表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/126

―8―

 私が額の汗を拭っていると、お兄さんは私をベンチに残して歩き出しながら言う。


「少し待っていろ」

 

 お兄さんは社務所の方へ歩いて行って、一度姿が見えなくなったけど、すぐに戻ってきた。


 その手にはペットボトル入りのスポーツドリンクと缶コーヒーがあって、お兄さんはスポーツドリンクの蓋を開けると、そのまま私に差し出してくる。


 気が利く人だ。


 私が何気なくスポーツドリンクを握るお兄さんの左手に目をやると、その黒く長い爪にはラインストーンが星みたいにいくつもきらめいていて、薬指には結婚指輪があった。


 見た目はちょっと変わってるけど、こんなに綺麗で、どこの誰ともわからない私を助けてくれるようないい人なら、既婚者なのも納得だ。


 世の中早い者勝ちなんだなあとしみじみそう思っていると、お兄さんが言う。


「飲めば少しは楽になると思うぞ」

「頂きます」


 私はスポーツドリンクを受け取りながら、お兄さんに訊いた。


「あの、一六〇円でいいですか?」

「借りを作らないというのは悪くない心掛けだが、体調不良で苦しんでいる子供からジュース代をせびる程、金に不自由してはいないぞ」







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