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エピソード 49

「で?なんで俺にまで内緒にしてたんすか?」


しばらくお泊まりする王城の客間も豪華だなぁ〜。


「そういえばあの執事に色々聞いてましたもんね?」


うわぁ、このソファふかふかだぁ〜。


「・・・そうっすか、もう俺なんて必要ないんすね・・・」


「も〜!ごめんってば!ここ来るまでもずっと謝ったじゃん!」


ここに案内される途中でも謝り倒したのに、まだ言うか〜!


ナイトのイジけ虫〜!


「ナイトさん、ダメですよぅ。何でも聞こうとしたら、サプライズだってしてくれなくなりますよっ?」


ヘブンさんや。それはそれでズレてるぞ?


「だからぁ!色々考えてたら相談し忘れてたの〜!」


仕方ないじゃん。頭の中でグルグルしてたんだもん。


執事さんに、ドワーフの夫婦でもたまに女の子も沢山産む夫婦がいるって聞いて、何かあるんじゃないかってピーンときて。


ドワーフの人達は『ドワーフはこうだ!』って信じ込んでて疑問も持ってないし、こういうのは違う視点の人間がデータ集めて検証するべきだと思ったんだよぅ。


両手を合わせて頭の上に付ける。


「ごめんって〜今度からはちゃんと相談するからさぁ〜」


口を尖らせたナイトがこっちをチラリと見る。


「・・・今度からは、何か始めたり他の人に言う前に相談して下さいよ?キトル様、常識ないんすから」


「あ、そうだ、それで思い出した。神様の話って常識なの?」


ナイトも、あっ!て顔。忘れてたな?


「そうっすね、普通は小さい頃から教えられるんすけど、キトル様は親がアレですしね・・・」


そうそう、親がアレだから。というか今も子供だぞ?


「ん〜・・・全部だと長くなりますし、追々教えるとして、まずはキトル様が使徒として仕えてる神様っすね。創造神アルカスって言うんすけど、これは全ての神の親的な、神の神、一番偉い神様です。全てを作った神ですね」


ふんふん。会った事ない上司ね。全部の神の親ならおじいちゃんって事か。いやおばあちゃんの可能性もある?


「聖神国みたいにアルカスだけを信仰してる国だと大聖神とか、まぁ呼ばれ方は色々ですけど、大体神様って言う時は創造神アルカスの事です」


ふぅん。なるほど。前世のギリシャ神話で言うとゼウス的な?違ったっけ。


「じゃあ、今日言ってたボルトみたいなのは?」


「・・・?あ、ヴォルグの事っすね。特にドワーフの中で信仰されてる、鍛冶とか火、酒や誓いの神っす。この神を讃え技術と労働に励む事こそドワーフの誇り!とか、そんな口上があるくらいこの国に根付いてる神様ですね」


ふむふむ、この国にいる間はまた耳にしそうね。


「ボルグを信仰してるとアルカスは信じてないって事?」


「違います、ヴォルグです」


「ぶ・・・ぶぉるく」


「ヴォ」


その顔ムカつく!!


「も~!いいってば!つまり、ドワーフはアルカス信仰じゃないって事?」


「いえ、創造神アルカスは生命や自然、世界のはじまりを生み出した神なので、それはそれとして皆信仰してます。鍛冶や火の神のヴォルグとはその信仰対象が違うんですよ」


「野菜はみんな食べるけどドワーフが特に好きなのはお酒、みたいな感じ?」


「何か違うような・・・でもまぁそんな感じっす」


つまりどっちも信じてるのね。そういう自由なのは好きよ。


「他にも色々いるの?」


「そうっすね、例えば・・・」


「あっ!ちょっと待って!メモる!」


「めもる・・・?」


確か買い物した時に、めくってもめくっても無くならないノートを買ったはず・・・。


ソファに座った私の横でスヤスヤ眠るヘブンを起こさないようにリボンバッグの中を漁る。


すると、突然。


『キトル!!』


「うわぁ!!」


「ふぁっ?!何ですかっ?!」


「どうしたんすかっ?!」


ヘブンが飛び起き、ナイトがソファに駆け寄る。


「頭の中に、ブランの声が・・・」


もう一度、カバンの中に手を突っ込み、モルドさんに貰った魔石結晶のネックレスを取り出す。


『キトル、聞こえるかな?この前話してからなかなかタイミングが合わないし、声を残すね』


あ、録音機能のやつかぁ。ビックリした~。カバンの中で手が当たったんだ。


『国王陛下が、急いで伝えたいことがあるからドラム=カズンに着いたらすぐに連絡してくれって!バラグルンの王様からもあと数日で着くだろうって言われてるし、僕もその頃は王城で待たせてもらうようにするね!』


連絡?魔法鳥とか魔石結晶でなく?


