一生分の鈴木を言う物語
さえない高校生活を送っていた鈴木は、大学では自分を変えたいと強く願い、神からの不思議な力によって、最強のモテ男になる物語。
このお話の主人公、鈴木は冴えない高校生活を送っており、いつも周囲にうもれているような存在だった。
成績は平凡で、スポーツやクラブ活動にもあまり興味を持たず、ただひたすらに惰性をむさぼる日々を過ごしていた。
しかし、大学受験を控えた最後の年になって、彼は自分自身と向き合い、現状を変えたいと強く思うようになった。
大学に合格した鈴木は、新しい環境での生活に、期待と不安が入り混じった気持ちでいっぱいだった。
彼は想いがあふれ出してしまい、親友である佐藤に言った。
「おい、佐藤、俺、変わりたいよ」
「彼女が欲しい…」
「彼女いるやつスゲー羨ましかったもん」
「あー、彼女ほしーよぉぉぉおおおー」
鈴木は叫びにも近い声で佐藤に言った。
佐藤は間髪入れずに、「ボクもおぉぉぉっぉぉぉぉぉ」と叫んだ
鈴木は佐藤の言葉に勇気づけられ、
「新しいスタートを切ろう大学でモテる男になるんだ!」と心に決めた。
2人はグータッチを交わし、新たな挑戦に向けて意気込んだ。
時は立ち、大学生活がスタートする前夜、鈴木は大学生活の始まりに向けた、興奮と不安が入り混じった体を休めるために、早く眠りについた。
眠りにつくと、鈴木は夢を見た。
彼は不思議な神殿の前に立っていて、神殿の扉が開くと、そこにはバットを杖代わりにした老人が立っていた。
老人は優しく微笑みながら、鈴木に声をかけた。
「ようこそ、鈴木よ」
「わたしは鈴木界の神、ベルウッドだ」
鈴木は驚きながらも敬意を表し、ベルウッド神の前に跪いた。
「鈴木よ、私は汝に特別な力を与えん」
「汝はこれから先、鈴木という苗字の者としか話すことができぬ、そしてその者を鈴木としか呼ぶことができぬが、汝は最強のモテ男になれるぞよ」
ベルウッドの言葉に、鈴木は驚きと興奮がいり混じった心境に陥った。
鈴木という名前の人としか話せないという制約があるとしても、俺は絶対にモテたい。
「モテたいぃぃぃー」
彼はこの特別な力を受け入れる覚悟を決めた。
「ありがとうございます、ベルウッド様!私、鈴木はこの力を使って、最強の最高のモテ男になります!」
彼は胸を張って高らかに宣言した。
ベルウッドは微笑みながら、鈴木の前に光の粒を放ちながら消えていった。
彼の夢の中で、新たな人生の始まりに期待を胸に抱きながら、眠りから覚めた。鈴木は目が覚めると、自分の体や周囲を見渡した。
注意して見てみたが、何も変わった様子はない。
鈴木の顔も体形も体臭も、何も変わってはいなかった。
彼は期待と疑心を胸に抱きながら大学へ向かった。校内に入ると、そこには親友の佐藤が立っていた。
新しい環境に不安でたまらなかった鈴木にとって、佐藤の存在はとても心強く、安心感を与えてくれた。
しかし、鈴木はベルウッドから授かったモテ力の存在を思い出し、佐藤との会話に制約があることを思い出した。
「おい、佐藤、おはよう!」と声をかける寸前で、鈴木は思い直した。
彼はベルウッドの言いつけを守るため、苗字が鈴木以外の人と話してはならないという厳しい制約に従い、親友の佐藤を無視した。
鈴木は苦渋の表情を浮かべながらも、佐藤の方に振り向かずに通り過ぎた。
佐藤はその様子に戸惑いを隠せず、めちゃくちゃ悲しんだ…。
鈴木はこの決断が正しいのかどうかを自問するが、ベルウッドの力を受けた彼は、自分の信念を貫くことにした。
大学のゼミに足を踏み入れた鈴木は、初めての出会いに胸を躍らせていた。
彼は緊張と興奮がいり混じった気持ちで教室を見渡し、新しい仲間との出会いを楽しみにしていた。
すると全員が自己紹介をする中、彼の視線は一人の女性に引き寄せられた。
その女性は「鈴木ミズキ」という名前で、ロングのストレートヘアーに華奢な体、そしてモノトーンの服がよく似合う、可憐で魅力的な女性であった。
