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「すみません、度会蓮也さんですか?」


 お兄ちゃんが度会さんにそう声を掛けて、度会さんがその端正な顔をお兄ちゃんに向けると、お兄ちゃんは続ける。


「どうも初めまして。先日お電話した、伊武周の息子の和己です。こっちは妹の日和です。今日はお時間を頂きまして、ありがとうございます」

「初めまして」


 私が小さく頭を下げると、度会さんは懐かしそうに目を細めた。


「二人共大きくなったなあ。和己君はお父さんそっくりだし、びっくりしたよ。元気そうで良かった」


 度会さんの口振りからすると、どうやら私達は初対面ではないらしい。


 私は慌てて言った。


「すみません、お会いしたことありましたか? 私覚えてなくて……」

「最後に会ったのはまだ保育園に通ってた時だから、覚えてなくてもしょうがないよ。それよりお父さんのことが聞きたいんだろう? 近くにファミレスがあるから、そこでいいかな?」

「はい」


 私が頷くと、度会さんは「こっちだよ」と言って、駅の外へと繋がる短い階段を降り始めた。


 その先にはバスターミナルがあったけど、度会さんはそちらへは行かずに右手に折れて、タクシー乗り場の方へ行く。


 道路の向こうの建物には、居酒屋や古本屋に混じって、ファミリーレストランのチェーン店の大きな看板が掛かっていて、あそこだなとすぐにわかった。

 

 度会さんは案の定ファミリーレストランの看板の方へ足を向けて、信号のない横断歩道を渡ると、目の前にある低い建物の階段を上り始める。


 階段を上り切った度会さんがファミリーレストランのドアを開けると、もう昼食時を過ぎているから、席は半分近く空いていた。


 他に順番を待っているお客さんはいなくて、私達はすぐに一番近くにあった四人掛けの席に通される。


 揃ってドリンクバーを注文して、私がコーラ、お兄ちゃんがホットコーヒー、度会さんがアイスコーヒーを持って来たところで、お兄ちゃんが切り出した。


「先日もお話しましたが、父が亡くなった時に一緒にいた女性のことを調べているんです。父の携帯電話に結城一穂さんという人と連絡を取っていた履歴が残っていたんですが、結城さんをご存知ではないですか?」

「結城さん? もしかして、あの結城さんかなあ……」


 度会さんは顎を擦りながら、そう独りごちた。






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