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暁光より来る継承者  作者: 伊上友哉
2/11

目覚め

 ぐるぐる、闇の中を漂う。


 そうだ、僕は死んだんだ。


 いや、死んだ事に気付こうとしてなかったのか。


 どちらにせよ、これで終わりだ。


 ごめんなさい、先生。


 僕は前向きに死にたくないって思えなかった。


 もっと、人の役に立って、人に囲まれて死にたかった。


 こんな心臓でなければ。


 こんな体でなければ。


 そう思っても、もう何の意味も無い。


 僕の人生は終わってしまった。


 ならいっそ、消えてしまいたい。


 こんな所にいたくない。


 あまりに強い悔恨に頭を掻き毟りたくなるが、それすらもできない。


 消えてしまいたい。

                                    助けて

 なのにどうして、僕はまだこうしているんだろう。


 この何もない闇こそが死後の世界なんだろうか。

 助けて

 だとすれば、僕はやっぱり惜しまれてなんかいなかったんだろうか。

                                    助けて

 ふと、僕の耳に何かが聞こえた。

 小さいけれど、確かに。

                                    助けて

 一人じゃない、何人もの声が一つになったような声だ。

                                    助けて

 呼んでいる。僕を呼んでいる。


 その声に意識を向けた瞬間、僕の霧のようだった体は急に集合し始めた。しかし、上手くまとまらないのか、くっついては離れて、繋がっては千切れてを繰り返す。あまりの不快感に拒絶しかけた時、僕の中に何かが入って来た。途端に僕の体は形を成し、骨が繋がり、臓器が収まり、筋肉がくっつき、最後に皮膚で包まれた。そして、幾つもの手が僕を掴み、物凄い力で引っ張り始めた。そして強烈な、でもまるで海から顔を出したばかりの暁光のような光が僕を飲み込んだ瞬間、今までの物とは全く違う、温かくて、優しい声が聞こえた。


 僕の体をあげる

 頑張れ


と。




 目を覚ますと、僕はベッドに寝そべっていた。視界はまだぼやけて見えないが、いつもの目覚めと同じ感覚に安堵を覚えた。

(よかった、死ななかったんだ…)

意識が途絶えた瞬間の、命を失う感覚が体にこびり付いていて、かなりリアルな夢だったな、なんて考えたが、すぐに違和感を覚える。空気が違う。病院内の清潔な空気とは違い、同じく綺麗なのだが、清潔と言うよりも清浄と言うべき、どこか神聖な感じの空気がした。何故そう感じるのかは分からないが。やがて視界は正常に見えるようになり、周りを見て驚愕する。病室とは全く違う、石造りの壁に天井、床。まるで写真集で見た古代の遺跡のような作りの部屋。そこの隅に配置されたベッドに寝そべっている。理解が追い付かず、更に動揺が増し、心臓が早鐘を打つ。すぐに来るであろう動悸に身構えて思わず心臓辺りに手をやるが、そこで更に違和感を覚える。心臓が全く苦しくなく、胸板の手触りも全然違う。思わず上体を起こし、自分の体に目をやる。意識を失うまでの僕は、碌に運動もせず、食べる量も相当に少なかったから肋骨が浮かぶ程ガリガリに痩せていたのに、今の僕の体は健康的に筋肉が付いていた。ボディビルダー程ではないけれど、しっかり体を鍛えている人の体つきだ。腕も同じで、恐らく足もそうなっているだろう。

