204【重大告知あり】水着ぞ夏の証なりける!【プチ放送事故?】(1)
どうぞ。
満月……ではなく「パーティームーン!!」という謎の月っぽい照明が照らす、デュデットワ近郊の砂浜。時間をかけて掃除された「ミワタリ浜」は、理想的なリゾートっぽい砂浜になっていた。
「どうもみなさんこんパーリィー! 徒歩で来ちゃったとっこでございますよー。すでに始まってしまっておりますが、夏真っ盛り! イベント「花咲く海に願いを浮かべて」、開催中でございます!」
「いやぁ、こんなにも遅れちゃってごめんね……。夏バテとかじゃないんだよぅ」
『こん』『パーリィーってなんだよw』『ばんばー』『合わせてきてるな』『公式インフルエンサーが一日遅れはけっこう意外』『ええんか?』『事前にやれない理由ってなんやったん?』『白バニーさんの目撃情報減ってるのと関係あるんかな』『まあリアル事情もいろいろあるだろうし』『大学はもう考査もレポートも終わっとるやろ』
「ほんとにごめん、予定合わなくて。いろいろ準備すること多くてさー……」
「そう、フィエルさんにも無理をお願いしていたことというのが。これです!!」
ギラギラ輝くテロップの文字が表示される――「水銀同盟、にごフェス出演決定!!!」。
『ファッ!!?!?!?1?』『えええええええええ』『うおおおおおおお』『マ?』『えっそういうことやったん??』『もしkしてブース作ってたんか』『白バニーさんは何するの』『公式ってそういう……』
当日まで一か月と少しになった今日、ようやく明かせる……前にアンナが言っていた、「公式は黙ってるのも仕事のうちだよぉ」という言葉の意味が、とてもよくわかった。
「星見遊戯場株式会社さん、今年も「にごフェス」の企業ブースに出展するんだけど……『ゾディアノーツ』『らいでんめぐり』の二大タイトルに、今年春に出た『ストーミング・アイズ』も並べることになったんだよー。スーパーめでたい!」
『8888888』『8888』『おめ』『実際メデタイ』『あの二大タイトルに並べるのはマジですごいわ』『まだハニバすら来てないのにこの勢いよ』『むしろ二大タイトル未経験者がいるのが驚きや』『↑十年タイトルのネトゲはさすがにしゃーない』『むしろ十年モノが今でもにごフェスに出展できる方が驚きやろ』『ほんとにすごいね』
私はタイトルくらいしか知らなかったけど、ゲーム会社としての「星見遊戯場株式会社」はいくつかのオンラインゲームを運営したり、そこまで有名ではないけど堅実なシリーズ作品を出したりしている、らしい。オンラインのオリジナルタイトルが『ゾディアノーツ』と『らいでんめぐり』で、前者は十年以上も続いている有名作品、と……コメント欄でも言われている。
「で、私がどうして忙しかったか、なんだけどねー。なんと! リアルの私が、グッズのお渡し会とライブパフォーマンスに出演しちゃいます!」
『!!?!??!・??!?!』『えっどういうこと』『???』『キーボード手打ちニキ落ち着けってwww』『リアル出演アリな人やったんか』『新体操できるとは聞いてたけどほんまにやるのん?』『練習で忙しかったのか』
「そうそう、実はしばらく離れてたから、体力づくりと練習でけっこう頑張ってたんだー。衣装合わせも済んで、この! 白バニーさんとほぼ同じ衣装で出るよ!」
「残念ながら、「水銀同盟」全員とまではいかないけどねぇ。私はリアルぜんぜん動けないタイプの人だから」
『普通はそうだと思うんだけど』『逆にライブパフォーマンスできる配信者って何だよw』『バンドできる声優さんはポピュラーやけどね』『顔出しすんなの風潮も4んで久しいしな』『水着グラビアやり出したのは四十年くらい前やったっけ』『↑あれは今でも希少やろ』『社長に看護師にと歴史長いけど顔出しで踊れる人はレアやね』
それこそ、バーチャルタレントという職業が生まれた頃から、リアルスキル組はいた。もとから「顔を出さない人」以外にバーチャル要素はないから、才能は人それぞれ、本当にいろんな人がいた……と、いちごちゃんやアンナから聞いた。
「さすがに、壁に貼り付いたりボールでトランポリンしたりはできないんだけど……。カード投げとか足含めてお手玉とか、いろいろやれるように練習してるよー」
『リアルでやれる人いたら人間じゃねーだろw』『新体操はケガのリスククッソ高いしな』『下駄でお手玉やれる時点でだいぶすごい』『あれ現実でできるのか(困惑)』『カード投げ地味にむずくない?』『無理だけはせんといて』『ほぼ同じって言ってるのはバニー風レオタードってことね』『あーなるほど』
そうそう、とうなずく。
「さて、リアルイベントのお話がだいたい終わりましたところで。皆さんッ! 美少女の水着を観たくはございませんかー!?」
「見たーい!」「アンナ……」
『草』『誰よりも早いのほんま笑う』『手上げんの早すぎだろw』『もはやアマゾン』『一般読モシャウトやめろ』『わりとガチな目してるよね』『マジな方のガチ百合なのがだいぶアレ』『義理の姉妹だからギリ手を出してない感』『お風呂いっしょに入ってるんだよな……』
いろいろなツッコミが入る中で、五人みんなが配布アイテムの水着を選ぶ。
「今回のイベントは、特定マップだと水着で行動することでさまざまなボーナスが入ります。残念ながら、これから街に戻って用意している時間はありませんので……まずは運営さまより配布されたものを身に付けましょう。カメラに幕をしましてー」
何種類かあるタイプを選んで、全員が身に付ける。
「オープン! 皆さん順当ですなー、眼福! のはず!」
とっこは黒のモノキニ、サフォレは白いラッシュガードに黒の競泳水着、レーネは白の競泳水着で、シェリーはホルターネックの紺色のビキニとパレオと布面積多め、いつものベールで当然のように顔を隠していた。私はただ白いビキニで、下はパレオで片足はかなり隠れている。
『思ったよか健全』『これでいいんだよ感』『まあ配布やし』『聖女さまがいつも通りすぎる』『白バニーさんは黒く変わったりするん?w』『ギミックありきに見える病気になってしもた』『※これは配布アイテムです』『そうなんだよなあ』
けっこう種類があっていろいろ選べるから、これだけでもわりと楽しかった。
「無論ですが、装備のランクが高いほど、得られるボーナスは増えますぞー。アイテムドロップやお金の量、モンスターのテイムしやすさやアイテム製作の大成功率も! この機会に、何でもどんどんやってみましょう。転職、そして素早いレベルアップのチャンス!」
「私も転職したいし、頑張らないとねー」
なんて言ったそばから、ものすごい音が聞こえてきた。
「サニー☆フローラル」
『ストーミング・アイズ』初の夏季イベント「花咲く海に願いを浮かべて」で発動する特殊バフ。真夏のうきうき感を演出するアイテムを身に付けることで、さまざまなボーナスが付与される。対象アイテムは装備欄にて「サングラスとハイビスカス」のアイコンが付くため、見分けることはとっても簡単。アイテムのランクと数に応じて天井知らずに上昇するため、期間中には本来できないことができるようになるかも……?




