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お兄ちゃんはお父さんに似ているから、おばあちゃんがお兄ちゃんとお父さんを重ねてしまうのもよくわかる。
当のお兄ちゃんは、どうしたらいいのかわからないみたいで、少し困ったような顔をしているけど。
おばあちゃんは目元に滲む涙を拭ってぎこちなく笑うと、お兄ちゃんからビニール袋を受け取って続けた。
「ありがとう。頂くわ」
おばあちゃんは逃げるみたいに、いそいそと部屋を出て行った。
入れ違いにおじいちゃんがのっそりと部屋に入ってくる。
おじいちゃんは朧気な記憶の中にある姿より随分老け込んでいた。
多分もう七十歳くらいだから、老けるのも道理だけど、下手をすると八十歳くらいにも見える。
背筋はしゃんとしていたけれど、薄くて短い髪は灰色を通り越して真っ白で、かさついた肌にはこれでもかというくらい深い皺がいくつも刻まれていた。
お父さんはどちらかと言うと細身だったけど、おじいちゃんはがっちりとした岩みたいな体格だし、顔立ちも厳つくて、あまりお父さんとは似ていない。
割と無口だし、愛想もいい方じゃないから、子供の頃はおじいちゃんのことが苦手だった。
今は笑わない人が必ずしも冷たい人じゃないとわかるようになったし、以前程おじいちゃんに苦手意識を抱いたりはしていないけれど。
「やあ、久し振り。二人共大きくなったな」
おじいちゃんの表情はほとんど変わらなかったけど、おじいちゃんなりに歓迎してくれているみたいだ。
私達がおじいちゃんに挨拶したところで、おじいちゃんが座布団を示して言う。
「座りなさい」
私は言われるままに大きな窓側の座布団に、お兄ちゃんも出窓側の座布団に腰を下ろした。
おじいちゃんがお兄ちゃんの向かいの座布団に腰を落ち着けたところで、おにいちゃんがおじいちゃんに言う。
「今日は時間作ってくれてありがとう」
「構わないよ。年を取ると、時間だけはある。お父さんの話を聞きたいんだったな?」
「うん」
私は小さく頷くと、続けた。