 余計に混乱するが、とにかく今の状況を把握するべきだと考え、ベッドから降り、窓から外を見る。当然全く見覚えのない景色だ。どうやらこの遺跡?は小高い場所に建てられているようで、ある程度遠くまで見通す事ができた。周囲は森と草原、後は山に囲まれている。吹き込む風が心地いい。小さな川は太陽の光を照り返して、キラキラと輝いている。まさに山紫水明、風光明媚と言うに相応しい風景だった。それをこの目で見られた事に感動を覚えながら、しかし状況は何も解決していない事に少し焦りが生まれる。取り敢えず、ここは僕の知らない場所だ。もっと詳しい事を知らないと。相当に緊張しながら、僕は扉に手をかけた。鍵は掛かっていない。そう言えば、僕も拘束されていなかった。誘拐とかではなさそうだが、やっぱり訳が分からない。そっと音を立てないように扉を開け、廊下を確認する。人影はない。忍び足で廊下に出た。

 廊下もさっきの部屋と同じで、遺跡っぽい石造りだ。裸足だから、足裏がチクチクするが、あまり気にはならない。以前の僕ならこれだけでもかなり辛かったろうに。そんな事にいちいち感動を覚えつつ、十数分歩いていると、開けっ放しの部屋があった。人の気配は無く、警戒しつつ中を覗き、誰もいない事を確認して中に入ってみる。ベッドに、書き物机、椅子、そして鏡がある。埃などは積もっておらず、人の生活感を覚えた。僕は鏡に近付いて、僕の体を確認してみた。そこに立っていたのは、様変わりした僕だった。平均身長より少し低めの身長、右目尻辺りの泣き黒子が目立つ顔の構造は変わらないが、髪の色と瞳の色がまるで違う。黒かった髪は淡い、金とも銀とも言えない髪になり、焦げ茶色だった瞳は薄紫色になっていた。さっき見た通り、体は健康的に鍛えた人の体つきだ。思わずまじまじと眺めてしまう。

(なんだか僕じゃないみたいだ)

 そんな事を考えていると、不意に話し掛けられた。

「あら、目覚められたのですね」

背後から聞こえた声にぎょっとして振り返ると、女の子が一人、立っていた。思わず挙動不審になってしまう。

「あ、えっと」

「ああ、難しいかもしれませんが、どうか警戒しないで下さい。私は貴方に危害を加えるつもりは毛頭ありませんから」

 彼女はふっと、どこか小さな花を思わせる微笑みを見せる。染めているのか、薄紅色の長い髪がそれを連想させたのかもしれない。年の頃は僕より少し上、二十前後くらいだろうか。

「貴方も聞きたい事が沢山あるでしょうし、私も貴方に話さなくてはならない事が沢山ありますから。落ち着ける場所でお話ししましょう。よろしければ、私について来て下さい」

そう言って、彼女はゆっくりと歩き出す。正直、全く信用できる要素が無かったが、このままでいても埒が明かないのもまた事実で、警戒しながら、彼女の後ろを付いて行った。

 やがて一つの部屋に着いた。そこはどうやら団欒室のようで、ローテーブルとそれを囲うように配置された四つの椅子、少し離れた所にティーポットとカップらしき物、その隣に暖炉が設置されている。

「どうぞ、座って下さい」

彼女は扉に一番近い椅子を指し、自分は向かい側の椅子に腰かけた。彼女の誘導に従い椅子に座る。

「さて、まずは貴方の聞きたい事にこたえる事にしましょう。何か聞きたい事はありますか?私が知り得る事であれば、隠さずにお話しましょう」

「ええっと、そうだなあ…、ここは何処ですか?」

「地名を聞いているのであれば、ここは“最北の大地(ノースラッド)”に存在する、“荘厳なる山々(ノーブル・ハイランド)”の一角、“最初の峠”にある小さな、先代の継承者所縁の神殿です。神殿に名前はありません」

 全く聞き慣れない名前だ。と言うか、そんな地名存在するのか?いや、そう言えば、あのモンブランも元は“白い山(モント・ブラント)”から来てるって聞いた事がある。

「僕の体がここに来る前と全然違うのは何故ですか?」

「それについては分かりません。私はただ、私たちの使命に従い貴方をここに呼んだだけですから。もしかしたら、“門”を潜っている間に何かあったのかもしれません。もし不都合があるのであれば、私たちの不手際です。申し訳ありません」

