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エピソード 33

「・・・ナイト、これ何着目・・・?」


「え〜っと、多分、十、四か五っすね」


「キトル、それもすごく可愛いっ!似合ってるよ!」


魔法カバンが決まったからお次はドレスショップ。


ルビィさんとパールちゃんから連絡を貰っていたデザイナーの何とかさんってマダムが、張り切って並んだドレスの中からあれやこれや選んだ服を着せ替えさせられている。


いや、店員さんが着せてくれるから最初は楽だったんだけど、こう何枚も着替えると流石に大変で。


「使徒様のお召しになるドレスをデザインさせていただけるなんて、こんな幸運一生に一度ですわっ!」


と興奮し続ける、とんがったザマス眼鏡のマダム。


ちなみにマダム、爆乳で年齢不詳の美魔女。


ヘブンは魔法カバンの店で寝て目が覚めちゃったから、途中で作ってあげた噛みごたえのある骨骨草(私ネーミング)を無我夢中で噛んでる。


「どうせオーダーなら私のサイズがわかれば良いのでは・・・?」


「ノンノン!色、デザイン、素材の合う物がわからなければ、専用のドレスなんて作れません事よっ!」


目の前で人差し指を左右に振ってるけど、なかなかにウザい動き。


「わたくしの作るドレスは成長に合わせサイズも成長しますから、サイズなんてあってないような物ですしねっ!」


「は〜コレも魔法ドレスなんですね」


「ノン!わたくしの作るのは、マジカル・ドレスですわっ!」


・・・一緒じゃね?


「とはいえ、使徒様もお疲れのご様子。お好みの色やデザインの物はございましてっ?!」


「いや、どれでもい」


「キトル、二番目の黄色のと、八番目に着た緑っぽいのが似合ってたよ!」


「あ、俺も同じのがオススメっす!最初の真っ赤なやつなんかは避けた方がいいっすね」


何でそんなに楽しそうなんだ?


君たちは全男性が支持する、女性の買い物はつまらない説を知らないのか?


「二人とも良いセンスしてるっ!将来ウチで働かなぁい?」


「「結構です!」」


ナイト兄とブラン弟の声が綺麗にハモった。




「は〜疲れたぁ〜!!」


ドレスショップでオーダーした後、日用品や普段使いの服を買いにさらに数店舗巡り、やっと王城まで戻ってきた。


ナイトの両手には大量の買い物袋。


いくつかは荷物を軽くする為の買い物袋?買い物風船?が浮いててその紐を持ってるだけだけど、それでも沢山ある。


「こんな贅沢に慣れちゃったら、僕とんでもない人間になっちゃいそう・・・」


「そうだね。今日買った物、家にはなかった物ばかりだもんね」


というか、あの家に居た時にあった物なんて身に纏ってたボロ布くらいなもんだけど。


家のある場所が僻地だったのもあるんだろうけど、王都との文明の差も凄いし。


こんなに魔法や不思議な道具が沢山で異世界してると思わなかった〜!


「ね、公爵様がお仕事終わるのってまだだっけ?」


王城の門兵さんに軽く会釈しながらナイトに尋ねる。


つい頭下げちゃうのって、前世の癖だなぁ。


王城に戻って来たのは、公爵様がお仕事終わるのを待って一緒にタウンハウスに帰る予定だからなのだ。


「多分まだもう少し時間ありますね。どうします?言われてた前の使徒様の文献探しに行くんなら、陛下に聞いてみますか?」


そんな軽いノリで王様に会いに行っていいのかしら?


