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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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210/245

210 いつでも真面目に白バニー(寒さも関係ない)

 どうぞ。

 ぜんぶ捕獲しようと思えばできたはずだけど、魚はともかく、どうやってエビを活〆するのかはぜんぜん知らない。手綱みたいな使い方でムチをきりきり引いて、無限に何もない空間を跳ねていった。


「これなに……なんなんだろ」


 魔法をぶつけてみても、そこまで効いていなかった。もしかしたら、前のオサムシと同じタイプの力があるのかもしれない。


「イヴ、このエビ食べそうなやつってテイムモンスターの中にいないかな!?」

『います。「バイオレントイール」、とても強力ですがたいへん凶暴なウツボです』

「よし、じゃあ召喚する!」

『いえ、とても凶暴で』


 諸注意を聞き逃したみたいだけど、プロミナの方で造ったウツボと同じくらいの、かなり大きなウツボが出てきた。ゆらり、ゆらりと泳ぐ怪物は、海でもただならぬ関係なのか、イセエビをさらに恐れさせたようだった。またびょんびょんと跳ねて逃げようとするけど、視線が圧力に変わって敵を押さえつける。


「ガァーア……」

「ちょっと待った、私は食べられないから!」


 急いで逃げると、頭から丸かじりしてボリンッと噛みちぎり、ひと噛みで瞬殺してしまった。ごっくん、と呑み込んでちょっと満足げにしているので、「あっちにまだいっぱいいるよ」とせめてターゲットを逸らす。


「ゴォーウ」

「いってらっしゃい」


 ごちそうを前にした興奮のせいか、かなりの速度で泳いでいった。全力で走って追いかけ、みんなが巻き込まれないようにアズリとイヴとフウカ・ライガを全員避難させる。ただの食事、戦いにすらなっていない蹂躙劇が十秒くらいで過ぎ去って、ウツボはゆったりした泳ぎをこちらに向けた。


「お、お腹いっぱいになった……?」

「ゴォーウ……」


 魚だから表情は変わらないけど、鼻先でつんと突っついてくるくらいだから、食べようとはしていないみたいだ。地獄みたいな光景が別の意味で地獄に塗り替えられた気もするけど、すごく強い味方がいる、とも捉えられる。これからは好き放題食べられる相手がいるとき、一体だけ出すようにしようと心に誓った。




 いったんゲノ=メニエフに戻ってから、大陸の方をもっと先の街に進むことにした。テイムモンスターみんなの強さはじゅうぶん分かったし、宣戦布告されたからには、見せ場らしい見せ場も作りたい。


「〈座長〉っぽい服も、買っときたいよね……」


 そんなことを考えながら、ふつうのインターネットにつないで「座長 服」で検索してみるけど……そんなに面白くハジケているものはなかった。


「二人はどう思う? って聞いても、かー……」

「ルゥ?」「キュック」


 フウカとライガを呼び出して、イヴはライガに乗せて、私はフウカの方の背中に乗せてもらいつつ、出会った敵はさっと倒してもらう方針で次の街「ハイムノア」へと進んでいる。少し風が出てきていて、大地は砂漠から荒野、荒野よりも雪の森に変わってきていた。もうトカゲではなくてドラゴンになったせいか、二人……二匹とも、とくに寒そうにはしていない。


「イヴ、街のサーチとかできる?」

「イヴは、マスターとのリンクデータを主に参照しています。外部アクセスは苦手としていますので、サーチはできません」

「そっかー。じゃあ、とりあえず進んでみよう」

「マスターの内部情報には、未知のマップデータはありませんでした」


 言われてみれば、それもそうだった。


 雪の積もった森でもすいすい進めるフウカとライガは、キュウキュウとなにごとか鳴きながら歩いていく。確か〈調教師(テイマー)〉の中級職以降だと「モンスターの言葉がわかる」みたいなスキルもあるそうだけど、進化に使って消してしまったのでもう身に付けられない。


 進化に使うのにどれがいちばん良かったのかは、今のところは分からなかった。別に、系統にあるからといって〈道化師〉〈調教師(テイマー)〉〈支援魔術師〉のすべてに就いていなければならない、というわけでもない。いちばん消してよかったのは、もしかしたら〈支援魔術師〉あたりだったのかもしれない……そんなことを思っていたら、急に景色が開けた。


「あっ、街……!」

「かなりの強度の魔法ですね。建材ではないようです」

「ほんとにぜんぶ氷なの? 見た目通りに?」

「どうやら。気温もあって、融けないようですね」


 雪まつりの会場をしっかり作って、常冬だからとかまくらを家にしたような……実際はちゃんとした街だけど、見た目にはそんな印象を受ける街だった。雪と氷で構成されていて、この土地を治める貴族のそれなのか、不思議な紋様が描かれている。城門に近寄ると、いかにも暑そうな赤い鎧の門番さんに止められる。


「旅の道化か? この街にいかな用があって来た」

「旅人です、えっと、旅してる人じゃなくて旅人の方の旅人で」

「……ああ、ラビウム島に来たとかいう。この寒さでそれほど肌を出しているものだから、妖魔か何かだと思ったが」

「すみません、私はこういう服で通してるので……イメージもありますし」


 通称「白バニーさん」だし、未知の場所では本気の戦いをするかもしれないから、装備はいつものバニースーツに戻していた。


「道化が興行をできるようなところは……そうだな、地下の鉱山街の酒場あたりか。あのあたりは金払いのいい連中が集まってるから、儲かるぞ」

「特産品とかってありますか? このあたりの」

「灼銅と熱鉱石くらいだな。地上にいるのはほとんど人形かゴーレムだから、嵐じゃない日でもないと、地上じゃ一ディールも稼げない。今日は……まあ、いつでも地下の方がにぎわってるんだがな」

「ありがとうございます。行ってみますね」


 ちょっとカッコいい鎧だったな、と思いつつ、私は城門をくぐって地下への道を探した。

 食いしん坊さん多いな……なんか美味しそうなものとか服装とか、寒いからこそのやつをいろいろ出したいですね。

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