 彼女は随分と腰が低く、なんだかこっちがいたたまれなくなって来る。

「えっと、そんなに遜らないで下さい。その、僕が凄く申し訳なくなるので…」

「…すみません。ですが、私は、いえ、私たちは、貴方の都合などを無視してここにお呼びしたのです。ただ、自分たちが救われたいが為に。貴方の、これからを無理矢理に奪ったのです。ならば陳謝して然るべきでしょう」

「――その、“僕のこれからを奪った”と言うのは、どういう意味ですか?」

 その言葉に焦燥感が生まれ、心臓が再び早鐘を打ち始める。しかし、やっぱり以前のような動悸は襲ってこない。

「それについては、少し長い話をしなくてはなりません。よろしいですか?」

それを聞かなければ、僕の疑問は消えないのなら、聞くしかないだろう。

「ぜひ、聞かせて下さい」

「分かりました。それでは…」

彼女は、少し前の歴史から話し始めた。


 千年前、強大な力を持つ魔族が現れました。人々はそれを魔皇と呼び、恐れた。魔皇は無数の魔族の配下と共に街を次々に蹂躙し、人々を虐殺を繰り返しました。しかし一方的に攻められていた人族の中から、一人の青年が名乗りを上げたのです。

「俺が奴を殺そう。その為の力は手に入れた。人を守りし神々よ、俺はここに誓う!彼の者を討ち滅ぼし、この大地に平穏を取り戻す事を!」

彼は後に“継承剣リヴィルフィング”と呼ばれる剣を手に、魔皇の討伐に乗り出しました。


 「あの、すみません、質問してもいいですか」

重要そうだが、分からない単語が現れ、僕は思わず話を遮ってしまった。

「あ、はい。いいですよ」

「えっと、魔族と人族って、何ですか?」

「え…」

え…。

「ええ、あの、失礼な事をお聞きしますが、宜しいでしょうか?」

「あ、はい、いいですよ」

あれ、何かさっき聞いたことあるやり取りだ。

「過去の記憶は思い出せますか?」

「ええ、勿論です」

「けれど魔族と人族について知らないと」

「はい」

「……、重ね重ね失礼ですが、以前は何処に暮らしていたのですか?」

「えっと、日本って言う国なんですが、知りませんか?」

言った所でやっと頭が働き始めた。

 変わってしまった僕の体。

 知らない場所。

 自然では存在し得ない薄紅色の髪。

 聞き慣れない地名。

 「呼んだ」。

 “門”。

 魔族と人族。

 彼女の反応。

 そして。


「誠に申し訳ありませんが、私は聞いた事がありません」


 彼女の返答。

 信じ難いが、こう結論付けるのが一番納得できる気がする。


 ここは、僕の元居た世界じゃない。


 「嘘でしょ…」

不安や細かな感動ですっかり忘れていたが、体にこびり付いたあの命を失う感覚は、現実の物だったのだろう。僕は、あの時死んだんだ。その事に思い至った時、頭に衝撃が走った。

何も見えない空間。曖昧な体。回想。疑心、疑心、疑心。

消えてしまいたい。

消えてしまいたい。

消えてしまいたい。

消えてしまいたい。

         助けて

数多の手と、暁光。

 頑張れ


「大丈夫ですか?」

彼女の声で我に返る。僕の顔を覗き込み、本気で心配そうな表情を浮かべていた。気付けば、僕の顔は脂汗でじっとりと湿っていた。少し、気持ちが悪い。

「急に話をしすぎましたね。申し訳ありません。どうぞ、今日は休んで下さい。貴方が使っていた部屋は好きに使って下さって構いませんから」

案内します、と彼女は立ち上がり、僕に手を差し出した。その手を取って、びっくりする。彼女の手はとても熱く、しかし、ずっと触っていたくなるような、不思議な安らぎがあった。

