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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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191【ギルド対抗戦】夜を征服しますわ!!【先輩がたといっしょ♪】(2)

 どうぞ。

 ギルド対抗戦には、準備フェーズと戦闘フェーズがある。野試合だったエーベル近郊でのそれとは違い、正式ルールでは、時間内に拠点の建築とメンバーの配置という二段階を経る必要があった。カメラが入るのは準備フェーズ終了後、メンバーを全員ひとところに集めていないのも、もはや常識である。


「イニーズの海中部分で出現するモンスターのジョブまで手に入れているのか。あれはあれで、本気のロールプレイ勢……女性側の強者によくあるタイプだな」

「フィエルはんも大別したらアレやもんねえ。それで?」

「装備じゃなくてジョブの力でやってるってことかぁ」

「準備フェーズであれこれやれるジョブって……〈夢現霧歩(ドリーマー)〉とか?」


 ふん、とディリードは鼻を鳴らした。




 玉鋼陣営=BPB旗下ギルドは、強さにそれなりの幅がある。本隊から目をかけられるギルドは、それなり以上の強さと共鳴する思想を持つことが多い。「ディリードさんただのコミュ障説」が広まってからは、彼自身が目を付けたギルドがないことは致し方なしとされるようになったが、認められたいと思うものは少なくない。


「なんか「NameLLL(ねむる)」のやつ来てるらしいぜ」

「大手じゃん。ストリーマーはいいよなあ、別に上手くなくてもちやほやされてさ」

「あるある。見ててイライラすんだよな、お前どんだけ下手なの? っていう」

「あれでカネ取ってるの詐欺だよな。まじイミフ」


 ギルド「ソードカリバー」の半数以上は、ゲーマーとしての自分たちに自負があった。しかし、リサーチや性能評価に心血を注ぐでもなく、身内での駄サイクルに終始している。数々のゲームでそこそこの成績を残している誘納(いざな)いちごも、「けっきょく白バニーさんに負けた」という評価で落ち着いていた。


NameLLL(ねむる)の人たちって、クソ強くなかったっけ……? ちょっと罠仕掛けとこ)


 メンバーからバカにされがちな〈占術師〉の「たるたる相図」は、独断で陣地の周囲に罠を仕掛けた。


「おいタル、さっさと陣地入れよ」

「あっ、ごめん! すぐ入るから……」


 十人を超えるメンバーの中でも、リアルで太っていることをつい漏らしたたるたる相図は「タル」呼ばわりされていた。そんな体型ではないと弁解しても、あまり動かなくてよいジョブやキャラネームを合わせてバカにされ、こいつをイジればとりあえず笑いになる程度の扱いになってしまっていた。


 とはいえ、ゲーム内で階段を登った程度で「息上がってないよな?」と笑われるほど、体力がないわけではない。そこにむっとする程度のプライドはまだ残っていた。切り替えるために、タレントたちの情報を整理する。


(えーっと……占い師、悪魔にコウモリにタコ、月と星……? だっけ。るるいちゃんは枕のCM出たのにクマすごくて「逆宣伝担当」とか言われてたんだ)


 メイスを振るう悪魔、怪盗として敵を翻弄するコウモリ、ペットのタコを愛でるクトゥルフ、月の剣士と星の魔法使い。それらは、バーチャルタレントがどんなゲームでも当人としてロールプレイできるようになった現在、そのまま再現できるものである。


 開戦の合図とともに立ち上がったメンバーたちは、それなりに堅牢に作られた塔の窓から、周囲をざっと見回した。


「ん? このゲーム流れ星あるんだっけ」

「ッ、もう始まってる……!」


 占術師系統のジョブが使う〈ホープフルスター〉、次の一撃の威力を底上げし全属性耐性貫通を付与する、すさまじく強い大技である。


「ヤバいっ、逃げ――」


 視界が白く焼き付き、ギルド「ソードカリバー」は全滅した。




「反則ちゃうのあれ」

「準備は準備だ。効果時間が明記されていないバフなら、事前にかけても問題ない。HPが減らない以外の制約はない」

「ひっどいわぁ……」

「みんなやってる常識じゃん、あれで負ける方が馬鹿だよ」


 武器カテゴリとしての「カード」は、まず色を変えるところから始まる。むしろ、白・黒・青の三種類しか使っていないフィエルの方が異常であって、ふつうなら豆鉄砲をただ飛ばすだけで火力を稼ごうというプレイヤーなどいない。デフォルト状態である白黒以外の赤・青・黄・緑に変えて、それぞれの効果を使い分けるのが常道だ。


(デッキの中身はすべて黄色……バフ用。透明のケースを使って何の意味がある?)


 ゆっくりと歩いている吟子といちごのコンビは、クラスタルから放ったビームで「ソードカリバー」を拠点ごと壊滅させた。それなりに用いられる手段であり、一撃のみダメージを無効化するか、光属性散乱を使って無力化するのが常だが、初参加とあってはカモになるのも当然といったところか。


「それよりもさ。さっきのあの火花、何だと思う?」

「フ、察しがついているなら答えを聞くな……」


 オメガが半笑いで言った言葉を、ディリードは同じく笑いながら切り捨てた。


「性格上、もっとも警戒している場所を真正面から狙うはずだ。そして、あそこに火花が出たということは……」


 次に狙われるのは「刃亡哭(カタナキ)」と「鮮血紅夜」。仕掛け人は籠護(かごもり)ソノン、実行者は魅邪増(みやま)るるい。


(準備フェーズに本気を出しすぎたな。これほどの設備と要塞、壊してくれと言っているようなものだ)


 壊すものは、壊れるものをこそ好む。


「まずはデモンストレーションだ。顧客になるかどうか、見ておくといい」


 ディリードは、カメラを次のものに切り替えた。

「開幕ブッパ」(負けフラグ)


 ギルド対抗戦でちょくちょく用いられるが、別にそんなに強くない戦法。一撃だけ強化できる強いバフを乗せに乗せた大威力魔法を拠点にぶつけ、メンバー全員と拠点を一撃で倒す。……というコンセプトではあるのだが、ボス向けの「一撃だけ無力化」バリアや、耐性を上げにくい属性については「特定の属性減衰」バフを用意されていることが多く、ほぼ光/闇属性で固定されていることもあって、防ぐことはとても簡単。「これで負ける方がアホ」と言われる程度には流行りすぎて、逆に使われていない。また、この戦法を使ったあとは強力なバフを使いすぎてMPが目減りしているため、ギルドひとつを壊滅させようが、確定で自分がカモになる点も大きなリスクといえる。


 自分が結界内に巻き込まれるリスクのある「俺が時を止めた戦法」や、むやみにテイムモンスターを失うリスクのある「レギオン戦法」よりはかなりマシな方。

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