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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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213【おセンシティブ!】全員でフィエルさまに挑みます。【魔王降臨】(0)

 珍しく、というかたぶん初のゼロ話。


 どうぞ。

 見ててね、と事前に連絡された通りに、「NameLLL(ねむる)」の面々は「たてわきサフォレちゃんねる あそびばー」の配信開始を待っていた。


「どうして、私の身近な方々は……」

「死んでいく人を見なくていいんだからぁ……少しは、幸いなんじゃないかしら」


 慰めようとしているのか、私もつらいのだと言いたいのか。るるいの言葉は、いちごにとっては痛いものだった。



――「フィエル」と「プロミナ」というキャラクターアカウントを所持している意識体は、完全体のフィノミナでした。“手遅れ”ではありません! 向こう側ですから。

――ただし、なのですが……! あの個体は、本体を侵食して成長したものではないようです。本人の意識が完全に残った状態、かつフィノミナ自体も完全体で現実に干渉できている。

――お考えは分かっています! が、もはやできることはありません。絶対に余計なことをしないでください! わかりましたね?



 バーチャルタレント事務所「NameLLL(ねむる)」は、ほかの事務所とはまた違った秘密を隠している。芸能界と深いつながりを持ち、その闇を引き継ぐ「劇団えむジェムズ」は一般人にも分かりやすい。担当する楽器の偏りで人の取り合いが絶えない「いずれオーケストラ」もまた、察せられる程度には嵐を隠している。最大手の「O-Level」も、大小さまざまにトラブルを抱えており、これまでの歴史にある波乱が消えたとは言えない。


 彼女らの隠している秘密は、そういった現実的なものではない。はっきりと明言したところで、すべてを信じるものも少ないだろう――まさか、事務所創設二十年記念を祝して描かれたプロモーション漫画『キラくるドリーム☆すてらちゃん!』が現実に起きた出来事であり、彼女らが半存在現象的生物「フィノミナ」に立ち向かう戦乙女あるいは魔法少女「フェスト・イヴ」であるなどと、誰が信じようか。


 誘納(いざな)いちごもまた、タレントにして魔法少女であった。フィノミナに浸食されて昂変虹彩(ブルームアイ)を発現し、魔法少女(フェスト・イヴ)「デビル・スプリンター」として覚醒した。原型となったフィノミナの感染源は、両親だった。


「みんな、誰かを亡くしているの。マネージャーの宵待さんもそうよ。“あれ”が人と同居しているだけでも奇跡なの。あれを攻撃しないという決定は、何も間違ってはいない。納得してちょうだい」

「あんたがいちばん悲惨な目に遭ってるのは知ってるわ。私に言わせれば、だから何って感じだけど」

「言い過ぎよ、ソノンちゃん……」

「いい、いちご? 私たちの仕事はふたつあるの。ローテ組んでパトロールしてればいい魔法少女の仕事と、ほとんど毎日やんなきゃいけないタレント業!」


 メタバース「NOVA」での顔は、表情以外はアバターのそれである。逆に言えば、どれだけ美しく作っていても、表情次第では良く見えないということだ――沈み切ったいちごの顔は、タレントが表に出るときのそれではなかった。


「割り切りなさい。今はタレントの仕事をするのよ! 卒業してあっちに専念してる先輩方がいくらでもいるし、威力偵察じゃない、エキシビションをやるの」


 最近のフィノミナの発生傾向としては、超小型のものがときたま湧き出ては、人ではなく情報に打撃を与える程度である。ヒーローショーか、ちょっとした悪夢として片付ける程度で済んでいる以上、とくに注意を払う必要はなかった。


