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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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215【おセンシティブ!】全員でフィエルさまに挑みます。【魔王降臨】(2)

 どうぞ。

 ナイトキャップをかぶった笑顔の月、というデザインの刺青……【賢者】の意志の証は、激しく光った。


 天に掲げた、月光のようにきらめく剣が無数に分裂して、空に浮かび上がる。嵐のような本棚のような、なんだかすごい絵面だ。


「すごく見えるけれど、じつは上限があってね! だから最初に使うのさ!」

「斬り合うんじゃないんですか!?」


 小手調べじゃないか、とルネさんは笑う。


「まさか、数に負けるなんて言わないだろう?」

「あははっ、たしかに!」


 ざああっ、と剣の嵐がやってくる。どこからどんな風にやってくるのかの軌道を見て、だいたいの動きを想定し――パパン、パパンパンパパパンッ、と〈アクセルトリガー〉を合わせた。


 この特技には、「コンボが続く限り、使用後のクールタイムが10%ずつ短縮される」という効果が書かれている。コンボの受付時間は2秒とかなり長いから、0.5秒とあまりにも短いクールタイムはどんどんと短くなっていく。意図しない動きになってしまわないようにセットしないといけなかったり、コストが切れると動きが止まったりもするけど……私にとっては、何の問題にもならないことだった。


 数十か、数百か。一定のパターンでやってくる剣の暴風雨を、ハルバートを叩きつけたり回したり、自分がくるりと回ったりして防ぎ続けた。そしてハルバードを棒高跳びのように使って、ぴょいっと飛び上がる。止めきれなかったサーベルが激突して、着地した私を見上げた。くるりと舞い降りた私は、持ち替えた棒を大薙ぎに回した。


「お、っと! そうだね、キミは持ち替えが早いんだった!」

「ふっはっはー、そうですよー」


 適性がある武器なら、手に持っただけで最強の状態になる。自分でも戦う〈座長〉のパッシブスキルは、すごく強かった。


 人形のドロップアイテムである木の棒を振り回し、やってくる斬撃をくるりと巻き取ったり、ハルバートの影に回り込んで防いだりしてみる。長物と剣は相性が悪いと聞いたことがあるけど、自分に有利なステージを自分で作れれば別だ。


「はははっ、ずいぶんな技巧派じゃないか! 動きも自由、有利も作る……! どこまでもパフォーマーだ!!」

「じゃないと、やっていけませんからね!」


 ルネさんの解は、剣の分身をただ作るだけではなくて、持っている剣の動きに追随して何本かの剣を動かすことも含まれていた。一撃を流せば済むなんてことはなく、腕が何本もある動きよりもはるかに厄介だ。


「人ともモンスターとも違いますよね、この感じ。やっぱり解って不思議です」

「ははは、キミのびっくり箱っぷりに比べれば、大したことはないさ! ボクはそもそも、キミはこういう武術に親しんでいないと思っていたからね」

「あはは……ほぼアシストに頼ってますよ。没入するタイプの動画とかも観ましたけど」

「やっぱり、リアルで体を動かせる人は強いね! こういう慣れも早い!」


 ルネさんが剣を振る動きの速さ、流れ、どんな姿勢でも崩れないそれは、正統派の剣士のようには思えなかった。


「ふふ。ボクの剣術は、叩き上げで磨いたものなんだ……キミも知ってるだろ? VRで戦いが上手い人は、いくつかのタイプに分かれるってこと!」

「正統派と、むちゃくちゃ流と……ゲーマー? でしたよね?」

「そう! そうなのさ」

「じゃあ、ルネさんはどれに当てはまるんですか……?」


 剣道をやっている人が刀の扱いに長けていたり、空手で黒帯の人が拳法でやたら強かったりするのは、VRゲームでもよくあることだ。逆に、触ったこともない剣をぶんぶんでたらめに振り回して、不規則さが読めなくて妙に強い人もいる。もうひとつ、ゲームとして設定された動きをコンマゼロゼロ秒単位で組み立てて実行できる「VR超人」もいて、そういう人もすごく強い。「水銀同盟」にはぜんぶ揃っている、みたいだ。


「ボクにも分からない、かな。けれど、やってみたいことはある! キミというリアルスキル組……究極のプレイヤーのひとりに、一太刀を浴びせたい!!」

「高く買われちゃってますねー……って、あれっ」


 浮遊する剣が消えた瞬間に、ルネさんに変化が現れた。


「はっはっは! 気付いたようだね!」

「意志の証が……なくなってる!?」


 左手の甲にあった刺青が消えている――そんなことがあるなんて、一度も聞いたことがない。


「改めて、自己紹介をしておこう! ボクはルネ・エコー、〈海賊〉にして〈剣鬼〉、そして〈盗賊大首領(ハイアーバンデット)〉……帽子をかぶっているのにも、わけがあるのさ」

「ツノ、……モンスタージョブ……!」


 目深にかぶった貴族風の羽根つき帽子を取ると、そこにはドリルに巻いたロングヘアーと、短いツノがあった。よくよく見れば、左目も妙に赤い。目はキャラメイクかもしれないけど、骨質のツノはジョブで出てきたものだ。


「〈海賊〉は〈盗賊〉〈剣士〉〈船員〉の複合なんだ……キミの〈座長〉みたいにね! そして、キミがどうしたかは知らないけれど、いちばん重なりやすいものを残しておくと、ほかの複合系統職にも手を出せるのさ。亜人系は、人間のジョブとも共鳴できたりする!」


 キミが変身するように、と。どうやら「魂の魔石」らしいものを取り出したルネさんは、それを砕いた。すうっと右目を切り裂くように現れた亀裂は、その意味をはっきりと伝えていた。


「モンスターの解を、使えるんですね……」

「どちらかというと、ハズレだけどね。人のものがコピーできたら強かったんだろうけど……ジョブスキルじゃそうもいかない! けれどこれでいい!」


 ドグンッ、と全身に真紅に輝く血管が浮かび上がる。そしてもうひとつ、こめかみに現れた仮面が光を放ったかと思うと、ドドドッと地面から岩が突き出してきた。


「さあ!! 札を切るんだ、〈ラフィン・ジョーカー〉!!」

盗賊大首領(ハイアーバンデット)


〈盗賊〉〈斥候〉〈指揮官〉の複合上級職。〈指揮官〉は〈兵卒〉からランクアップしなければならないので、実質的には下級・下級・中級を組み合わせなければならない、きわめて複雑な手順でようやくランクアップを成し遂げられる。同系統を含むジョブへの常時発動バフや、場合によってはいっさい罪科を蓄積することなく就くことができること、上級職として見るとやや弱いステータスなどが特徴。


 特筆すべきは、モンスターのもっとも貴重な素材を消費することで、該当するモンスターの解を行使できるジョブスキル〈お前のものは俺のものララ・ラヴ・ラバ・ルル!〉。【愚者】の使う【おもてさかさま情転図(ローリング・ロール)】とは違い、モンスタージョブとして登録されていないモンスターの解も扱うことができる。ステータスや武具がいっさい変化しないため、こちらの方がはるかに使い勝手がよい。

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