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エピソード 5

「で?どういう事か説明しろよ」


家の前でワチャワチャしてるのもなんだから、家の中で話をすることにした。


おばあちゃんの家狭いから、イケメンが入ると圧迫感があるな。

椅子が足りないから床に座ってるのに存在感がすごい。


顔がいいから?関係ないか。


「私も説明して欲しいです」


「お嬢ちゃ・・・アンタ名前なんて言うんだい?」


「おい!名前も知らねえのかよ!」


お、見事なツッコミだねえ。


「キトルです。名字はなくて、ただのキトル」


「名字?」


二人ともきょとんとしてる。


「あ、気にしないで」


こっちに名字って無いのかしら。

貴族とかならあるのかな?


「キトル、こいつはナイトっていって、この辺で傭兵やってるガキんちょさ。生意気だけど、腕は立つはずだよ」


「おい、誰がガキんちょだ」


そうね、ガキっていうには大きすぎるわ。


「アンタは黙ってな!ションベンたれてた頃から知ってるんだ、あたしから見ればまだまだガキんちょだよ!」


ぐぬぅ・・・と唸るイケメンを黙らせて、私の方を向く。


「でもこんな見た目だけどね、悪い事はやらないし、おじょ、キトルを裏切ったり捨て置くような事はないはずさ。ちゃんと守ってくれるから、連れておいき」


ほぉん?おばあちゃんのお墨付きなのね。

確かに信用出来る大人が一緒にいたら色々と都合はいいけど。


「でもそれは私の都合でしょ?勝手に決めちゃダメだよ。この人にも生活とかあるんだろうし」


イケメンがビックリしてこっち見てる。

まぁ子供がこんな事言ってたら驚くよね。


「大丈夫さ、ナイトは昔からアンタに憧れてたんだからねぇ」


昔っから?私まだ七歳よ?

あ、ほらイケメンもはぁ?って顔してるじゃん。


「ナイト、この方はね、アンタが子供の時から自分が守るんだ〜って言ってた緑の使徒様だよ」


あ、そっちね。

そりゃそうか、初対面の子供の事なんか知らんわな。


一瞬ぽかんとしたイケメンは


「はぁぁぁぁぁぁぁ?!」


と大声を出す。

身体と同じく声も大きいな~。


「えっ、緑のって、だってアレ、ババアそれ、えっ?!はっ、だって、コレが?!」


コレとは失礼な。んで、慌てすぎじゃない?


「嘘だろ?!」


嘘じゃないってば。

ちょっとムッとしたぞ。


テーブルに乗ってる木のコップのようなものを手に取る。

ちょうどよく水も入ってるね。


「おばあちゃん、これ使っていい?」


「もちろんさ、好きに使いな」


許可が出たのでコップに手をかざす。


「お、おい・・・」


イケメンよ、見るがいい!

コップの中から小さい芽がウニョウニョ沢山出てきて、一気にもさっと増えた。


「おばあちゃん、これお水入れ替えればしばらく収穫出来るし、生でも焼いても煮ても食べられるからね」


テーブルで育てると言えば豆苗!

お水を入れ替えるだけでいいし、食べてもまた生えて来てくれる優れもの。

節約にもなるからよく買ってたな~。


「おやまあ、ありがとうねぇ」


ふふん!どうだい、見たか!

イケメンを見ると口に手を当てて固まってる。

絵になるなぁ、おい。


「マジか・・・いや、すんません、信じられなくて・・・」


お?意外と素直だな?


「ばあちゃんから聞いた話で、勝手に美女を想像してたもんで・・・」


おい!やっぱり失礼だな!


「今はまだ美少女だからね。あと何年かしたら美女になる予定だよ」


二人がこっちを見たあと、目を合わせて笑い出した。

なんでよ。

笑えるようなことを言った覚えはないぞ?


「いや悪ぃな。そうだな、まだ美少女だ」


プンスカしてたら頭をポンポンされた。

くそぅ、イケメンの頭ポンポンなんて許すしかないじゃないの。


「でもな、付いて行きてぇのは山々だが、ばあちゃんを一人には出来ねぇんだ」


ん?どういう事?

おばあちゃん捨てられたんじゃないの?首をかしげてみる。


「ばあちゃんな、食うもんが少ないからって、自分からウチの集落出てここに来ちまったんだよ」


「目の見えないばあさんなんて生かしててどうすんだい。そんな無駄な食べ物があるなら、子供と働き盛りに食わせな!」


おばあちゃんもう目見えてるよ〜。


でも、なるほどね。

おばあちゃん、捨てられてないじゃん。

自分から出て行ったんだ。

立派な人だね。


「なんだ、じゃあもう大丈夫だよ」


「ん?何がだ?」


コイツ意味わかってるのかって顔しないでよ。

ホント整った顔してるな。


「私をおばあちゃんと一緒に集落に連れてけばいいじゃん。いっぱい野菜とか果物作って育てられるようにしたらいいんでしょ?広さによるけど、多分何日かあれば出来るよ」


二人とも、あっ!って顔してる。

ウケる~。


「いや、でも・・・あれ?そうか、それなら・・・みんなも助かるし、なぁ、ばあちゃん帰って来いよ!」


「あたしゃこのままここで暮らすからいいよ」


あら?なんで?


「若いもんを生かそうと格好つけて出ってたのに、どの面下げて戻るんだい」


何その理由。可愛いな。


「何言ってんだこのババア!戻れっつってんだろうがよ!みんな心配してんだよ!」


「フンッ!ババアなんて言われて誰が戻るもんかい!」


何だこのやり取り。仲良しだな。

仕方ない、ここは私が一肌脱ぐか。


「おばあちゃんが行かないなら私も行かな~い。ずっとここにおばあちゃんと居よ~っと」


口を尖らせたりしてみる。

見た目が子供だから許されるこの仕草!どうだ!


「あ、アンタ、それはズルくないかい・・・?」


「ほら、ばあちゃん!使徒様もこう言ってるし!戻ろうぜ!」


イケメン嬉しそうだな。

口は悪いけど、おばあちゃん子なのね。


「おばあちゃんも、ホントは戻りたいでしょ?」


ニコーっと笑ってみせたら、観念したようにため息をついた。


「ここまで言われちゃ仕方ないさね。使徒様を連れて行くんだ、格好もつくか」


も~なんでそんなにカッコつけたいのよ。

イケメンはガッツポーズ。

わざわざ通うくらい心配だったんだもんね。

良かった良かった。


今日はもう薄暗くなってきたから、イケメンはまた明日お迎えに来てくれるって事で話がついた。


この森、夜は獣とか魔獣とかが出るから危ないらしい。

やっぱり魔獣っているんだ?!ってかそんな危ない場所だったのか・・・葉っぱモサモサにして野宿~とかしなくて良かった。


おばあちゃんの小屋の片隅にあるベッドは固いけど、布団の中に藁が詰めてあるからあの家のよりフワフワでよく眠れそう。

明日からは集落で野菜や果物をたくさん作らなきゃね。


集落丸ごと、お腹いっぱいにしてみせようじゃないの。

アドバイスをいただいたので、読みやすいように行間を開けてみました。

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