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 もしもそういう人ができなかったら、私達は家族以外の人に対して心を開けないまま一生を終えるのかも知れないけど、独りぼっちじゃないなら、そう寂しくはなかった。

 

 私はお兄ちゃんに続いてエスカレーターを降りた。


 ここはそれ程大きな駅じゃないから、ホームの端から端まで簡単に見渡せる。日曜日の昼間だけど、この時間にこの駅を使う人は少ないみたいで、それ程混んではいなかった。


 私は狭いホームに敷かれた黄色い点字タイルの上を、お兄ちゃんの背中を追い掛けて歩きながら言う。


「……あのさ、私達が友達に言えないことも『自分が作ろうと思った訳じゃないけど、作っちゃった秘密』なんだよね。お父さんの秘密も、別に悪いことを隠してた訳じゃないのかな?」

「それはまだ何とも言えねえけど……まあ、何にしても父さんが酷い人じゃなかったらしいってことがわかって良かったよ。父さんが不倫してたって言われる覚悟もしてきたけど、やっぱり子供の立場からすると、実の父親が自分達を裏切ってたっていうのはショックだしさ」

「だね」


 久し振りに弓納持のおばあちゃんに会った時から薄々は感じていたことだけど、お父さんが不倫をしていなかったという仮説にかなり信憑性があることもわかったし、これだけでもお父さんのことを調べ始めた甲斐があるというものだった。


 欲を言えば、お父さんの秘密が何なのかわかるといいのだけど。


「後で、お母さんのスマホ調べてみるね」

「うん、任せた」


 私とお兄ちゃんはホームの適当な場所で足を止めると、それぞれスマートフォンを操作し始めた。






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