「ブランさんからですか?」


ナイトが顔を覗き込む。


「うん、なんか王様が伝えたいことがあるからここに着いたらすぐ連絡しろって言ってるらしいんだけど・・・どうやってするんだろ?コレで?」


魔石結晶ネックレスを少し掲げて見せる。


「王都に着いたらって事は、王晶盤じゃないっすかね?レガリア・リンクってやつっす。俺も本物は見た事ないっすけど・・・その国の王様しか起動出来ないデカい鏡で、相手の姿や風景まで映し出されるらしいっすよ」


ビデオ通話の巨大版みたいな?


「よし、じゃあそれ使わせてもらおう!」


「え?!今からっすか?!」


ナイトが珍しく動きたくなさそう。


「まだ明るいよ?なんで?」


「や、このあと歓迎の晩餐会やるとかで・・・ドワーフの歓迎って酒がいっぱい出るらしくて・・・ノルグさんに、お主はキトル様の分まで飲むんだぞ~って・・・」


「よし!王様のとこ行くよ!」


「あぁ~・・・酒が・・・」


この間飲みすぎたばっかりなのに、大人ってやつぁ全く!




鏡、でっかぁ・・・。


事情を説明して、王族しか使えない通信用鏡を使わせてもらうため、王城の最上階まで来た。


メンバーは、私、ナイト、ヘブンに長髭王様だけ。


各国の王で会談するときに使うらしく、そもそも書記官くらいしか一緒に居ちゃダメらしい。


場所は、外から見た時のあの尖った塔、一番高いやつのテッペン。


最初説明された時、あんなトコまで登るのかよ~!って思ったら、何と階段が動くエスカレーター式!


ちょっとスピードが速くて揺れが激しくて目的階まで止まらないけど、ナイトとヘブンの間に立ってたからそれほど怖くなかった。絶対一人じゃ乗らないね。


で、入った部屋の天井付近まである高さの鏡、横は私が五人くらい入りそう。何メートルだ?


管理人?警護?っぽい人が退出すると、長髭王様が鏡に触れる。


水に手を触れた時みたいに波紋が広がり、フワンフワンと軽やかな音が鳴り響く。


「これ何の音ですか?」


「相手の王晶盤に合図を送ってるんだぞう。こちらが連絡を取ろうとしていることを知らせる音だの」


着信音か。あ、だからさっき出てった人は、いつ鳴ってもいいようにここに常駐してるのか~。


で、部屋の端のソファで待つこと約十分。


『キトル!』


声が聞こえて、鏡が水のようにゆらゆら揺れたと思ったら、ブランの姿が鏡に映った。


「兄さん!」


『誕生日おめでとう!!』


んっ??たんじょうび??


「私誕生日なのっ?!」


知らなかった!いつ?!


『ふふふっ。正確にはわからないんだけど、確かキトルが生まれたのがこの時期だったんだ。だから、レオンおじいちゃんやパール様と話して、三日前をキトルの誕生日にしようって!』


あらヤダ嬉しい!どうせあの親は誕生日なんて気にしてなかっただろうしね。


『僕の誕生日もわからなかったんだけど、キトルと同じ日にしてもらったんだよ!だから、キトルはもう八歳で、僕は十一歳!』


ニッコニコのブラン、幸せそう~!やっぱり良い人たちに任せたの、正解だったね。


勢いよく後ろを振り向く。


「ナイト!ヘブン!私八歳!!」


「おめでとうございますぅ!そういえば、最初会った時より背も高くなりましたもんねっ!」


「良かったじゃないっすか~。美女に一歩近づきましたね~」


おいナイト、ニヤニヤするんじゃない。


『そろそろ良いかの?』


ブランの後ろから王様が現れた。


『まずはキトル様、無事にドラム=カズンに着けたようで何より。して、さっそく本題ですが・・・キトル様が狙われているかもしれない、とお伝えしたく、急ぎ連絡を取っていただいたのです」


狙われてる・・・?私が?八歳なのに?


・・・いや、八歳関係ないや。


どういうことか、教えてもらおうじゃないの?

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