ある日、鉢合わせをしてしまいました①
「この国の王様の息子なら、一度はゴザール広場のバザールを体験するべきですよ~!」
きっかけはリュミナが言ったその言葉であった。
将来は公爵位を賜り、兄王を支えて国政に携わっていく事が決まっている第二王子ルドヴィックはその言葉に反応した。
「そんなに凄いのか?」
「美味しいものや珍しいものや綺麗なものが沢山あります!学院祭もあんなだったらいいのに!って思うくらい」
リュミナのその言葉に、今度はエクトルが反応する。
「ほう、学院祭にバザールの要素を?」
学院祭の運営委員の長になる事が決まっているエクトルはすでに今年の学園祭のテーマについてあれこれと調べ初めているのだ。
「異国文化をテーマにした学院祭にしてもいいかもしれないな……」
ぶつくさと口にしながら思考中のエクトルを他所にコラールがルドヴィックに進言する。
「確か屋敷の使用人が言っていました。バザールは市井の恋人たちのデートスポットだとか」
「デート……」
デートという単語に反応を示すルドヴィックを見て、リュミナは目を輝かせた。
「そう!そうなんですよ!恋人同士でバザールを回り、男性が女性に異国のアクセサリーなどを贈るのが人気なんですよ~♡いいな~♡」
ルドヴィックをチラチラと視線を送りながらウットリとするリュミナに、イヴァンが言う。
「恋人じゃなくても贈ってもいいんだよな!」
「もちろんですよ~♡イヴァン様。近頃の流行りはですねぇ……」
そう答えてリュミナはイヴァンとコラールに異国のアクセサリーがどのような物かを語って聞かせ出した。
それを尻目に何やら思案していたルドヴィックがエクトルに言う。
「異文化交流をする民の暮らしを知っておくのも王族としては大切な務めだな」
「……デートの下見をされるのですか?」
「なっ、誰もそのようなことはひと言も言ってはないではないかっ」
「俺は来月のバザールに誘ってみることに決めました。その前に令嬢を連れ歩いても治安的に問題ないかを下見に行くつもりです。学院祭のテーマに出来るかも確かめたいですし」
「そうか。ならばこれから行こう」
「え、これからですか?」
「別に構わんだろう。今日の執行部のミーティングは中止だ。これよりバザールに向かう。コラールは学院側に通達を、イヴァンは一年の役員たちにミーティング中止を知らせて来てくれ」
「承知しました!」
「了解です」
「キャーーッ!やったぁ!じゃあワタシ、ちょっと身支度を調えてきまーす!」
そう言ったリュミナとルドヴィックに指示を受けたコラールとイヴァンが生徒会室を後にする。
三人が戻り次第バザールへ向かう事になるだろう。
その間にエクトルが誰とは言わずに捕獲にかかるという話となったのだが、
まさか本当にバザールにて物理的に捕獲をするとはこの時のエクトルは想像もしていなかった。
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今日は短めでごめんなさい( ߹꒳߹ )ゴメンヨー
さらに明日の更新はお休みします。
重ね重ねごめんなさい。 °(°´ᯅ`°)° 。ピエーン