ねえ……あたしが見た悪魔は、どいつもこいつも小さいガキみたいな弱いやつばっかしだったけど。あんたが頼るなら、強いんだろうね」


 最初は、道化っぽいことを何だってやってみよう、くらいの感覚で〈サー・プライズ〉を使ってみた覚えがある。ちゃんと強くて成長もするから、飼わなくてもいいのに契約できる、ほぼテイムモンスターみたいに思っていた。……というには、あっち側に優位がありすぎる気がするけど。


「今のところ、シシィが必要そうな……病毒系? のモンスター、出てきてないかな。どこかにいたの?」

「昔のスライムは、どろっと濁って薄気味悪い色しててね、病気ばら撒いてたもんだよ。今は違うんだろ? 正教会も相当がんばったんだね」

「あー、浄化とかってあっちの仕事だもんね」

「なんだったか、すごい病気がどっかから見つかってね。あっという間に広まって、街が全滅したとこにスライムが人を食って、ゾンビも湧いて。すごい時代だったよ」


 ぜんぜんヒントがないからどこかは分からないけど、たぶんタウルヴァンス大陸の方の歴史なのだろう。もと海賊(?)だから、あちこちの噂を知っている。そういうところでも、シシィは頼りになる仲間だった。


「あれっ、そういや……「疫毒の偽神」は封印されたまんまだった気がするけど。イグネトラにはもう行ったのかい?」

「どこだろ。ハイムノアには行ったんだけど」

「どこだいハイムノアって。ヒューモリコスは?」

「地形とか変わったんじゃないかなー……あっそうだ、シシィは大陸に魔王虫が出たのは知ってる? フェルニコラズって街、滅びてたよ」


 息を呑む、という言葉が……ガイコツにはのども肺も気管もないのに、生前のしぐさを再現したかのように、彼女はそうした。


「魔王虫なんて……あたしが生きてた時代にも伝説だったヤツじゃないか。あんたのことだから、倒したんだろうけどさ」

「倒したけど、すっごい強かったよ。クワガタも強かったんだけど……歩いてるだけで地面が削れて、谷になっちゃったみたいだし」

「そうかい。魚が美味い港町だったんだけど、……ま、時代が移れば滅びも訪れるもんかね。あの歌を歌う幽霊でもいたら、さっさと祓ってやんな。おかしなことはせずにね」

「心配しなくても、〈呪術師〉だからって人の霊は使わないよー。方法知らないし、知りたくもないし」


 そういう方法もあるみたいだけど、私は「呪わない呪術師」をコンセプトにしてやっている。というより、デメリットを踏み倒して高速レベルアップ、なんてことができる方法を見つけてしまったし、そのためには呪いを使わなくていいことが分かったから、そっちで進めている。


 効率が良くても嫌なことはあるから、人を化け物に変えて使おうだなんてことは思っていない。言わなくても分かってくれたのか、シシィは「じゃ、好きなだけ持って行きな」とポーションの棚を指す。


「これだけあれば、どんな化け物にも勝てるだろうさ」

「タウルヴァンス大陸」


 ある歴史学者の言によれば「もっとも愚かな天才が多かった場所」。温帯~寒帯あたりの気候を擁する大陸であり、資源に恵まれた肥沃な大地が広がってい……たのは三千年ほど前の話で、後先を考えない超技術を使った結果の人災に立て続けに見舞われ、人の住める場所はほとんどない。本編中に出てくるハイムノアは比較的厳しい方だが、砂漠にほとんど人がいない時点で何かあるのは間違いない。


 偽神を召喚して敵を攻めるという戦法が発案された時代があり、土地を治めるヌシのようなモンスターがいた場所で何度も実行された。その結果として、勝利した方が手に負えない状態となり、封印するしかなくなるという分かりきった結果が再演され続けた。偽神と融合して英雄となったものも厄災に転じたり、聖遺物が失われたりといった結果が出たことを鑑みて、技術者たちは処刑、資料をすべて焚書にすることで食い止められたとされている。


 なお、偽神が封印された座標や、その後に起きた異変についても資料が失われており、大陸自体がどうしようもない厄ネタの宝庫となってしまっている。

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