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「結城さんに関係あるかどうかわからないけど……」

 

 度会さんはそう前置きをした上で続けた。


「お父さんが亡くなる少し前に会った時、ちょっと妙なことを訊かれたんだ。『自分が作りたくて作った訳じゃないけど、家族に秘密ができたら、その秘密は墓場まで持って行った方がいいのかな?』って」


 私はきょとんとした。


 お父さんの秘密というのは何だろう。結城さんとの不倫関係のことだとしたら、「自分が作ろうと思った訳じゃない」というのは、ちょっと腑に落ちない言い回しだった。


 不倫というのは、普通自分がそうしようと思わなければできないものだろう。


 女の人だったら、場合によってはその気がなくても強引に関係を持たされることもあるだろうけど、お父さんは男の人だから、そういう被害に遭った可能性は低いし。


「父はどんな秘密を隠していたんですか?」


 お兄ちゃんの問いかけに、度会さんは首を横に振った。


「わからないんだ。訊いてはみたんだけど、話してくれなかったから」

「そうですか……」


 お兄ちゃんは少しがっかりした様子でそう言った。私も正直がっかりしたけど、仕方ない。


 私がストローでコーラを啜っていると、度会さんが申し訳なさそうに言った。


「悪いね。せっかく来てくれたのに、こんな話しかできなくて」

「いえ、結城さんのこと教えてもらえましたし、とても助かりました。ついでにもう一つ訊いてもいいですか?」


 私がそう尋ねると、度会さんは快く頷いてくれた。








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