立ち上がると、彼女と目が合った。その瞳孔は、まるで羊のように横に伸びている。これも元の世界には無い筈の物だ。こんな事にも気付かないくらい、僕は冷静さを欠いていたらしい。僕が彼女の目を凝視していると、彼女は少し視線を逸らした。しまった。

(無遠慮に眺めすぎた…)

気まずい空気が流れ、お互いに黙ってしまう。

「えっと、人族を知らないって事は、私の目も見慣れてませんよね…」

「あ、ああ、はい」

「じゃあ、道すがら説明しましょうか」

「お、お願いします…」

お互い気まずさを紛らわすように、彼女は説明を再開した。


 「人族とは、基幹種(ヒューム)と呼ばれる種族を始まりとする、幾つかの種族の事です。まずはヒュームの説明をしましょう。ヒュームとは貴方と同じ種族で、ああ、そう言えば体が変わっていたのでしたね」

配慮が足りませんでした、と彼女は頭を下げる。

「ああ、いや。変わったのは肉付きとか髪と目の色くらいだから、気にしないで下さい」

「それでも、です。…さて、詰まる所、貴方の事でもあります。基本的に中肉中背、丸い耳、丸い瞳が特徴と言えば特徴ですね。世界各地に住み、何処でも見られる種族です。故に気性には地域差や個性が良く表れる為、一概には言えませんが、強いて言うなら、革新的な行いをする者が多いように思われますね。常に新しい方へ向かうと言いますか」

詰まる所、元の世界の人間の事なのだろう。

「次は長命種(エルフ)の話をしましょう。男女共に見目麗しく、細く高い背、そして木の葉のように長く尖った耳が特徴です。他種族に比べても

遥かに長い寿命を持ち、水源豊かな森の中で生きる種族です。穏やかでありながら気高い精神から、“遠世の賢者”と呼ばれる事もあります。また、マナに対し高い親和性があり、法術に長けた者達でもあります。今は出かけていますが、この神殿にもいますよ」

また聞き慣れない単語が飛び出す。まなって何だ。

「すみません、また質問してもいいですか?」

「ええ、いいですよ」

「マナって何ですか?」

彼女は声にこそ出さなかったものの、再び「え…」と言う顔をした後、

「ああ、成素と言った方が伝わりますか?」

「せいそ…?」

「ええ…」

ついに声に出してしまった。何となく分かって来たが、多分彼女は嘘を吐いたり、隠し事をしたりするのが苦手なタイプだ。

「この世界を満たし、成り立たせる“原初の力”の事なんですが、…本当に分かりませんか?」

「申し訳ない事に…」

彼女は足を止めてこめかみを押さえて悩み始めてしまった。少しして、頭を上げた。

「……今はマナの話は止めましょう。私より、先程お話しした、エルフの人の方が上手く説明できるでしょうし」

「…すみません…」

話の腰を折ってばかりで、段々恥ずかしくなって来た。

「謝らないで下さい。強制的に呼び出した私たちが悪いのですから。ええと、どこまで話しましたっけ」

「エルフがマナ?との親和性が高いから法術が得意だ、と言う所までです」

「ああ、すみません。そうでしたね。次は頑強種(ドワーフ)について話しましょう」

「ドワーフは低身長でがっしりとした体格、はっきりとした目鼻立ちが特徴ですね。頑丈な体を持ち、特に熱と毒に強い為か、火山に住んでいる事が多いです。また、手先が器用な事もあって、街の加工場で働いている所もよく目にします。性格は厳格かつ豪放である人が多いように感じます。その為か、“鉱山の職人”とも言われますね」

