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第6話 相談とナース服と。

更新が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。



高級そうな壺や絵が並ぶ玄関を後にし、階段を上っていく。


ここに来るのは二回目。一回目は雫の看病をするために来たんだっけ。


 今では、かなり昔の事に感じるような、とは言ってもあれから1か月ほどしかたっていない。


 そういえば、もうそろそろ雫と付き合い始めてから2か月が経とうとしてるのか。


 しかし、今はその事を深く考えられるような状態になかった。


「大丈夫?」


 雫が悪い雰囲気を察してか、声を掛けてくる。


 玄関から少し歩いたところにある鏡で顔を確認すると、少しやつれて、どことない疲労感が漂っている。


 毎朝鏡で自分の顔を見ているが、ここまでひどい顔は初めてだった。


「あんまり大丈夫じゃない、かな。ごめん相談に乗ってもらってる立場なのに」


「いやいや! 全然大丈夫だよ! 困ったときはお互い様だよ!」


「ありがとう」


 そういって会話は一旦止まり、僕と雫は部屋へと向かう。


 階段を一段一段上がっていくにつれて、昨日の出来事を思い出す。


 一歩踏み出すにつれて後悔が僕を襲う。

 

 どうすればいいのかわからなかった。


 だけど、何か最適解があってのではないか。そのことばかりが頭を駆け回る。


 昨日のあの瞬間からずっと。


 そんなことを考えていて前を見ていなかったせいか、壁と衝突し派手に転んでしまった。


「‥‥いったぁ」


「え!? 大丈夫!?」


「あ、うん、大丈夫」


「いやいや、絶対大丈夫じゃないでしょ!! さっきからすっごい顔色悪いし」


「ほんとに大丈夫だから……」


 雫は少し悩んだような顔をし、そうだ! と何かを閃いたように手を叩く。


「ちょっとだけまってて!」


「え、ちょ」


 そういって雫は「まだ入らないでね!」といって、自分の部屋に入っていく。


 何が始まるんだ。少しばかりの心配と好奇心が混ざり合う。


 中ではガサガサと何かを引きずりだしているかのような音が鳴っている。


 というか、閃いたような振りをしていたが、もしかして、これが目的で家に呼んだのだろうか。


 というのはいつも会うとなったら基本、雫の家はいつご両親が帰ってくるかわからないので、僕の家で会うことにしている。


 しかし、今日は珍しく「私の家で会お」とメッセージを送ってきたので雫の家で相談に乗ってもらうことにしたのだが……。


 今こうやって改めて考えてみると、雫は何かを、企んでいる……。


 いつも雫はこういったことをしないので、もっと好奇心が湧いてきた。

 

 そんなときでも中からはゴソゴソ、ガサガサといった音が鳴っている。


 なかなか時間がかかっていたので、これは、行くしかない。そう思った。


 単純な好奇心と、雫を驚かせたい。

 

