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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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208 〈フィエル座長〉

 どうぞ。

 海藻のモンスター「おさめおさめウィード」は、たぶんフォルスアンサー(なんか出てくる)系のやつだった。真ん中にぐるぐると丸まった海藻が伸びるたび、お好み焼きに乗せるやつみたいなエビや小魚がどんどこ出てくる。


「多くない……!? 多いよ!」

「問題はありません。個別の戦力はとても低いようです」


 本体に攻撃しても、海藻が切れてアイテムになるだけで、あんまり削れているようには見えない。植物にありがちな感じで、いくらでも伸びてきて、ぜんぜん削れているようには思えなかった。かなり攻撃しているけど、まだまだ元気だ。


「ギャウグ」

「ごめんね、頑張ってくれてるのに」


 とんでもない再生力を誇る海藻は、徐々に大きめのモンスターも召喚してきている。最初はグリルで焼ける魚くらいのサイズだったのに、だんだんフライパンを超えたり一抱え以上のサイズになったりで、今はちゃんとしたモンスターの大きさになっていた。


 だんだんと海藻の数が減ってきて、中心にある籠っぽいものの姿も見え始めている。これならもうすぐ、と思ったのに、にゅるるっと海藻が内側から出てきた。


「もー、〈ウェザーフレア〉まで使ってるのに……!」


 気温操作の魔法は、居場所の温度が強く影響するモンスターや精霊にかなり効く。海の生物は、水温が上がると大ダメージを受け続けて、すぐに逃げ出すかぐったりしてしまう。そういう変化には強いのか、海藻とかごの組み合わせらしい敵は、ぜんぜん弱っていないかった。


「推測ですが、「何かが出てくる箱」という認識に「中身が見えている」という事実を加えることで、さらなる不透明性を加えているのではないでしょうか」

「上げ底みたいな感じ?」

「おそらくは。さらに、上げ底の内側に何かが仕込まれている、ということです」

「凝ったことするなー……」


 ぴしりと割れた海藻は、中の籠ごと割れていた――倒したかと思ったけど、ぎゅるんと反転して開き切り、ゲートのように変わった。


「あれ……おっきいけど、ああいうのもアリなのかな?」

「照合不能。非実在のモンスターです」

「えっ、いいんだ!?」

「マスターも、絵空事を実現できる力をお持ちのはずですが」


 人ひとりが飛び込めそうなゲートから、機械のサメみたいなものが出てくる。長いツノとシャープな形、あちこちに無理やり増設したようなミサイルやビーム砲みたいなパーツ。絶対危ないな、と思ってカードを投げてみると。


「あっ、よかった……」

「マスター、資源としては非常に良いものだったかと思われるのですが……」


 あっさり封印できた。街中でミサイルやビームを撃って暴れ回り、崩れゆくビル群をかき分ける絵柄が写っている。


「でもほら、これもジョブに登録されてるみたいだよ?」

「大舞台で使用されるのですね」


 機械のサメ「メガゾード・ブレイドシャーク」は、なぜかモンスタージョブとして登録されていた。アンナの情報によると、次に【おもてさかさま情転図(ローリング・ロール)】を使うと何かあるらしいから、使うカードは確保しておきたかった。


「それに、ほら! ちょろたちも尻尾振ってるし!」

「おやおや。とてもご機嫌ですね」

「クキュック!」「ルゥーイ、コルックルル」


 両手でなんとか持てていたサイズのちょろたち=「スニーク・ハイリザード」二体は、とうとう進化のときを迎えていた。見ていると、変化が始まる。


 木の上にも登れる、ちょっと狼なんかに近い立体的なシルエットが、もっと大きくなっていく。人間を乗せられるくらいの大きさになったかと思うと、関節のあちこちに鋭いものが突き出して、シャープな体型がもっと鋭くなっていった。小さなツノも生えて、ちょっとカッコいいけどかわいらしさも残した、「ハヤテノミズチ」が誕生する。



