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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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223 ごはんですよー!(魔界への扉)

 どうぞ。

 エーベルの露店街に行って、グレリーさんに場所を聞いて、オヤジさんに問い合わせてといろいろ済ませて――まるっと一時間以上を準備に費やして、特技を使う。


「〈サー・プライズ〉!」

『今日はずいぶんと……おや?』

「言ってたでしょ、ごはん食べようって。だから、用意してもらったよー」

『ははは、オードブルだったのか。では遠慮なくいただこう』


 前に「スヰートパレヱド」の活動に参加したとき、打ち上げに連れて行ってもらった酒場だ。いろんな技術を身に付けた、いちばん信頼できる料理人さんのいるところだった。余った食材は売り払ってお金に変えて、サーといっしょに食べるごちそうをずらずらっと並べてもらった。


 あのときの宴会よりもすごい、山のように並んだごちそうを見て、サーは『うーん、どれから食べようかな』と楽しげに笑っている。


「ふつうのやつは、悪魔を使役するのにメシなんぞやらねえもんだがね。ハットを使うだけのことはある」

『人がそうやって怠けるから、呼び出せる悪魔の質も下がるのさ。カード一枚、肉ひときれ。それでどれほどの人材が手に入るんだい?』

「言ってるこたァごもっともだがね、それで呼び出せちまうあんたらも悪いってもんだ」

『ふふふふ、それもそうか。末端の悪魔には、盟約も何もないからねえ……』


 悪魔召喚の仕組みは、「ハット」という武器に限ってはかなり省略されていて、何かを投げ入れればそれが欲しい、受け取った悪魔が出てくるようになっている。以前に「コストゲー」……コストを注ぎ込むほどいい結果が手に入る、と言っている人がいた通り、悪魔を呼び出すときの強さも投げ入れるものの品質に関係があるようだ。


「ちゃんとごはん食べてないと、強くなれませんからねー」

『まったくその通りだよ。よい人材のためにはよいものを。君も……礼を尽くしたというよりは、何をそこまでと私に思わせたのが勝ちだったんだがね』

「長いこと食べ物あげてなくてごめんね……」

『なに、いつもはエネルギーを直接食べているから、問題はないよ。料理というものを見下すやつもいるが、いや、なんともいいものじゃないか』

「肉はあとで食うのか。冷めてたらあっため直してやっから言えよ」


 助かるよ、と魚料理を食べている。ちゃんと食器も使っていて、ちょっとびっくりした。


『私とて貴族なんだから、カトラリーの類は使うよ』

「え、でもこの前のお弁当は……」

『食器が付いていなかったら、そういうものだと思うじゃないか』

「文化に合わせてくれてたんだね……ごめんね」


 フィンガーボウルだったか、「相手の知っている文化に合わせて行動してくれる貴族」は、ゲーム世界にもちゃんといるらしい。


「サー、魔界ってどんな感じなの?」

『うん? 君たちの言う「外なる世界」のひとつだから、おいそれとは来られないよ。それに、来たって面白いところは何ひとつない』

「貴族がいるのに?」

『魂ばかりが漂う世界だから、みんな体を欲しがって人と契約したがる。だけれど、生き物は強いしモノに入り込むのも難しいからねえ』


 魂だけでもきっちり存在を保っているサーは、かなり上位の悪魔らしかった。そんなことを言いながら、超ハイペースでたくさんの料理を平らげていく。添え物っぽい野菜も食べて『こりゃいいね』とばりばりやっているので、オヤジさんもにっこにこだ。


『そういえば最近、魔界からそっちに行く魂が多いんだけど、何か知らないかい? あんまり戻っていないようだけど、悪魔使いの噂を聞いたことはないかな』

「え? お盆……は過ぎたし、こっちだと風習ないかー。なんだろうね」

『魔界から悪魔を連れていくとなると、ハーメルンの逆だねえ。面白いが』

「笑ってる場合じゃないよー、大悪魔とか出てきたらどうするの」


 笑ってはいない、とサーはゾッとするほど冷え切った声で言った。


『これは、魔界貴族への挑戦とすら言える。君たちはただ強いものを魔王だなんだと呼んでいるようだが……領地を荒らすようなら、彼は顕現する』

「何かないか、調べてみるね。サーとまともに戦える人もいないんだし」

『頼んだよ。さて、そろそろ時間だな……お土産を包んでくれないかい、オヤジどの』

「おう、きちんと作っといたぜ。酒は飲むか? 口に合うか分からんが」


 サーは『これはありがたい』とまるで友達に話しかけるような声音で笑った。


『毎度ここに行きたい、とは言わないが……ここはいい店だね。ほかの【愚者】も、いやでないなら同席してくれて構わないよ』

「だはははっ! 悪魔とメシ食えるほどキモの太ぇやつはなかなかいないぜ。こいつの知り合いなら、とは思うが……まあいいや、また呼んでみる」

『では、失礼するよ。こちらのみんなによろしく』

「またね、サー」


 ふうっと消えて魔界に帰っていったサーを見送って、オヤジさんと顔を見合わせる。


「ずいぶんな食いっぷりだったな。あれだけの健啖家は、人間でもなかなかいねぇぞ」

「悪魔だからじゃないですか?」

「違いねえな。さて、いつものバイトも追っ払ったから、後片付けは手伝ってもらうぞ」

「はい、ぜひ!」


 臨時のアルバイトとして、私は酒場の後片付けを手伝った。

 アンナとお母さんのお風呂回にしようと思ったんですが、内容が良くないのでやめました。次への前フリも進めていきたいし。

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