 いや、でも、せっかく準備してくれているのに……。


 しかし、好奇心に負けてしまい、ドアノブに手を掛ける。


 ガチャリと勢いよくドアが開く。


 そして、そこに広がっていたのは‥‥、前とあまり変わらない部屋と、そこに立つ、ナース服のようなものを着る途中の雫が居た。


 もちろん着る途中、という事で紺色の水玉模様のパンツが見えたが、その瞬間目がばっちりと合う。


 顔を真っ赤に染めて、耳まで染まりきろうか、というところで近くにあったぬいぐるみやら何やらを投げつけながら叫んでくる。


「ばかぁぁぁぁぁ! 遼君の変態っ! スケベ! 出てって!!!」


 半分泣きそうになりながら叫んでいるが、どうしてもその光景から目を背けられない。これは男に生まれた者の使命なのだろう。


 しかし、投げるものがなくなってか、半分履きかけたナース服のスカートを直そうとせず床にへにゃりと倒れこむ。そして、泣き始めた。


 投げるなら隠せばよかったのでは?なんて考えは捨て、雫に近寄る。


「ごめんって、雫。やっぱり‥‥好きな人のは、ほら、見ちゃうじゃん?」


「見ちゃうじゃん?じゃないっ!ひどいっ!そんな人だと思わなかった!」


「ごめんって。ほらこのブランケット使って」


 と、ベットの上にあったブランケットを雫に渡す。


 そして、そのブランケットを履きかけのナース服のスカートからのぞかせている紺色の水玉模様のパンツの上にかけて隠す。


「……ありがと」


「うん、ごめん」


 こんな時でもお礼が言えることは雫のいいところだと思う。


「それと、とりあえず‥‥出て?」


 おっと。少しでも脳がこの景色を保存しようと勝手に長くここにいる選択をし続けたようだ。


 正直まだこのまま居たかったが、この状況では出ないほうが後々とんでもないことになりそうなので、雫の指示に素直に従い部屋を出る。


 まぁ、もうすでにとんでもないことになっているのには目を瞑ろう。もちろん僕にとって幸せ、という意味で。


 そのまま部屋を出て扉の前に座り込む。


 やっぱりスタイル良かったなぁ、なんてことを考えながらぼーっとしていること約五分。


 雫から入っていいよ、という許可が出たので改めて部屋の中に入る。


 すると、まぁ、どんな服装なのかはすぐに分かった。ナース服だ。


 いつもはぴちっとした服をあまり着ないせいでスタイルの良さが目立たないが、ナース服のお陰で見事なボディラインが見えている。


 太すぎず、細すぎずの健康的な長い足にくびれのあるお腹。その体に見合わぬ立派な二つのお山をもっていらっしゃる。


 眼福です。


 また、顔を見ると、ナース服を見せる恥ずかしさからか、それともさっきの出来事からだろうか、顔がいまだに真っ赤である。


「顔、さっきから真っ赤だけど‥‥大丈夫?」


「っっっ! さっきのことは忘れて! 記憶から消去して!!」


「あ、うん、わかった」


 と、返すがあんな刺激的な光景を忘れるわけがない。


「‥‥ならよし」


 なんて満足そうに言っているあたり、やはりどこか抜けている、というかなんというか。


 まぁ、雫がいいならいっか。


「それと‥‥‥改めてだけど、そのナース服、どうしたの?」


「‥‥お母さんが‥‥」


「お母さんが?」


「‥‥‥昨日の夜お母さんに、遼君が落ち込んだ時どうすればいい? って聞いたら、『これ着て膝枕すれば一発よ!』って言ってたから‥‥‥」


 いや、なんでナース服があるんだよ。


 だけど、今回は‥‥お母さん。ナイス。


「でも、これの着る方法がわかんなくて、時間かかっちゃった‥‥」


 それで、僕が入ってきたときにあんな状況だった、と。理解した。


 あ、いや、ちょっと待て。膝枕って、え?あの、太ももの上に頭をのせてもらうリア充御用達の?

 

 そんなことを考えている内に雫がベットの上に腰を掛け、太ももをポンポンしながら「おいで?」と誘ってくる。


 どうして雫が行うこと一つ一つはこんなにも破壊力を持っているのだろう。謎だ。


 しかし、今はそんなことを思うだけで理性はどこか遠くへ吹っ飛んでいた。


 1歩、2歩、と雫に近づき、雫の横に僕も腰を掛ける。


 改めて太ももをポンポンと軽くたたき「おいで?」と少し小さい声で雫が言う。


 理性なんて知ったものか。それに、彼女だし、これくらいはいいだろう。そう思い遠慮なく雫の太ももに頭を乗せる。


 この時なぜ「いただきます」なんて言ったのかは自分でもわからない。


 そして、乗せたら乗せたで、すごい。語彙力失っちゃうわ。


 雫のいい匂いと、太もものぷにぷにとした感覚と、この状況の背徳感で緊張と癒しが混ざり合った何とも言えない気持ちが渦巻く。


 そんな中、雫が僕の頭を撫で始めた。いやいやいやいや、ヤバい。


 しかも小声で「よしよし」なんて言ってるんだよ。


 俺地獄耳なんだから聞こえちゃうんだよ。


 しかし、撫でられているせいか、そんなことは段々とどうでもよくなってきて、段々と瞼が重くなってくる。


 そして、雫に包まれ気持ちよくなってしまった僕は、そのまま相談することを忘れ、自分の意識を手放した。




今回も読んでいただきありがとうございました。

今回は作者も意図せぬイチャイチャ回になってしまいました。ですが、すっごい筆が進みました。イチャイチャ最高。


それと、作者の都合で一週間休んでいました。本当に申し訳ないです。これからはちゃんと更新します。


きちんと完結はさせますのでどうか最後までよろしくお願いします!

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