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 どうやら心当たりがあるみたいだ。これなら結城さんに辿り着けるかも知れない。


「お知り合いなんですか?」


 コーラを飲んでいた私がストローから唇を離して問いかけると、度会さんは小さく頷いた。


「多分ね。同姓同名の別人かも知れないけど、和己君達のお母さんの友達に結城一穂さんって人がいるよ」

「お母さんの?」


 私が目を瞬かせてそう問い返すと、度会さんは小さく頷いた。


「お父さん達の結婚式で、俺の友達が結城さんと知り合ってね、付き合うことになったから、よく覚えてるよ。まあ、結局上手く行かなくて別れたって聞いたけど、お母さんはまだ結城さんと付き合いがあるんじゃないかなあ?」


 度会さんはそう言ったけど、私は結城さんの名前を聞いたことがなかった。


 お母さんは他人が自分のスペースに入り込むのがあまり好きじゃないのか、友達を家に呼ぶことがないし、友達の話をすることもほとんどないから、お母さんの交友関係は全然わからないのだ。


 でももしお母さんがまだ結城さんと付き合いがあるなら、お母さんのスマートフォンの連絡先を調べれば、きっとすぐに連絡が取れるだろう。


 いよいよあの日の真相がわかるかも知れない。


 お母さんのスマートフォンに手を付けたら、私達のしていることがお母さんに知られてしまう恐れはあるけど、ここまで来て、今更やめられなかった。


「結城さんと父は、不倫関係にあったんでしょうか?」


 カップを傾ける手を止めたお兄ちゃんの質問に、度会さんは眉間に皺を寄せて首を捻る。


「うーん、どうだろうなあ……お父さんは付き合うことになった女の人のことはいつも話してくれてたから、そういう仲になった人がいたら、きっと不倫でも話してくれただろうし、そもそも不倫なんかするような人じゃなかったと思うんだけど……」


 どうやら度会さんから見たお父さんは、おばあちゃん達が見ていたお父さんと、そう違わないみたいだ。


 お父さんは表裏のない人だったのだろう。


 友達にも不倫の件を話していなかったということは、お父さんは本当に不倫をしていなかったのか、それとも不倫が始まったばかりだったのか、あるいは余程用心深く不倫をしていたのか――一体どれが正解なのだろうか。






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