鈴木は緊張しながらも、勇気を振り絞って彼女に声をかけた。
「こ、こんにちは、鈴木さん」
「ボ、ボクは鈴木太郎です」
「よろしくお願いします」
ミズキは優しく微笑んで彼に応えた。
「こんにちは、鈴木さん」
「私は鈴木ミズキです」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
彼女の優しい返答に胸が熱くなる鈴木。
彼は彼女との会話を楽しむうちに、彼女から遊びの誘いを受けた。
彼は喜びを隠しながら、彼女の誘いを受け入れた。
「これが鈴木界の神、ベルウッド様の力か…」
二人はお互いの興味や趣味について語り合った。
そして、彼らの距離は次第に縮まり、その夜、2人は結ばれた。
初めてであった鈴木は、一心不乱に腰を振った。
ミズキは下になりながら彼に言う。
「ねぇ…」
「ミズキって、呼んで…」
彼は瞬発的に「気持ちいいよぉ、ミズキ…」と言いそうになったが、ベルウッド様との約束を守り「かわいいよぉ、スズキ」に言いなおし、その瞬間、彼は生まれて初めてを終えた。
後日、鈴木は初めてカフェに訪れた。
彼はかなり緊張しながらも店内を見回し、名札に鈴木を探していた。
すると、彼の視線は一人の女性に引き寄せられた。その女性の名札には、SUZUKIと書いてある。
彼女は鈴木の姿を見つめ、優しく微笑んで声をかけた。
「いらっしゃいませ!何かお探しですか?」
鈴木は彼女の親切な声に胸がときめき、照れながらも彼女に対応した。
「あ、いや、こういうところ初めて来たので、何をどうしたらよいのか…」
彼女は優しく微笑みながら、鈴木の質問に答えた。
「そうですね、こちらのメニューに美味しいコーヒーやケーキがたくさんありますよ!特にこのチーズケーキはおすすめです!」
鈴木は、彼女がおすすめするチーズケーキを注文し、彼女との会話を楽しんだ。
彼は彼女が自分に興味を示してくれることに驚きながらも、同時に心が温かくなった。
彼女は「鈴木ユズキ」という名前で、ショートボブの髪型に、印象的な大きめのピアス、そして、淡いパステルカラーのエプロンがよく似合う、人懐っこい笑顔がとてもかわいい女性だった。
その夜、二人はカフェで長い時間を過ごし、お互いの話を聞きながら親しくなっていった。
彼らの間には特別な心情が芽生え、彼らの関係は次第に深まっていった。
そして、その夜、2人は結ばれた。
鈴木はまた一心不乱に腰を振った。
ユズキはおしりを突き出して彼に言う。
「ねぇ…」
「ユズキって、呼んで…」
彼は瞬発的に「もう腰がとまんないよぉぉぉ!ユズキぃぃぃ!」と言いそうになったが、ベルウッド様との約束を守り「背中がきれいだねぇ、スズキぃー」に言いなおし、その瞬間、彼はぐったりとユズキの背中にもたれた。
大学生活の新たな展開に胸を躍らせる鈴木は、テニスサークルに参加することを決意した。
彼はさらなる出会いを求めていた。
テニスコートに足を踏み入れた鈴木は、不安な表情を浮かべながらも、周囲を見渡した。
すると、彼の目に「すずきさん」とか、「ハズキ」などと呼ばれている女子が飛び込んできた。
彼女の名前は「鈴木ハズキ」といい、彼女は爽やかなテニスウェアに身を包み、ポニーテールがフリフリして、とてもかわいかった。
ハズキは鈴木に親しげに声をかけ、彼を歓迎した。
「こんにちは!初めてですよね?」
「私は鈴木ハズキです」
「一緒にやりましょう!」
彼女の明るい声に心を奪われた鈴木は、緊張と興奮がいり混じった気持ちで彼女に応じた。
「え、えっ、やりましょうって、何をですか…?」
「一応、初めてでは、ないです。2回ほど…」
彼らは一緒にテニスを楽しみ、互いの距離を縮めていった。
二人はテニスの心地よい疲れを癒しながら、親しく話し、お互いのことを深く知ることができた。
彼らの関係は次第に深まり、その夜、2人は結ばれた。
ハズキは鈴木の上で、一心不乱に腰を振った。
「ねぇ…」
「ハズキって、呼んで…」
