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 次の日の午後。

 

 私は自分の部屋で、スマートフォンに表示させたお父さんの日記を読んでいた。


 仕事が休みのお母さんは、午前中から友達に会うと言って出掛けていて、お兄ちゃんも朝からアルバイトでいない。


 おかげで、気兼ねなくお父さんの日記を読み進めることができた。


 お父さんは一ヶ月に数回しか日記を書いていなかったし、日記を書いていたのはほんの五年くらいだから、今日で全部の日記を読み終えることができたけど、やっぱり不倫に関することは書かれていない。


 友達にも日記にもボロを出さずに不倫していたのだとしたら、相当に用心深くしていたのだろうけど、できれば本当に私達のことを裏切らずにいてくれたらと、そう思わずにはいられなかった。

 

 私はSNSからログアウトすると、何気なくスマートフォンの時計を表示させた。


 ディスプレイに映る時刻は、十四時二十三分。


 このくらいならお昼ご飯の時間からはずれているし、そう迷惑にはならないだろう。


 私は引き出しからメモ帳を引っ張り出すと、結城さんに電話を掛けてみることにした。


 スマートフォンのロックを解除すると、メモの通りに結城さんの番号を入力し、発信ボタンをタップする。


 この間は駄目だったけど、今日はちゃんと話せるだろうか。


 私が緊張しながらコール音を聞いていると、少しして怪訝そうな声の女の人が出た。


「もしもし?」

「あの、突然すみません。私、弓納持令美の娘の日和です。母がいつもお世話になってます。こちらは結城一穂さんのお電話でしょうか?」

「そう、だけど……本当に日和ちゃん? どうしてこの番号を知ってるの?」


 結城さんは落ち着いた低めの声で、どことなく知的な印象を受けた。


 感じのいい人だし、ちゃんと話を聞いてもらえそうだ。

 

 私は正直に質問に答えた。


「こっそりお母さんのスマートフォンを見たんです。ちょっと結城さんに訊きたいことがあって……」


 私は一度言葉を切ってから、切り出した。

 





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