「ほらっ、始まるよ! あの子の見せるものを、ボクらも楽しもうじゃないか!」




 待機状態にあったウィンドウに、少女の顔が大写しになった。


「えっ、え……? フィエルさま、いったい何をしてらっしゃるのでしょう」

『ベッドからこんばんはー、白バニーさんことフィエルだよ。みんながびっくりしないように、先に言っとくことがあってね?』


 いったいどういった理由によるものなのか。髪を下ろして白いシーツに広げ、うっすらと笑みを浮かべて身じろぎする少女は、ひどく艶めかしかった。


『このあいだ、ドラゴンに作ってもらったやつ……「群青のバニースーツ」っていうんだけどね? ちょっと見て。ハイレグすぎて、中にはいてるパンツ見えちゃうんだよー』

「……自爆覚悟の、アーカイブを残さない短いものを一人だけで……?」

「だろうね! レーティングを高めに設定していても、これはダメだ……!」

『と、いうわけでー。ゲノ=メニエフの次の街、「ハイムノア」って場所。治安ちょっと悪いんだけど、えっちな服がいっぱい売ってたんだよね!』


 ほら、と寄せたカメラが、骨盤を超えて深く切れ込んだハイレグの腰あたりを映す。バニースーツであれ、普通の角度なら隠れているはずの深く穿き込むインナーが、見えてしまっている……否、はっきりと見せるために購入したそれを、自信を持って魅せている。


 ほんのりと淡い薄紫色の布地、全体のデザインとしてはいわゆる紐ショーツだろうか。結んだ部分はネットリと濃い高級感のある紫で、部分的に取り付けたレースと、開き始めの花の刺繍があでやかな華を添えていた。見えている面積は横のひも部分だけだが、明らかにその横の部分を見せるために設計された品だ。わざわざ「エッチな服が売っている場所に行った」というだけのことはある。


『見られちゃうのにダサい下着なんてヤだから、しっかり買ってきちゃった。……この配信はアーカイブ残さないでここでいったん切っちゃうから、じっくりは見ないでねー。というわけで、いったんおしまい! 「水銀同盟」のみんなは実況、「NameLLL(ねむる)」の皆さんはライバル! お楽しみに!』


 腰の部分を、主に肌とショーツを中心にして映していたカメラが、くるっと身じろぎしたのに連動して、わずかに動いたショーツだけを最後に途切れる。終了画面に移ったそれを見ながら、ほとんど全員が困惑に包まれていた。


「えっ、パンツ見せただけ……? なの?」

「一分少々で終わってしまったね! だけど、それ以外は何も言っていなかったな……」

「全員投げ出した〈座長〉になったって噂もあるけど、……ああ、実況で言うのね」

「なる、ほど?」


 もとより配信者としての才能は皆無で、視聴者への配慮もまったくないフィエルだが……これほど視聴者を置いてけぼりにした配信もなかっただろう。あまりに稚拙すぎる体たらくに、いちごは思わず吹き出した……そして、気付く。


「ふ、ふふっ。そうですわね。わたくし、気付きましたわ!」

「ああ! キミが自分で答えを見つけるのを、ボクたちはずっと待っていた!」


 彼女たちの知るフィエルは、どこも、何も変わっていない。同居するフィノミナが完全体である以上、あれ以上変化することもない。同じ家に住んでいるというアンナ、あるいは家族が知っているのかもしれない、フィノミナ浸食以前の彼女は……いちごたちの知るところではない。


 銀河に腰かける和装バニーの少女は、フィエルの“正体”ではないのだ。


「宵待さんが言うように……喪失を受け入れることも大事よ。けれど、そうではなくって友達になれるならそれが一番だし……あの子は、何も失ってはいないの」


 二人そろって結婚指輪を売り払った両親が、サッカーボールを蹴るのをやめてパズルばかりやり始めた友達が、引きこもりをやめてバスケ部になった友人が、いた。フィノミナに感染し、意識情報を食われて乗っ取られた結果である。


 フィエルは、そうなってはいない。彼女の意識は、彼女自身のままだ。


「行きましょうか。やっと映せる顔になったわ」

「もう、辛辣なんですから……」


 苦笑するいちごは、ギルドの拠点から歩み出した。

 今回書いてあった情報のほとんどは、本編には関係ありません(たぶん)。まあ6章にはちょっと関わってきますかね……あと与市くん周り? 名前のあるフィノミナ自体ほとんどいないし、名乗れるほどの知能があるやつもほぼいない、そんでもってあっちが主役じゃないのでそのシーンも描かれないので、覚えておいても意味はないと思います……たぶん。アカネがあんまし理解してないゲーム内情報はゲーム内のことだから出てきますが、フィノミナ関連はマジで関係ないから出さないでおきたい。設定集には追加しておきますが、理解してもなんの助けにもならないので、読む必要はありません。

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