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緑の手のキトル〜極貧で売りに出されたけど、前世の知識もあるから全然生きていけます〜  作者: 斉藤りた
セラフィア聖神国編

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125/147

エピソード 125

「初めまして、使徒様っ!ダビオ・セラフィアです!蛇獣人で身体が柔らかいので、セリオス様の元では主に情報収集などを行いお手伝いさせていただいております!」


勢いよくお辞儀するとショートの癖っ毛がピョンピョン動いてつり目の人懐っこい目元にかかっている。イタズラっこい顔つきが可愛らしい少年。


「お目にかかれて幸いです、使徒様。ナベリウス・セラフィアと申します。主に書類仕事や各種手続きなどをセリオス様が不在の際に代理で行っております。以後お見知りおきを」


眼鏡の似合うインテリ系のイケメンは斜め四十五度に綺麗なお辞儀を見せる。ピッタリな七三ヘアーなのに似合ってるのはすごいな。歳は・・・二十代半ばくらい?


「ゴラン・セラフィアです。見ての通り身体が大きいので、セリオス様の護衛や力仕事などをすることが多いです。使徒様に何かあった際は身体を張ってお守りいたしますので、よろしくお願いします」


こちらは筋肉マッチョな肉体派イケメン。短髪が似合ってて、白装束みたいな神官の服の上からでもわかる素晴らしい二の腕を持ってらっしゃる。


・・・神官になるのって、顔審査とかあるのかしら?三人ともタイプの違うイケメンなんだが?


キトル宣伝カーで派手に移動して大きな村の入り口が見えてきた辺り。大神官のセリオスさんの部下という人たちが何もない場所に立ってお出迎えしてくれたので、降りて自己紹介してもらったところ。しかし三人の名前を覚えられそうにないな・・・何か考えなきゃ。


「どうも、キトルです~。こんなんですけど一応緑の使徒らしいです~」大阪のおばちゃんよろしく軽めに自己紹介。


んぐっ!と笑ってくれたのは最初に自己紹介してくれた少年神官さんだけで、あとの二人はポカンとしてる。


「そ、そうですね、後ろを見れば使徒様が使徒様であることを疑う者はいないかと思います」


驚いた顔のままで口を開いたのは七三眼鏡神官さん。


後ろ?と振り向くと、視界いっぱいに広がる芝桜のピンク色。そうか、そりゃそうね。


「三人で来たのか?他の者は?」


セリオスさんがそのまま七三眼鏡神官に聞く。


「セリオス様のお話で、使徒様は目立つのがあまりお好きでなさそうと伺っていたので三人だけで来たのですが・・・」


チラ、と目線が馬車の上で「緑の使徒でございます」と喋り続けてるピンクのお花スピーカーに向けられる。


「目立ちますね~とっても」


少年神官が苦笑いで見上げている。


「これにはキトル様のそれはそれは深いお考えがあるのだ・・・キトル様、この者達がこれから聖都まで同行いたしますがよろしいでしょうか?」


セリオスさんが振り向いて聞いてきた。


「あれ、セリオスさんは来ないんでs」


「来ますうっ!どんな障害があろうともキトル様のお近くを離れるようなことはありませんのでそのようなご心配は不要でございま」


「あぁ、まぁ来るなら来るでいいですけど」


「もちろんですっ!」


やり取りを見ていた三人が笑いを抑えきれなくなっている。


「いや~、アルカニアから帰ったらおかしくなっちゃってたし、一体どんな使徒様なのかと思ったら」


「どちらかと言うと問題はセリオス様の方にあったようですね」


「このようなお姿は初めて見ましたな」


三人とも面白そうにセリオスさんを見ている。部下って言ってたけど仲良さそうだね。


一通り自己紹介や事情の説明が終わると、馬車の後ろにあるピンク色の鳥かごを見ながらマッチョ神官が口を開く。


「この不届き者は先に自分が聖都まで運びましょうか?」


「そうですね、馬車の後ろにいると思うだけで不快ですし、先にゴランが」


「いえ、このままにしておいてください」


セリオスさんの言葉を遮ってハッキリと告げる。


「・・・何故でしょう?」


「ん~っと、コレ、派手でしょ?こんな風にされてるの見て、他のモル信者の人達が思いとどまってくれるといいなぁと思って」


「ああ、見せしめというわけですね」


身も蓋もないけど、まぁそういう事。


全身真っピンクになった二人組が鳥かごの中でウ~ウ~唸ってる。セリオスさんに猿ぐつわされてるから話せないんだよね。


「あと、もしピンクさんが増えたら毎回先に行くゴッさんが大変でしょ?」


「・・・ゴッさん?」


マッチョ神官が自信を指差す。


「そそそ。ダッ君、ナーさん、ゴッさん。三人合わせてダンゴ三神官!どう?これなら私も覚えられるよ!」


最後はナイトに向けて。ドヤ顔を向けたナイトは目を逸らしてるけども。


「・・・す、素晴らしい覚え方ですね!な、三人とも!」


セリオスさんが引きつった笑顔で三人に話を振る。


「え~僕だけ君付けじゃないですか~」


「ナーさん・・・まとめられると原形も留めてないのですが・・・」


「自分はそれで構いません。使徒様に呼んでいただけるだけで光栄です」


三人とも性格が分かりやすそうでよろしいね!


「キトルさま、ピンクになる人が増えるんですか?」


ヘブンが鼻先を手にくっ付けながら聞いてきた。


「どうだろうね?増えないといいけど、危害を加えようとしたら仕方ないよね~やられる前にやり返す!」


「それは返してないっす」と小声でナイトにツッコまれる。


「こちらの村にはもう話を通してありますので、ゆっくりお休みいただけます。聖都までにある村々もいくつか候補を上げ、使徒様が立ち寄る可能性があるので住人以外はしばらく出入りを控えるように、と通達してあります。警戒すべきは村から村への移動中になるでしょう」


ナーさんこと七三神官が眼鏡をクイクイ上げながら説明する。シゴデキっぽいし、七三は伊達じゃなさそう。


でも・・・う~ん、仕方ないんだけど、出来るだけ他の人達の生活に影響ないようにしたいなぁ。


「村ではお礼に希望する植物を生やして、短時間の滞在ですぐ移動するようにしたいな。普通に暮らしてる人達が危害を加えられると嫌だし、私に向かって来てくれるといいんだけど・・・。あ、あとこの宣伝馬車で人目を集めながら行くからまた襲われることもあるかもしれないけど、出来るだけ私がどうにかするし皆も怪我とかしないように気を付けてね」


新人の三人が驚いた顔をしてる。何故?


「どうだ、キトル様は素晴らしい御方だろう」とセリオスさんが反り返ってドヤってる。


「いや~、イメージと違うというか」「庶民的な御方で」「守りがいのある方ですね!」最後のゴッさんはフンス!と鼻息荒く気合を入れている。


よくわかんないけど、ダンゴ三人とも仲良くなれそうで良かった!


決してフラグじゃないけど、これ以上襲われないことを願いつつ聖都に向かおうじゃないの!

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