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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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193【ギルド対抗戦】夜を征服しますわ!!【先輩がたといっしょ♪】(4)

 どうぞ。

 シューク・リイムと相対した「鮮血紅夜」のメンバーが口にした「アマルガムの……」に続く言葉には、いくつかの候補がある。「水銀同盟」傘下であるアマルガム陣営といえば、と道行くプレイヤーに訊けば、返ってくる答えはまず「混沌(カオス)」だろう。


 とりあえずで入れてしまうBPB傘下とTT傘下はまだよいとして、自由を是とするアマルガム陣営は、なぜか傘下に入ったはずのギルドあるいはメンバーの離脱率が高い。最上位に位置する「水銀同盟」の放任が原因か、と問われればそうではない……BPBが傘下ギルドと交流することはほとんどなく、TTはすべてがゆるく繋がってアメーバ状に肥大化している状態である。どちらにせよ、上層部からの指示などない。


(やべぇ、一番のイカレに当たっちまったァ……!)


 パーティーリーダーであるフレイガは、脳内で戦術を組み立てながらも、正直にそう思わざるを得なかった。


 チョコレート色のタキシードに身を包み、エクレアを模した仮面を付けた男「シューク・リイム」。彼は理解不能の文言を口にし、それが理解されずとも発言を続け、急にはしごを外して理性的な語りを始める。意味不明であり、かつ歩み寄っても意味がないという、会話するには最悪の相手だった。


 そして何より――


「こいつは初速ないタイプだ! さっさと……」

「だめですよ」


 平均的な召喚型〈道化師〉であるクリームは、単体ではさして強くもない。そもそも【愚者】も〈道化師〉も打たれ弱さの代表例であり、何かしらの行動を起こす前に仕留めればよい、という発想は間違っていない。しかし、「銘菓ラヴィータ」は四人パーティーである。


 いくつもの魔法の前に、パンッという音が割り込んだ。「萩目こつぶ」という、異様なまでに軽装の前衛――〈踊り子〉にして〈夢魔〉は、パパパパパンッと破裂音を響かせて、すべての攻撃を手のひらで受けた。


「構わず撃て! 手数だ!」


 パッシブスキル〈迷妄離刻(メモリヤ)〉……「自身に向けられた攻撃を、自身のステータスで受けきれる威力まで減衰する」という効果は、本来ならば一撃ごとにしか作用しない。しかしながら、こつぶはモンスタージョブ〈レクストリガー〉で習得できる特技〈アクセルトリガー〉によって、恐るべき速さで拳を繰り出し、すべての攻撃へ受ける寸前の状態にまで接近することができる。最接近状態となった攻撃はすべて威力減衰の対象となり、「きわめて短い頻度で連続した一発ずつの攻撃」と見なされる。


(くそっ、「ザコ受け」なんてエンドコンテンツ専用だろうが……! おまけに〈僧兵〉、あっちも併せてくるとなるといよいよマズい……)


 特技〈忍辱備装〉は、1層につき、付与した本人のHP10%以下のダメージを完全に防ぐ効果を持ち、〈受難献行〉は味方が受ける攻撃を自分に引き寄せる効果がある。つまるところ、こつぶのあまりに脆弱なステータスでも受け止められる程度に減衰された攻撃を、その何倍も頑強なステータスを持つ「ブルーベ・リーパイ」が受け止めるというコンボである。そして、止めきれない攻撃がこつぶに漏れようとも、完全に無力化されるという寸法だ。


 大昔から存在する、RPGにおける古典的なテクニック……ダメージを受ける味方を絞り込んだうえで、カウンターとして与えるダメージを大きくするため、最弱の味方に攻撃を集中させる「ザコ受け」。わざとレベルを上げず、装備を充実させないという選択肢を用意できなければならない、それなりに高い難易度を誇る方策である。


「悪くはない。ないが……これがお前たちのクリームなのか? 俺が何もしなくても終わりそうになっている」

「おいおい、弾は節約させろよ。一発ずつでも重いんだぜ」


 串だんごを撃つピストルというふざけた仮面を付けた男「ダン三式」は、撃つたびにプレイヤーを死亡させていく。その化け物じみた威力は、銃弾が手のひらにすら収まらない長大な五寸釘であることに由来している。


「ははは、冗談だ。少しばかり時間がかかったが……〈サー・プライズ〉」


 使用者によって出てくるものが違うため、その性質を予測することは難しい特技。ただし、彼の扱う悪魔は「影に潜伏し移動や行動を邪魔する」というものである事実は、すでに判明していた。


「光で弾け! 俺も盾を……ぐっ」


 ガギュンッッ、と大盾をも取り落としかねない震動が襲った。


「おーおー、いい盾じゃねえか。結晶弾でも使うか」

「銃の威力じゃないぞ……!!」




 がはは、と笑う男が急に表情を引き締めた。


「おいでなすったかァ。美女が何人も来てくださるってのは、ありがたいもんだね」

「余裕だな、銃の」

「俺たちぁ負けが怖くないもんでな……どうだい、あんたも拝んでみろよ」

「脳みそにクリームを詰めろといった覚えはないんだがな」


 樹が黒い爆発に呑まれて切り株に変わり、翼を畳んだ少女が膝をついてそこへ着地した。金髪のツインテールがはたはたと揺れ、ワインレッドのドレスがゆるりと続く。眼帯には噛みしめた牙のような模様が書き込まれ、腰にはコウモリの翼を模した仮面がある。


 仮面を除けば、それは有名バーチャルタレントの姿そのものだった。


「こんばんは、お揃いのようで何よりだわ。私は籠護(かごもり)ソノン! この世界を緋色に染めにやってきたの。みな、我が軍門に下りなさい」

「おっ、いいなァ。上官が美女ってのは、じつにそそられるシチュエーションじゃあねえか? 映画でも漫画でも山ほど見るもんな」

「なら、すぐに――」

「いやいや、すぐに飲むわけにはいかん」


 誇らしげな笑顔に、ダンは銃を向ける。


「俺たちが宗旨替えするくらい酔わせてくれよ。話はそれからだぜ、レディ」

「ええ、ええ。強くても、ふらふらするだけの根無し草なんていらないわ。まずは優勝、そしてあなたたちの上にいる彼女にも勝つ! 魅せてあげる」


 地響きとともに訪れた「オクトティターン」へは目もくれず、ソノンはカードを取り出した。海を背景に、体をくねらせて泳ぐ竜。


「まさか……!?」

「【おもてさかさま情転図(ローリング・ロール)】」

「サキュバスってキリスト教圏特有のアレだし仏教用語使わなくね?」という疑問が生じたため、〈夢魔〉のパッシブスキルの名前を変えました。ご了承ください。


【愚者】×「カード」の共鳴アビリティである【おもてさかさま情転図(ローリング・ロール)】は、【愚者】の意志であること+カード適性B以上で誰でも使えます。エサ代を考慮してもいっしょに戦った方がのちのちプラスになること、封印カードの取引金額が数万~数百万ディールで使い捨てはもったいなさすぎることで誰も使ってないだけの話。逆に「配信で使ったら映えるから」程度の理由でぽんぽん使うフィエルの方がおかしいんや……まあ使ったら使ったでその先の覚醒はするんですけど。

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