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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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222/249

222 一人だとつい考え込む時間になる

 どうぞ。

 今日は、アンナはお母さんとお風呂に入る日だった。自分が一人になっている――プラスチック製のすりガラスの向こうからは、料理の音がわずかにくぐもって聞こえた。鏡に映ったしっかりした肩が、少しだけ恥ずかしく思えた。


 生成りのキャミソールを腰からくっと持ち上げて、しゅるりと脱ぐ。若芽色のブラがあらわになって、けっこう大きい胸と、ふんわり白い谷間が底まで見えた。新体操選手はそんなに日光を浴びないから、肌は地の色まんまになる。顔はメイクするけど、肌の色はわりとそのまんまだ。


(あの人は、細い肩の方が好きだったりとか……なのかな)


 新体操選手は、上半身をめっちゃくちゃ鍛えているから、肩回りがかなりしっかりしている。成長期に現役でやっていた私は、けっこうがっしりした肩だった。腕の筋肉はそこまできっちり付いてはいないけど、骨格がいかつい。女っぽくない、とまではいかないけど、ちょっとだけ気になっていた。


 別にそんなことはなさそうだけど、ホウイさんといっしょにいたアヤコさんはそうだったから、妙な考えが湧いてきていた。フィッシュテールをするっと抜いて、薄手のスパッツを脱ぐと、ブラと同じ色のショーツがあった。


 誰も使っていないから半分くらい倉庫と化しているけど、あそこには男子更衣室がちゃんとある。それに、あの人は欲に任せて押し入ってくるような人じゃないから、万が一にだって見られることはない、のに……なぜか、見られたらどうなるんだろう、と思ってしまった。


 誰の声もないから、自分の鼓動だけがひたすらに大きく聞こえた。


 ブラのホックを外して肩から抜き、洗濯ネットに入れる。ショーツを脱ごうとしたけど、妙に肌にべったりくっついていて、へんな形に丸まってしまった。そして、ねばついた気持ちが目に入った――できるだけマネキンが着てでもいそうな形に整えてから、洗濯ネットといっしょに洗濯機に投げ込む。ヘアゴムそのままで帰ってくればよかったなー、と思いつつ髪をまとめた。


 浴室の扉を開けると、ただ真っ白な体が大きな鏡に映った。レオタードを着る都合上、ぜんぶ脱毛してしまっているから、ほんとうに白い。体型は違うけど、アニメなんかで見るただ真っ白な体に似ている気がした。ざあっとかけ湯をすると、肌を覆っていた汗が流れていくような感覚があって、とても心地よい。


「髪は明日でいっかー……」


 石鹸を泡立てて、体を洗う。太ももも背中も、首すじも足の裏も。面積が大きい小さい関係なく、しゅりしゅりと洗っていった。どこかネトついているような感覚があった全身へ、つるっと滑らかにお湯が流れていく。


 見せる相手がいくらでもいるはずなのに、これまで考えてもいなかった……「どう思われるか」が考えの内に入り込んできて、くさびのようにがっしりと、ちっとも抜けてくれない。動こうともしない意識が、真夏のお風呂場にも負けないくらいの、妙な湿度と熱を帯びた吐息になって出てきた。


 湯船に浸かると、いつも二人で入っているからか、水面が妙に低く感じる。肩までしっかり浸かろうとすると、なんだかおっぱいが妙に軽く持ち上がった。そういえば浮くんだっけ、とアンナのおっぱいの浮き具合を思い返す。これで豪華客船の沈没から生存間違いなしだぜー、とふざけていたのを思い出して、ちょっとだけ笑いが漏れた。


「ん。女の人って、こういう体勢で――」


 口まで沈んで、自分の言葉を閉じた。


(でも、私もう大学生だし。……あの人は、どういう気なんだろ)


 そういう目線で見てもいる、とは思うけど……もうちょっとだけ、違う考えもある気がした。あの人には、いい人でいるだけではないプラスワンがある、ように思える。


「んむぅ……」


 できるだけ頭に血を回すようにしているのに、ちっともそうはならなかった。じんわりと甘くて熱い感覚が、どうしても抜けてくれない。湯船から上がって、鏡を見る。


「ん、と。こうだっけ……」


 薬指をくちびるに当てて、ルージュのように撫でる。ぷるりと灯りを照り返すそれは、どんな言葉でも届けられそうだった。


「あっ、目……!」


 右目が――いつもはこげ茶色の瞳が、紫色に輝いていた。

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