「ん〜今日は疲れたし明日にしようかなぁ」


「あ、じゃあ僕宰相さんにキャンディ渡したいし、一緒に探してくれる?しばらく会えないかもだし」


そう、私が王都を離れるまでは、ブランも一緒にタウンハウスに泊まらせてもらってる。


公爵様の気遣いでそうなったんだけど、その時の宰相さんの悔しそうな顔・・・目から血の涙流しそうな勢いだった。


王城に入り近くを歩いていた使用人の人を捕まえて宰相さんの居場所を聞いていると・・・


「あの、緑の使徒様ですか?」


と後ろから子供の声。


振り向くと、ブランより少し背の高い、高級そうな服を着た男の子。


後ろには騎士が控えている。


王城にいる十歳くらいの子供、優しそうな目元にはホクロ。もしかして、この子って・・・


「第二王子様ですか?」


ぱぁっと嬉しそうな顔。やだ、可愛い!


「そうです!ご存じいただいていたとは・・・光栄です」


ペコリと頭を下げる仕草にも気品がある。


「はい、パールお姉ちゃんから色々聞いていたので・・・色々と!」


むふふ。公爵家にお世話になってた時、いっぱい甘酸っぱい話聞いたんだよね〜。


「そうですか、パール嬢が・・・私の方にも、パール嬢からの手紙で伺ってはいたのですが、本当に仲良くされていたのですね」


綺麗に整えられた金髪にまだ幼さの残る美形で見た目はザ・王子様なのに、パールちゃんの名前出しただけで頬がほんのりピンク色になる。


ちょっと小声になって


「ちなみに、パール嬢は私の事を何か言っていましたか・・・?」


って聞いてくるなんて、もうヤダ〜!青春じゃ〜ん?!


でも、ごめんね?


「それは女同士の秘密ですからっ!」


と片手を前にお断り。


「そ、そうですよね?!すいません、忘れてください・・・」


んも〜真っ赤!


つい教えたくなっちゃうけど、我慢我慢。


「あ、突然申し訳ありません。そちらは、従者の方と、フェンリル殿ですよね?もう一人の方は・・・?」


「あ、兄のブランです」


「ブランですっ!」


ブランも歳が近いからか、緊張はしてるけどまだマシみたい。


「お兄様でしたか!存じ上げず申し訳ありません。使徒様が王城にお越しと連絡があり、先程学園から戻って参った所でして・・・。あ、第一王子である兄も、おそらく明日には到着すると思います」


ま〜やっぱり王子様だからかしっかりしてるねぇ。


「母上が近々高位貴族のみを集めた晩餐会を開きたいと申しておりましたので、是非その時にでも紹介させていただきますね!」


・・・面倒な用事がまた増えた。


今みたいに廊下でばったり会って話すとかなら良いんだけど、格式ばったの苦手なんだよね。


食事のマナーとか知らないしさぁ。


豪華な料理は嬉しいけど、自分で美味しいの作れるし。


何とか逃れる言い訳を考えてたら、ブランと第二王子、何か盛り上がってる。


「なんと!辺境から?!使徒様を探して?!一人で馬車に?!すごいな・・・僕と同じ歳とは思えない勇気と行動力だ。ブラン殿は立派な人なんだな」


「いえ、もう無我夢中で・・・それに、キトル、妹が食べ物をくれたから逃げようと思えて、たまたま会えた商人さんがすごく良い人で、僕は運が良かっただけです」


あら、ブランもう普通に話せてるじゃん。

王子様も一人称が私から僕になってるし。

やっぱり歳が近いといいのね〜。


「君、本当にすごいよ。謙虚さもあって、人に感謝する心も忘れない・・・僕、君と友達になりたい!良かったらどうだろう?!」


「えぇ?!ぼ、僕なんて、妹が使徒様なだけで、ただの平民ですし!」


「それならば、僕だってたまたま王族に生まれただけさ!それとも、僕じゃ友達にするには不足かい?」


「・・・ぼ、僕で良ければっ!」


と、男の子二人が握手。


え〜っ?!ブランにお友達が出来ちゃった!


ナイトとヘブンも大人しく、ニヤニヤしながら見守ってる。


こんな光景が見れるだなんて・・・嬉しすぎるじゃないの〜!!

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