彼は瞬発的に「するんじゃなくて、されるのすきぃぃぃー、ハズキぃぃぃー」と言いそうになったが、ベルウッド様との約束を守り、
「されるのすき、されるのすき、されるの大チュキぃぃぃー!すずきぃー」に言いなおし、その瞬間、彼は大きく目を見開き、ビクっとした後、安らかな顔を浮かべた。
勢いに乗った鈴木は、合コンの会場に足を踏み入れた。
初めての合コンに緊張と期待で胸が高鳴っていた。
彼は他の参加者たちを眺めながら、少し緊張した笑顔を浮かべていた。
すると、彼の目に留まったのは一人の女性だった。
彼女の絶世の美少女さに、鈴木は思わず息をのんだ。
彼女は、煌めく笑顔で周囲を明るく照らしていた。
鈴木は彼女の姿に一目惚れしてしまった。
合コンが進行する中、彼女の自己紹介の番となり、周囲はざわめいて、とてもうるさかった。
しかし彼女の苗字がスズキと聞こえた瞬間、鈴木の心臓は、一瞬止まった。
勢いにのっていた鈴木は、臆せず彼女に話しかけた。
「はじめまして、鈴木さん」
「オレも鈴木っていうんだ!」
鈴木が、鈴木に話しかける時に毎回使用する鉄板の鈴木ネタを炸裂させた。
彼女は言う。
「いえ…」
「わたしは鈴木ではなく…」
「都築ですけど…」
「えっ…」
彼女の苗字は鈴木ではなく、都築だった。
この事実が明らかになると、鈴木は息ができないような苦しみに襲われ、意識を失い、その場に倒れてしまった。
意識を失った鈴木に、ベルウッドが語りかけてくる。
「鈴木よ」
「鈴木太郎よ」
「鈴木以外に話しかけてはいけないと、あれほど言ったではないか…」
鈴木は気がつくと、自分の部屋のベッドの上だった。
周囲を事細かに確認したが、今までの自分の顔も体形も体臭も、何ら変わらなかった。
「夢か…」
鈴木は胸をなでおろしたと同時に、超絶モテていた自分は現実ではないことへの悲しみに、しばらく打ちひしがれた。
「大学、行くか…」
鈴木はキャンパスに足を踏み入れると、後ろから話しかけてきた男がいた。
それは親友の佐藤だった。
「おい、鈴木、おはよう」
鈴木は振り向いて、挨拶を返す。
「おい、佐藤、おはよう」
そこには高校時代の佐藤とは全く異なる姿で、スリムな体型と自信に満ちた笑顔を見せていた。
周囲には3人の女の子が取り巻きをなしている。
佐藤の変貌ぶりに、鈴木は驚きを隠せなかった。
「おい!佐藤、どうしたんだ!なんかカッコいいな?」
「ダイエット頑張ったんだ!勇気を出して美容室にも行った!ユニクロンにも行ったぜ!」
佐藤は鈴木とグータッチを交わした日から、自分磨きにいそしみ、自分の現状を変えようと必死に努力していたのだ。
「どう!オレ、少しはカッコよくなったかな、鈴木」
鈴木は思った。
以前の佐藤なら、1人称はオレではなくボクだった。
佐藤は努力をして自分自身を変え、とても自信に満ちている。
そこには小太りで、垢ぬけない佐藤はいなかった。
流行りの髪型にサラサラヘアー、清潔感のある服装、人懐っこい笑顔。
佐藤は、甘々系男子に変貌を遂げていた。
鈴木は、なんの努力もせず、現状を変えようとした自分を恥じた。
そして、大切なはずだった親友を無視した自分が本当に情けなかった。
ずっと同じような境遇だった佐藤は努力を重ねて、自分が欲しかった境遇を手に入れている。
鈴木はちゃんと気づいた。
自分が欲しいものは、目標を決めてちゃんと努力をしないと手に入らない。この事を大学生活の開始時に、気づかせてくれた佐藤とベルウッド様に感謝した。
鈴木はたまらない気持ちになり、空に向かって叫んだ。
「おい!佐藤!オレもモテたいぃぃぃー!」
「大丈夫だよっ、鈴木」
「オレでもできたんだっ、力になるよっ!」
佐藤は導くように手を伸ばしながら鈴木に言った。
鈴木はその手をとり、佐藤の顔を見た。
「大丈夫だよっ」
佐藤は、溶けてしまいそうなほどの甘い笑顔で鈴木を見つめていた…
そう…
それは…
とても、とても…
あまい…
シュガーのようだった…。