表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

221/243

221 どうしてここでラブコメを始めるんですか?(逃走)

 総ポイント数が810を突破しました。や っ た ぜ(大迫真)。ちなみにPVは114670、祝福を予定していた数字も突破しております。あぁ^~たまらねえぜ。いつも応援ありがとうございます。


 では、どうぞ。

 だんっ、と跳んだ体がバーに着地する。たった数センチの幅しかない舞台に、役者が降り立った――チョコレートアイスみたいに甘くて滑らかな旋律に、女神のように美しい身体がしなやかに舞い踊る。何かを求めあえぐような指の動きの隅々まで、なまめかしい曲線が揺らぐたび、美という脈流が行き渡っているのを感じた。


 とんでもない難易度の技を連発し、途切れずに跳び、回る。息を呑むほど美しいその演技は、本場のプロに勝るとも劣らないほどのものだった。これが銀メダリストか、とひとつ息をついた瞬間に、くるりと跳んだ彼女は見事な着地を見せた。


 銀細工のような模様がデコルテに施され、濃い紫と赤紫の二色が上半身、あばらから腰あたりまで斜めに切り込んでいる。フレッシュな黄緑の一本線を境界にして、お腹あたりからおへそ、さらに下はすべて純白。ここ「まきしおスポーツクラブ」の新しいレオタードに身を包んだ彼女は、ほんのりと薄い微笑みを浮かべた。


「どうだった?」

「すっごく綺麗だった。ほんとに、息も忘れちゃうくらい……」


 烏野曖音(うの・あいね)――‘08年度オリンピック、新体操・平均台の銀メダリスト。大きな肩書に見合うだけのテレビ映えのする受け答えもできるし、競技への熱意は私が知っている誰にも負けないと確信している。


 ……けど、メイクを落とした顔はあどけない表情をとることが多いし、けっこうキツめの下ネタなんかも言うし、カラオケに行くと微妙に歌うのが下手だったりもする。そういう色んなところがある彼女にいちばん近いのは、たぶん海野コーチだろう。スポーツクラブに復帰してから何度か出くわして、話す機会があったから、お互いの目標のことや墨帖さんのことも知っていた。


 何か用事があって来たのか、墨帖さんがこちらに歩いてくる。


「あ、来たよカレシさん」

「別に付き合ってるとかじゃないんだけど……」

「あれだけ女の顔してるくせに。はよざこざこスプリンクラーしちゃえ」

「うるせー、右手フレミングしてるがいーぜー」


 私もうカレシいるしー、と子供みたいなことを言い出すので「もしもし週刊オーディですかー?」とこっちも乗ってふざける。


「あでも、いいなってヤツはいるの。墨帖さんほどでっかい人じゃないけど」

「僕はそれほど背丈がありませんが。文脈から察するに、股間の話ですか?」


 どうやら話は聞かれていたようだった。しかも、スラング混じりなのに意味を把握されている。照れ隠しも混じりつつ、なんとかごまかす。


「うわー」

「うわひど」

「どうして急にはしごを外すんですか!?」

「そこはスラングで言いましょうよー……」


 勉強中ですので、とあくまで真面目に言っている。


「新デザイン、無事に完成したようで何よりです。こうしてみても、美しい」

「照れずに言えるのすごいよね。ほれ、アカネもかわいいよ」

「どうですかー? 見慣れてますか」

「いえ。新鮮な驚きもあり、安心感もあり。とても綺麗ですよ」


 ふふん、と誇ってみせたけど、顔が熱い。


「前と同じ、上下で色が違うようですが……色の配置がアヤメのようで、とてもセンスがいい。世界の舞台にも、これで立つんですね」

「大学はちょい遠めのとこに行ってるけど、そっちは進路のためだから。小っちゃいときからずっとここで、コーチ変えるとか考えられないの」


 他の県にも体操教室はあるし、ここのスポンサー企業の「墨帖繊維工業」もギリギリ隣の県に入ったところを本拠地にしている。曖音がほかに拠点を移す可能性は高かったし、そっちの方が都合が良かったんだろうけど……こういう、ちょっと子供みたいな理由で、彼女はここに在籍し続けていた。


「そろそろアカネが発火しちゃうから、視線外したげて?」

「ああ、すみません。そういえば、平服のあなたを見ていなかったなと思いまして」

「へいっ!?」

「女将ぃ、やってるかい」


 曖音のおへそをぷすっと突いて「にゅへっふ」と口から空気と力を抜きつつ、「おやー、それって」とできるだけ平静を保つ。


「なんですかー、デートのお誘いとか?」

「んっ? ……ああ、まあ……、そうかも、しれませんね」

「せんせー、アカネがラブコメしてるー!」

「他人事だと思ってー……」


 楽しいことを予期するような顔ではなくて、何かもっと重要な用事がありそうな、妙な顔をしていた。がんばって話題を逸らす。


「にごフェスでも、このくらいアツい視線くださいねー。できれば声援も!」

「もちろんです。案内役も連れて行きますから、お手柔らかに」

「アカネもすっかり、うちの看板勤められる器になったなぁ。応援してるね」

「来てくれてもいいんだよ? ちょっと新幹線乗るけど」


 遠いってー、と苦笑しているけど、「できるだけ行くね」ときゅっと手を握っている。


「ああ、揺城さん。僕が……、あなたに興味があるのは、本当のことですよ。いずれまた、機会をいただければと思っています」

「また来たときにでも、打ち合わせとかしましょうねー」


 茶化して飲み物を取りに向かうふりでもしないと、うるさすぎる鼓動があの人にまでバレてしまう気がして……私は足早に、水筒を置いてある方に進んだ。

 冒頭のシーンを書くために500本以上の動画を視聴したのですが、あまりうまく表現できませんでした。やっぱ本物には敵わないな……ちなみにですが、いくつか動画を漁ると「あっこれかぁ!」ってなるデザインのレオタードが出てきます。これいいよね的なオマージュを込めています。


 お互いクソザコすぎて素直に言えない恋愛、まあどっちもまともにそれっぽいことしたことないし仕方ない。本作に百合タグが付いている理由は以前説明した通りなので、本筋は異性愛の方面で進んでいきます。女の子同士のべったりねっとりはこれからもあるので、そちらで百合を摂取していただければと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