表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/256

192【ギルド対抗戦】夜を征服しますわ!!【先輩がたといっしょ♪】(3)

 どうぞ。

 ギルド対抗戦に費やすコストは、事前にゲーム内通貨で増やすことができる。ある程度の額のディールを支払えば、よりよい材質のより大きな拠点や、それなりの数の攻城兵器を配置できるようになっていた。それらコストは、相手がかけたコストによってある程度までは回収でき、ファイトマネーと合わせればプラスになる可能性もある。


 相手に戦闘行為をさせず、拠点に引きこもって攻めてくる敵を狙うものもある……刀剣を嫌い、それらを破壊する方法を日夜洗練している武器破壊の達人たち「刃亡哭(カタナキ)」は、その代表例である。日本刀の素材である玉鋼の名を冠した陣営に属しつつも、かれらはできうる限り刀剣を手にしない。いわば逆張りのエコーチェンバーであり、これを良いことと考えるにはやや無理がある。


 しかしながら、武器破壊のノウハウは対人戦に非常に役立つ。ごく一部を除いた武器は、壊れることで戦闘能力がほとんどゼロに等しくなり、とても大きな隙を晒すことにつながる。そのため、「刀剣アンチのエコチェン」などと揶揄されつつも、かれらの存在意義自体はないでもないとされ、表立って潰されることはなかった。


「っし、バリスタと銃座はカンペキ。これでまともに近寄れないな」

「空中にも魔法陣と呪符、ありったけ配置しといたぜー。邪道もナシだ」


 拠点同士の撃ち合いになることもあれば、矢や魔法の雨が降り注ぐこともあり、ボールに乗った少女が空中を駆けてくることも想定できる。そういった手段への対策を幾重にも連ねて、かれらはひとまずの安心を得ていた。


 こういった拠点への攻め方のセオリーは、ある程度固まっている。まずは牽制の攻撃をいくつか放ち、釣られて出てきた顔を射貫く。あるいは陣地に仕掛けた罠をすべて食い破り、プレイヤーが出てくるほかない状況を作り出す……どちらにせよ、相手からの攻撃があることは確実だ。それを察知するための呪符であり、それらに反応があればすぐに全体に伝達され、攻撃が起こった方向へとバリスタが撃ち込まれる。ある一点を除いては穴のない、ほとんど完成された作戦だった。


「おっ、来た来た! 十時の方向、呪符に反応アリ!」


 接近あるいは攻撃で爆発する呪符が、いくつも爆発する。人間大の何かが、罠の仕掛けられた地点を通過しようとしたのだ。


「いやちょっと待て、十二時の方向にも……」「こちら八時の方向、呪符が爆発してます!」「四時、呪符に反応!」「六時の方向、派手にやってくれてるぜ」「二時の方角、爆発アリ! 人影は見えない!」


「ちょっと待て、情報整理だ! 包囲殲滅にしたって、見えないやつが見えない攻撃を全方位からなんて無理に決まってるだろ!」


 隠密行動自体はいろいろなスキルで行えることだが、どのギルドも画一化など目指さず、同じジョブで揃えることは非常に珍しい。


「なんだあ、〈ニンジャ〉を二十人くらい揃えてるギルドなんてあったか?」

「ンな対応力ないギルドあるわけないだろ。アマルガムに〈道化師〉ばっかのとこはあったが、あれもサブジョブは違ったはずだぞ」

「こ、攻撃が始まってる! なんだ、あの透明のやつ……!?」

「くそっ、なんでまともに見えない!? とにかく撃て、少しでも戦力を削げ!」


 姿なき襲撃者に、バリスタの巨大な矢が命中したように思われた。恐ろしいほどの衝撃音と矢が激突・消滅したエフェクトが弾けるが、襲撃者が死亡・消滅したエフェクトは出てこない。


「あれで死んでないのか? 威力極振りだぞ!」

「な、なあ……俺らの幻惑耐性ってどんくらいだっけ?」


 蒼ざめた砲手が、外縁のバリスタがあった場所を指さしている。


「俺はBだ。お前は」

「同じだよ。ってことはさ、……あっち側が仕掛けべぼッ」


 砲手が消える――否、つま先だけがぴくぴくとどうにか暴れて、ふわりと光の粒に変わっていった。


「なんだッ、“これ”が……!?」


 体が持ち上がる。〈格闘家〉や〈武道家〉のようなホールドではなく、もっと無機質で機械的、かつ人のそれではないかたちによる行為。すさまじいパワーと柔軟性、いやに生々しいゼラチン質の感触と奇妙な潮臭さ。にゅるりと巻き付いてくるそれは、全身の関節をゆっくりと伸ばし、引きちぎるように力を込めていく。


「人じゃな――」


 ぼりん、ともげた首は言葉を止めて、消滅した。




 道化師系統上位職〈夢現霧歩(ドリーマー)〉は、敵対者の幻惑耐性を2段階下降させるパッシブスキル〈酩酊(アッパ)瑠璃蕾(るりら)(うん)〉を所持している。例として、デフォルト状態で幻惑耐性Sである〈道化師〉であっても、〈夢現霧歩(ドリーマー)〉の前では幻惑耐性がBまで落ちてしまう。そのため、きわめて特殊なジョブ構成をしていない限り、かれらの作り出す幻を偽物だと見抜くことはできない――スキルの射程距離を把握していなければ、の話だが。


「ふふふ。ああ、なんとクリームの詰まった行動だろう! 俺たちはきっと勝てない。だが、これほどの実力者にまみえる栄誉を授かれるとは……!!」


 アマルガム陣営「銘菓ラヴィータ」に所属する〈道化師〉シューク・リイムの目には、その塔の表面が奇妙に揺らいでいる様子が見えていた。まるで、触手の塊のような姿……ちょうど、イニーズ付近にいる「オクトティターン」が、無理やりそれらしい形に身を縮めたかのような。その触手の隙間から、子供あるいは呪物のタコらしきものが飛び出ては、ほかのギルドの拠点に向かう様子も。


「見えているか、ダン?」

「ああ。的が大きいから、どう撃っても当たるぜ。仕掛けるかい」

「見えぬのは某のみか。〈マーカーブレット〉を撃ってもらえれば」

「わたしに任せちゃってください、ちょうど試したかったので!」


 あとひとつ見てからにしよう、とクリームは笑った。


「召喚と幻惑をやっているのは別々だろうが、それでもMPの消費ペースがおかしい。とんでもないペースで補給している仲間がいるのだろう……ただのリソース変換能力じゃあないな。ごあいさつは後だ」


 彼らの道行きには、まだ立ちふさがるものがある。


「さて? クリームの有無は、開かなければ分からない」

「げっ、アマルガムの……!」


 チョコレート色の紳士は、帽子を取って胸に手を当て、大仰に礼をした。


「お見せしよう! この私のクリームを」

 幻惑耐性は高ければ高いほど、幻が偽物だと分かりやすくなります。特技で実体を与えられている場合もそれら攻撃がちょっと軽減できたり。デフォで耐性二段階下げられるのは相当ヤバいんですが、転職クエストも〈座長〉以上にアレ(外なる世界での討伐クエスト)だったりするので、そもそもディリードはなんで情報持ってんの……っていう疑問が先に来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