何となく、職人気質な人達なのかな、なんて考える。

「まあ、性格は飽くまで私の主観であって、勿論必ずそう、と言う訳ではありませんよ。現にここのエルフの人は結構軽い雰囲気の人ですし」

付き合いが長い相手なのか、親近感を感じさせつつも少し呆れ気味に彼女は言った。

「他にも幾つか種族はありますが、関わる事が多いのはこの三種ですね。…後は私自身の事でもありますから、吸血種(ヴァンプ)についてお話ししましょう」

ヴァンプと聞いて、元の世界の吸血鬼(ヴァンパイア)が浮かぶ。

「他の生物の血液を吸う種族です。よく勘違いされる事があるのですが、別に血を吸わなくても普通の食事をしていれば生きて行けます。血は、嗜好品のような物ですね。口にすると体の調子が良くなったり傷の治りが早くなったり、そのくらいです。身体的特徴は、横に伸びた羊のような瞳、そして牙ですね」

彼女は唇の端に指を引っ掛けて牙を見せてくれるが、それよりも急に聞き慣れた単語が出て来た事に気を取られてしまった。羊はこの世界にもいるらしい。

「住む所は個人の好みによってまちまちです。暗い洞窟に住む人もいれば、街中の豪邸に住む人もいます。ヴァンプもマナの親和性が高いのですが、体の機能としてその殆どを肉体の活性に回してしまうので、エルフとは違い法術は苦手です。現に、私もほぼ使えません」

マナに気を取られて見落としていたが、法術もよく分からない事に気付くが、これ以上話の腰を折る事に気が引けて今は黙っている事にした。

「性格は、そうですね。引っ込み思案な人が多いです」

自分の事でもあるからか、今までとは打って変わって後ろ向きな言葉を使った。

「真夜中に活動する人が多い為、“暗夜の隣人”、”不死者”なんて呼ばれますね。…今はこんな所でしょうか。もし今後他の種族に出会う事があれば、その都度お伝えしますね」

彼女が話をしめた所で僕が目覚めた部屋に到着した。

「それでは夕方になったらご飯をお持ちしますから、それまでゆっくりお休み下さい」

「はい、ありがとうございます。えっと…」

そう言えば、話に夢中でお互いに名乗っていなかった。何か今日は随分と重要な事が抜け落ちているな。

「僕は椎名結人って言います。すっかり名乗るのを忘れてたけど…」

それを聞いて、彼女もはっとした。

「私も忘れてました…。私はジェシカ・プリムローズと言います。どうぞ宜しくお願いします、シーナ様」

正直、その敬語や様付けで接されるのは凄く落ち着かなかった。

「こちらこそ宜しくお願いします。…あと、お願いがあるんですが、いいですか?」

「ええ、何なりと」

「その、もっと砕けた接し方をして欲しいです。呼び方も様付けじゃなくて、名前を呼び捨てで良いので」

「しかし、これは私のけじめと言うか…」

「そう言う堅苦しい心持で話してると、正直僕も疲れてしまうんです。だから、お願いします」

「――分かりました。でも、私からもお願いがあります」

「何でしょう?」

「貴方も、もっと砕けた接し方をして下さい。それが、私の罪悪感を和らげると思って」

彼女、ジェシカは真っ直ぐ僕の目を見る。

「うん、分かったよ。改めて、これから宜しくね、ジェシカ」

僕は手を差し出した。

「ええ、宜しく、シーナ」

ジェシカもその手を取って握手をしてくれた。…と言うか、思わず握手を求めてしまったけど、こっちにも同じ作法があるのか。

「あ、ごめん。僕のいた場所では苗字を先に持って来る風習があってね。だから僕の名前は椎名じゃなくて結人の方なんだ」

「あら、そうなの?珍しいわね。…ユイト」

何だか改めて呼ばれるとむず痒く感じる。

「じゃあ、夕方になったら呼びに来るわ」

「うん、宜しく」

彼女はふわりと、やっぱり小さな花を思わせる微笑みを浮かべて、廊下の曲がり角を曲がって行った。

 本編の始まりです。主人公、椎名結人の物語、どうぞお楽しみ下さい。

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