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エピソード 147

「大丈夫ですよ」


スカイダイビングよろしく落下しながらすぐ近くで声が聞こえたかと思うと、ポワン、とお尻の下に柔らかな感触。あ、もう落ちてない。


周りを見渡すと、十人くらい余裕で座れそうな・・・桜の花?窪んだ中心部分に座っていて、五枚の花弁が外に向かって開いている。


「乗れません~っ!」「デカいまんまじゃ乗れねえだろ?!小さくなれっての!」


声のする方を見ると、花びらの先端に前足を乗せたヘブンと引っ張り上げようとするナイトがワーワー言ってる。


「これは・・・?」


「アナタ達が乗れるように大きい桜の花を咲かせてみました。座り心地も悪くないでしょう?」


横には桜の小枝を抱えた楽しそうな雛人形カミサマ、が一人。


「・・・~い、お~い!ありがとう!ありがとう~!」


どこか遠くから、モルチの声がする。


首を伸ばして斜め下方を見ると、同じく大きな花びらに乗ったモルチが両手を振りながらゆっくりと風に乗って降りて行く。


周囲には、私達の間を埋め尽くすような沢山の桜びらが舞っている。


「モルチは大神殿へと送りました。彼はこれから、その命が尽きる日まで罪を償いながら生きてゆくでしょう」


そうか、モルチとはここでお別れなんだ。でも、また会いに行きたいな。


「ばいば~い!モルモル、頑張ってねぇ~!」


声が届いてるかはわからないけど、大きく手を振り、やがて周りの花びらに紛れ、見えなくなった。


さて。


「ではカミサマ、これは一体どこへ向かっているフライトなのでしょうか?」


「うふふふふ。キトルったら、フライトだなんて」


どこだ、笑うポイントはどこにあったんだ。


「先ほど聞いたでしょう?メスのドラゴンはどこにいるのか、と。それを探しに行っているのです。私も一緒に、ね」


イタズラっぽく口元を隠して笑うカミサマ。一緒に??


「桜の樹本体は動けませんし、人型の一人は国々を回るのに必要でしょう?ですから、もう一人作ったのです」


クスクス、と笑いが止まらない様子。これは、私達の驚く顔と、初めてのお出かけと、両方楽しいって感じだね。


「は~、だからもっかい枝を切らせたんすね」


ミニヘブンを胸に抱いて、私の横にドッカと胡坐をかくナイト。無事ヘブンも救出できたようで良かったね。


「それならそうと説明してくださいよ~・・・。で、これはどこに向かってるんですか?」


「違う大陸です」


「・・・?!」「は・・・?」「ナイトさんっ!違う大陸って何ですかっ?!」


違う大陸?あ、そういえば、前にダンデ公爵のとこで見せてもらった地図、このお花の形の大陸しか載ってなかった。・・・あれ?!世界地図は?!え、この世界ってどうなってんの?!


『この星は、地球よりはるかに大きいのですよ、キトル。ここには私と同じようにあちらの世界から来たものが作った大陸が他にもあるのです』


「え、大陸って事は、他にも同じような土地や国があるって事っすか?」


あ、ナイトも知らなかったんだ。


「ええ、我が大陸と違い、枯れゆきながらも使徒さえ現れぬ土地があるのです。その土地の神は嘆き悲しみながら、枯れゆく土地をただ見ている・・・。同じ神として、これほど悲しい事はありません。そこで、キトル。アナタにはその土地を救って欲しいのです。あなたの小さな願いを叶えつつ、私の願いも叶う、とてもいい案でしょう?」


・・・っあ~!さっき言った、新しいトコに行くのが楽しいってやつか!あ~ね、確かに、違う大陸なら間違いなく新しいトコだわ。


「大昔、ドラゴンが私の大陸に来た時に確かその大陸から来た、と言っていたのです。なので、メスのドラゴンが居たら一石三鳥、ですね!」


た~のしそうだね、カミサマ。まぁいいけどさ~。


「じゃあこのまま違う大陸に行くって事っすか?」


「ええ、アナタ達従者も一緒に。よろしかったでしょう?」


「ま~俺らはキトル様が行くんなら付いてくだけですし。な、ヘブン」「そうですねっ!楽しみですっ!」


ん~従者二人がこんなにテキトーなのは、主の私譲りかしら。


『ちなみに、そこのカミサマは前世から縁のある人呼んだりしないんですか?』


『その神は、梅なのです。昔は多かったようですが、最近は梅という名を持つ者も減っているようで・・・。しばらく使徒を呼べなかったので力も弱くなり、多少縁があっても呼べないようなのです』


おおう、梅の樹かぁ・・・。確かに昔なら梅さんって沢山いたっぽいイメージ。


『私も力が弱まっていたのですが、とても運が良かったようです』


そうね、名前がガッチリ合致してるもんね。ガッチリ合致・・・ガッチガチ。


「でもいいんすか、キトル様。他の人達はまぁいいとしても、ブランさんに何も言わなくて」


あっ。ブランは心配しそう。録音機能もあるし、伝言しとこうかな。カバンの中に手を入れると、『キトル!』と頭に響く久しぶりのブランの声。


『あ、兄さん?!すごいタイミン』『花がっ!薄く色づいた、小さな花が、王都に降ってきてるんだ!これ、キトルがやったのっ?!』


花が?カミサマを見ると、口パクで『神の祝福です』と言ってる。ホントかぁ~?


『え~っとねぇ、なんか神の祝福なんだって』


『そうなんだ、すごいねぇ、綺麗だ・・・。あっ!って事は、もうお役目は終わったんでしょ?!キトル、お疲れ様!偉かったね。もう、こっちに戻って来るの?』


『あ、それなんだけど、なんかカミサマにお願いされちゃったから、ちょっと他の所も救いに行ってくるね!終わったら一回戻るし、とりあえず向こうに着いたらまた連絡するね〜』


『えっ?!キトル、それどういう』『あっ!電波がっ!またねっ!』


カバンの中にペンダントを突っ込む。ふう、ブランってば過保護なんだから。でもこれで、レオンおじいちゃんや陛下から他の国にも話が回るでしょ。


「電波ってなんすか?」「気にするでないよ。は~いい風だね~」


ナイトを適当にあしらってると、カミサマがクスクスと笑いながら「追加しちゃいましょう」と手を挙げて風に桜の花びらをひらひらと飛ばし始める。


下を見ると、お花の・・・いや、桜の形の大陸に、桜吹雪が舞い落ちていく。そこで暮らす人々の元に、一枚一枚祝福の花びらを届けるように。


顔を上げると、目の前に広がるのは広い広い青空。

次の国は、どんなところなんだろう。


まあ、どんな所に行っても、私は私だよね。

やりたい事を、やりたいようにやるだけ。


さあ、平和に世界を救いに行こうじゃないの。


このエピソードで完結となります。


小説を書き始めよう→なかなか慣れない→毎日書いて毎日更新すればいいんじゃね?!という安易な発想で全くのノープランのまま書き始めてしまいましたが、なんとか完結までこぎつけられました。


構成やストーリーも本当に何も考えておらず誤字脱字やわかりにくい個所など多々あったかと思いますが、ここまで読んでいただけて本当に嬉しいです!


宣伝の仕方も分からない中、PV数やリアクション、ブックマークや感想などに非常に励まされ、何とか書ききることが出来ました。

全て皆様のおかげです。


これからもどんどん書いていきたいと思いますので、そちらでまたお会いできたら幸いです。


本当に本当に、ありがとうございました!

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