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 私は気持ちを切り替えて手を動かしながら、ふと浮かんだ疑問をおばあちゃんに投げ掛けてみた。


「そう言えば、お父さんのケータイの料金って誰が払ってるの? まさかお母さん、じゃないよね?」

「ええ、私達よ。毎月お父さんの引き落とし用の口座にお金を振り込んでるの。せいぜい数千円だから、払い続けるのもそんなに大変じゃないしね。警察の方でいろいろ調べるからって、一時期手元にはなかったんだけど、結局事件の証拠にはならないからって、返してくれたの」

「そうだったんだ。全然知らなかった……」


  お兄ちゃんがダンボールを開ける手を止めておばあちゃんを見ると、おばあちゃんはどこか遠くを見るような目になった。


「もう十年も会ってなかったものね。できれば会いたかったけど、お母さんに手紙やメールを送っても返事をもらえなくて……お母さんもいろいろ辛かったでしょうし、私達を遠ざけたいと思うのも無理もないわ。でも和己君達ももう一人で自由に出掛けられる年なんだし、良かったらこれからも時々顔を見せに来て。縁を繋いでくれたお父さんはもういないけど、私達は家族だもの」


 一緒に過ごした時間はほんの少しだけど、私達には確かにおばあちゃん達からもらった血が流れている。


 きっとお母さんは伊武のおばあちゃん達を家族だなんて思いたくないだろうけど、私にとっては紛れもない家族だ。


 おじいちゃんとおばあちゃんが――特におばあちゃんが私達のことをどう思っているか、ずっとわからなかったから、家族と思っていていいのかわからなかったけど、やっと家族と呼んでいいのだという確信が持てた。


「また遊びに来るよ。お兄ちゃんと一緒に。お父さんのこと、私はあんまり覚えてないから、もっといろいろ聞かせて欲しいな」


 私がそう言うと、おばあちゃんはその目に一際優しい色を溶かした。


 おじいちゃんは相変わらず黙ってお菓子を食べているばかりだったけれど、その表情はどことなく優しい気がする。


 少しはおじいちゃんおばあちゃん孝行ができそうで、お父さんのことを抜きにしても来て良かったと、私は思った。






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