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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
5章 今は一人で歩こうローズ:行き雪疾くほどき

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190/257

190【ギルド対抗戦】夜を征服しますわ!!【先輩がたといっしょ♪】

(2026/1/19 ちょっと間に合わなかったので追加/誤字修正)


 どうぞ。

「最近、白バニーさん出ないよね」

「リアルが忙しいんとちゃうの? 大学生やで」

「そのわりには、期間が長すぎる気がするが……」

「少なくとも、さ。これを撮れ高にしようなんて、ぜったい「水銀同盟」の判断じゃあないよね」


 デュデットワ中央部、闘技場にて――ギルド対抗戦が開かれようとしていた。今回は“アマルガム陣営主催”であり、配信企画でもない。観客席にいる涼花、†究極兵装壱式(アルティマスワン)/桜冥臥(オメガ)†、ディリードの三人は、そもそも参加を打診されてすらいなかった。どういった思惑があるのかではなく、やる気のなさでもなく、企画立案が「水銀同盟」ではないという確信だけがあった。


「まあいいや、話題のあの人の実力ちゃんと見ていこうよ。ディリード、バーチャルタレントとか好きなんじゃないの?」

「……別に、詳しいわけでもない」


 大手事務所……「O-Level」や「NameLLL(ねむる)」、「劇団えむジェムズ」「いずれオーケストラ」などは、一般層からの知名度も高い。最古参である「O-Level」は子供がぬいぐるみを持っていてもおかしくないほどであり、芸能事務所からの派生である「劇団えむジェムズ」はファンを引き継いでいる点も大きい。


誘納(いざな)いちご……「NameLLL(ねむる)」内においては、戦闘能力トップクラス。フィエルに負けるとは思っていなかったフシもあるが、致し方ない)


 ボーイッシュな悪魔のような風貌でありつつ、垂れ目とやわらかな表情が「お嬢さまの仮装」といった印象を崩さない。ハンマーやメイスなどの扱いに長け、盾と併用する中世のスタイルが異様にハマっている、当時における最強のスタイルをそのまま再現したような少女である。


(脅威になるとすれば……スピードタイプ(・・・・・・・)の打撃武器(・・・・・)、という特殊性か。ジョブは……メイスを扱うなら〈戦士〉、あの角は〈マウンテンゴート〉。移動系特技もと考えると、〈格闘家〉か〈ラディ・ラビィ〉も取っている可能性がある)


 しかし、あれはどちらかと言えば容易い敵だ。ディリードから見た話ではなくとも、単に固くて速くて攻撃の強い戦士という、よくあるタイプのそれでしかない。


「涼花。不服そうな顔をしている理由を、俺にも言い当てられそうなんだが……」

「ま、うちがこんな顔しとったら想像つくやろ。銭ゲバそのものやし」

「あれが吟子姐さんのアバターかぁ。いつもよりガチ感あるね」


 隣にいる方……「卦環射吟子(けわい・ぎんこ)」は、涼花≒「タイトルタイルズ」と金銭的なつながりがない、ということだろう。おそらくはドロップ品なのであろうレア装備に身を包み、もとから取引への依存度が低い「クラスタル」という武器種を選択したからには、よそに情報が漏れることを極端に警戒しているのだろう。


 ジョブはおそらく〈占術師〉、武器はクラスタルとカード――


(あの鈴は、……マスタークラスNPCが与えた新武器か? フィエルのように、複数種を即座に使い分けるスタイルのような……意味ありげな装備のしかただ)


 ベールにマント、ローブに切れ込みの深いスカートにサンダル。占い師という言葉の持つアイコニックな意匠をそのまま持ってきたかに見えるが、布地の質感はかなりの高級感があるもので、初期配布のそれとはまるで違う。


「あのケージ。相当高いんじゃなかったか」

「相当、っちゅうてもたかが知れとるけどな。アバターの顔はNOVAと同じみたいやけど、あの顔で買い物したっちゅう記録はないんよ」

「豪運か」

「だーろうねえ」


 何より不思議なのは、意志の証を隠していることだった。


「まず【使徒】か【常人】なんだけど……【愚者】だったりするのかな?」

「【愚者】なら説明が付くところは多いが、決め打ちはできないな。そもそも、二人はコンビじゃない」


 ファンから、あるいは同僚から「吟子姐さん」と慕われている通り、卦環射吟子はNameLLL(ねむる)のほとんど全員とそれなり以上に親しい。誘納いちごとたった二人で戦いに来るほど、バトルを売りにしたゲームに熱心というわけでもなかった。


(ほかに四、五人いる候補を押して立候補した? 籠護(かごもり)ソノンや魅邪増(みやま)るるい……を、か。あり得ない選択だ、いや、――)


 彼女らはおそらく、「水銀同盟」に敵するものとして現れる。であれば、彼女らはどうするべきか。答えがあるとすれば、ひとつ。


「まあ、いい。この剣を使う機会が一度や二度増えるかもしれないだけだ」

「頭ええ人はほんま、自分だけで完結しよってからに。見とったら分かるやろか」


 どのみち、観戦を決め込んでいるかれらが相手をするわけではない。


(座標は……あのあたりか。カメラの仕様をうまく使ってきたな)


 彼女らは中継カメラが届ける映像に写っているが、それはギルド対抗戦に与えられた陣地のものである。全員が最初からカメラに写っていなければ、ある程度期待感を持たせつつ、現れた瞬間をハイライトにすることもできる。


「俺もそこまで頭がいいわけじゃない。だが、同系統の能力はわかる」

「同系統……闇魔法とHP消費のどっちなん」

「さあな。お前も視聴者なんだ、素直に楽しめ」

「あ、さてはタネ見抜いてから仕掛け人のこと逆算しとるやろ? 底意地わっるいわぁ……」


 珍しく忍び笑いを漏らしながら、ディリードは頬杖をつく。


(解、ではないとしたら。装備とモンスタージョブでロールプレイを固めてきたということか。あの違和感のある拠点はブラフ、だが仕掛け人がいると仮定すると……スキルの射程距離から考えて、準備フェーズで移動できる距離は)


 詳しくはない、と言いながらも調べた瞬間に、ディリードの脳は答えを出していた。


籠護(かごもり)ソノンは【愚者】で〈夢現霧歩(ドリーマー)〉、魅邪増(みやま)るるいは【常人】でサモナーとバッファーの複合タイプ。ルネ・エコーは【賢者】か……歳塔二代目すてらは、そもそも参加しているのかいないのか。推理の材料を自ら晒してそのまま放置するということは、これも挑戦状か)


 何も映っていない場所に視線を向けるディリードは、開戦を待った。

NameLLL(ねむる)」の皆さんは「眠れない理由+モチーフ」で名前が構成されています。たまに前後逆になる。いちばん早く「安眠会」のお世話にならなくてもよくなったのがソノン、っていうとだいたいわかると思う。逆に深刻なやつが多すぎるだろ……

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