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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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220/243

220【おセンシティブ!】全員でフィエルさまに挑みます。【魔王降臨】(7)

 どうぞ。

 一度もそんなこと心配してなかった、と言えばウソになる。


 いくつかある隠しステータスのうち「罪科」は、NPCの好感度や場所への立ち入り条件、一部の特技を受けるときのダメージに影響するらしい。そして、その「一部の特技を受けるときのダメージ」は、罪科の数だけ倍率がかかる。仮にダメージが1だったとしても、今の私の罪科の数値……十二億の倍率がかかって、一発で負ける。


 どうしてそれを狙う人がいなかったのかも、聞いていた。


「一撃免罪バグ……だっけ」

「ええ、そうですわ。苦労して必殺の手段を用意したのに、それが一発でなくなったら? みなさん、それを懸念して使えなかったのです」


 遠距離要員をいっぱい用意して、全員に「審判」系の魔法を撃たせたら、私に何もさせずに倒すことができる。だけど、最近まであったバグで罪科がすべて消えてしまったら、一点突破する方法すらなくなる。チキンレースに参加するかどうかの賭けは、全員不参加でお流れになっていたようだった。


 機械刀とメイスがぶつかり合う。いつもの速度と合わせて、化け物みたいな筋力と恐ろしいくらいの硬さが両立していた。いつもなら、〈座長〉だって弾くことはできなかっただろうけど、〈メガゾード・ブレイドシャーク〉は攻撃力・防御力どちらも高いから、きちんと戦えている。


「速さも、力も。拮抗しているからこそ、超えたくなりますわね」

「私の方が、負けてるはずなんだけどね……!」


 ガギャン、ゴンッと、女の子同士で出ていい感じがしない音が響く。一回でも当たったら終わりの考査は、ほんの小さな焦りで落第になった――いつもなら狙わないような誘いに乗って、剣をぬるっと突き出してしまう。思考が乱れて〈アクセルトリガー〉がコンマ秒単位で遅れたその隙に、光り輝くメイスが入り込んだ。


「っ!」

「らしく、あ」



[感覚をシャットアウトしました]



 決着は、ちょっとだけ納得いかないものだった。






 観客席での反省会は、お互いのギルドがちょっとずつ離れた位置でそれぞれ、ということになった。


「アーカイブで見直しても分かるんだけどぉ……放送事故になっちゃったんだよねぇ」

「なにこれ……」


 たぶん「らしくありませんわね!」と言って殴りかかったのだろう、いちごちゃんがメイスを振るって私に当てた瞬間に、画面が真っ白になって何も映らなくなった。どうやら、配信用のカメラ自体も、ダメージを受けすぎると壊れるようだった。


「外カメラがこれよ。すごいことになったわね、ほんとに」


 すべての拠点が目に入る鳥瞰のカメラには、真っ白い爆発がドーム状に広がって森を焼き尽くし、爆縮を起こしたかと思うと焼け野原だけが残る、もはや何が何なのか分からないくらい凄惨な絵面が写っていた。


 コツコツと聞き覚えのある足音とともに、落ち着いた低い声の言葉が投げかけられる。


「伝えずに突っ走らせた方が、面白くなると思ってな」

「ディリードさん!? どういうことですか?」

「別に頭は悪くない、からな……威力が上がるほど、エフェクトが派手になるのは、分かっていると思っていた」

「もー、十二億倍ですよ? 言ってくれてもいいじゃないですかー」


 もとのダメージがどのくらいだったのかは知らないけど、どうだったにせよものすごい倍率がかかっていた。その威力のエフェクトが、映しただけのカメラもぶっ壊れてしまうような被害をもたらしたのだろう。


「爆発もエンターテインメントだ。俺は楽しめたぞ」

「視聴者さんにお楽しみいただけて光栄ですー。まったくもー……」


 言葉が聞こえていてヒントが揃ったのか、笑っているディリードにちょっと冷たい目線が集まったところで、お互いの反省会がだいたい終わったようだった。いちごちゃんを先頭にして、「NameLLL(ねむる)」の皆さんが歩いてくる。


「宣戦布告、受けていただいてありがとうございました。コメント欄も大盛り上がりで、どちらのファンの皆さまも楽しんでいただけたようで」

「ううん、こちらこそ。ちょっと無茶ぶりすぎるなーとは思ったけど……」


 私に実績があるのはこのゲームの内だけでのことだから、よそで強い人が全員で殴り込んでくるなんて大人げないな、と思ったのは本当だ。でも、いざやってみると期待以上に動けたし、きちんと戦えた。


「あんまりちゃんと魅せられなくて、ごめんね。いつもより、へんにこだわっちゃった。あっでも! 「にごフェス」ではちゃんとやるからね!」

「ええ、ええ。絶対に行きますわ!!」

「わゃう」


「やっぱりわたくし、あなたのことは大好きですわ。……お会いできる日を楽しみにしております」

 真正面からきゅっとハグされて、ちょっと困惑する。アンナにはいつもやっているのに、家族以外とこうしてみると、なんだか照れとも違うへんな感じがあった。


「これからも、よろしくね。私ももっと、ちゃんと強くなるから!」

「いえ、これ以上はちょっと……」


 思わず噴き出したみんなに囲まれながら、戦いは終わった。

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