[スニーク・ハイリザード が ハヤテノミズチ(風)に進化しました]

[スニーク・ハイリザード が ハヤテノミズチ(雷)に進化しました]



「おー……! これまでセットで呼んじゃってたけど……やっぱり、違いあるよね」


 もともとはホウイさんに対抗するためだけにカードで買ったモンスターだから、そこまで思い入れもないし、性能もきっちり確かめてはいなかった。


「じゃあ、「フウカ」と「ライガ」。これからも、よろしくね」

「キューウ!」「コクック!」


 どちらも白っぽい色だけど、フウカは翠のエフェクトやそよ風をまとっていて、ライガは蒼のスパークや金のたてがみが特徴的だ。いろいろ確かめたいことはあったけど、もうひとつ重要なことがあった。


「これで……やっとだよ!」

「データ照合。平均的なレベルアップやジョブの成長速度と照らし合わせても、非常に長い時間だったようですね。お疲れ様でした」


 ものすごく簡単な「座長を目指せ」というクエストに、クリアアイコンがついた。ちょろたち改めフウカとライガが「ミズチ」、竜の子供になってドラゴンをテイムした扱いになったことで、全種類をコンプリートできたのだ。


「っと、どっちかを差し出してジョブが進化する、んだよね……」



[〈調教師(テイマー)〉を〈座長〉へと進化させます]

[進化に使用したジョブは消滅します。よろしいですか?]



「よし!」


 ボタンを押すと、ステータスウィンドウの中のジョブがしゅわっと消滅し、文字が追加されて……私は〈フィエル座長〉になった。


「やっっっ……たーーっっ!!」


 さっそくジョブを切り替えた私は、ずんずん進んでいった。

〈座長〉

道化師/調教師/支援魔術師系統

ジョブスキル:〈手ひとつ劇場〉〈座長公演〉〈広々ふところ、マントにおサメ?〉

武器適性:

ステッキB/槍B/棒B/ムチA/指揮棒(タクト)A/カードA

基礎耐性:

火C/水C/雷C/土C/風C/氷C/光C/闇C/吸収C

毒D/麻痺B/睡眠S/疾病B/振盪A/精神A/幻惑S/封印B/時間A


 ジョブとしての〈道化師〉の行き先のひとつで、転職条件がもっとも困難であり、ほとんどいないと言われる幻のジョブ。もっとも簡単な〈血濡れ道化師(キラークラウン)〉や、困難ではあるが不可能かと言われるとそうでもない〈夢現霧歩(ドリーマー)〉に比べても別格。武器適性がやや狭まり、状態異常の基礎耐性は一部かなり強化される。ジョブスキルはやりたい放題の公式チートそのものであるため、どれほど困難な道のりでも、目指す意義はあると言えよう。


 自身の武器攻撃とバフ、テイムについて非常に有利に働き、大勢のモンスターを従えながら自分でも戦える、すさまじく強力なジョブ。ステータス自体は〈道化師〉とさほど変わらず、テイムモンスターたちのステータスをある程度加算できる特性がなければ、かなり貧弱な方と言える。また、進化に使ったジョブと同じものは習得できないため、有利な特性が消えることもある。




〈手ひとつ劇場〉

 武器をひとつ装備するごとに「魅惑」が20+最終値10%増加し、すべての攻撃時「魅惑」の数値100%の付加ダメージを与える。装備状態にある適性B以上のすべての武器を適性SSと見なし、特技・バフの効果量を15%増加させる。


〈座長公演〉

 フィールドにいるすべてのテイムモンスターをケージに戻し、さらに本体のステータスへテイムモンスターの全ステータスの10%を加算する。このスキルが発動した次に召喚した一体目のテイムモンスターに「次代のスター!」状態を付与し、本体が獲得したバフと同じバフをすべて与える。


〈広々ふところ、マントにおサメ?〉

 テイム枠のポイントが現在値+600、一体ごとの消費ポイントが10%変換される。この変換されたポイントは1以下にならない。

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