第4話 うち崩れる願望、希望。そして混乱。
これからは二日か三日に一度の更新になりますが、完結はしっかりとさせるつもりなので、これからも読んでいただけると嬉しいです。
エオンショッピングセンター。
土日は家族連れで賑わい、ワイワイと混雑している。
そんな中フードコートに集まった僕と池田は、周りの家族連れなどの笑い声やはしゃぎ声などで、沈黙さえ感じてはいないものの、なんとなく気まずい雰囲気が漂っていた。
メッセージで普通に呼び出したのはいいが、最近はほとんど喋っておらず、実に2、3週間ぶりに話すのだから。
だが、もちろん僕が話したいことがあって呼び出したのだ。その要件をはっきりと伝え池田の本心を聞こう。
そう思い喧騒に流されないように、大きな声ではっきりと聞こえるように話しかける。
「池田。単刀直入に聞く。なんで僕と距離をとったんだ?」
正直どんな答えが返ってくるかは全く予想ができなかった。しかし、池田が言った言葉はすべて受け入れるつもりでいる。
なぜなら、池田は大事な「友人」であり、唯一の親友なのだから。
池田は下を向き、動こうとはしない。もちろん言葉が伝わっていないのではなく、何か考え事をしているのであろう。
そんなことを思いながら池田の言葉を待つ。
少しすると池田は目の前にあったコップに入った水を飲み干し、口を開いた。
「………………」
周りの喧騒に紛れて全く聞き取れなかった。池田にしては珍しいな、なんて感じながらも、もう一度頼む、とジェスチャーで池田に伝える。
「……き、‥な…だよ」
ところどころしか聞き取れずもう一度ジェスチャーをし、また言ってもらうように頼む。
池田は何かが吹っ切れたのか、大きく息を吸い、僕に向かって叫ぶようにして言う。
「俺は!天根川!お前が好きなんだよ!」
「……は?」
それはあまりにも唐突で、僕にとってはどうすればいいのか全く分からない事だった。とりあえず何かの聞き間違えではないのか、そう思い池田に返事をする。
「それは、友達としての好きだよな?……そうだよな?」
願望や、希望が入り混じったその言葉は池田の返事によってうち崩れる。
「いいや、違う。俺は恋愛対象として好きだ、天根川。俺と付き合ってくれ」
困惑で周りがシャットダウンしたかのような静けさが僕を襲う。
いや、違う。これは過度な困惑で自分が感覚からシャットダウンしたのだと気が付く。
しかし、そう気が付いたのも束の間。様々な池田との思い出がフラッシュバックしてくる。
漫画の感想を言い合ったことから始まり、ふざけて別の友人にいたずらをしたり、二人で夏にはプールに行き、花火を見たり、冬にはスキーに行ったり、とてつもない量の思い出が頭を駆け回る。
どれも楽しい思い出ばかりだった。
池田と離れたくない。友人として、隣にいつまでも居たい。
だけど池田はそれを望んでいないのかもしれない。
恋人でいることでしか僕の隣に居たくないのかもしれない。
わからない。わからない。わからない。
ここまで池田の考えが分からなかったのは初めてかもしれない。
そう思うほどに頭は混乱していく一方だった。
そんな中、僕を呼び戻すように池田が声を掛ける。
「おい、天根川」
池田の掛けた言葉はそれだけだった。返事の催促はせず、わかり切った返事を待つような池田の姿に僕はどうすることもできなかった。
「ごめん」
この一言を言い残し僕はエオンを後にした。
池田は追ってこない。まるでその返事が返ってくるのが分かり切っていたかのように。
そんな池田の姿に、僕の心がまた一段と傷つけられる。
なにも考えられないまま家に帰宅する。そして、ソファに寝そべりスマホを開く。
そして、スマホの画面に文字を入力する。そして雫へ送信。
「相談したいことがある」の一言。
返事にすこし時間がかかるのかと思いきや、意外にも早く返ってきた。
「分かった」の一言だったが、その一言は僕を安心させるには十分な言葉だった。
今回も読んでいただきありがとうございました。
今回は池田の思いを知った天根川。そして思いを伝えた池田。これから二人の思いはどうなるのか。というところで終わりです。
今回も面白い!と思ったり続きが気になる!と思った方はぜひともブクマとお星さまをよろしくお願いします。
次回は池田sideです。次回も読んでいただくととても嬉しいです。




