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 話がまとまったところで、清香ちゃんがオレンジジュースを啜っていたストローから唇を離して訊いてくる。


「ねえ、そう言えば昨日SNSに浅草で外国の人に助けてもらったって書いてたけど、何しに浅草に行ってた訳?」


 私は返事に困った。


 「妖怪やお化けの怖さを克服するために、お化け屋敷に入りに行った」なんて、とてもじゃないけど恥ずかしくて言えない。

 

 私は少し考えてから、歯切れ悪く言った。


「えーと……今まで浅草寺に行ったことなかったから、ちょっとお参りしてきたんだ。スカイツリーも見られるしね」

「ふーん? 意外と渋い趣味してるなあ。何かおばあちゃんみたい」


 神奈ちゃんが少し意外そうにそう言った。


 確かに、初詣の時期でもないのにわざわざ電車に乗って遠くのお寺にお参りに行くなんて、お年寄りみたいだ。


 コーラを飲みながら曖昧に笑って誤魔化した私に、清香ちゃんがまた質問してくる。


「日和ちゃんが捜してる人って、まだ見付かってないんだよね?」

「うん」


 今日も何度かSNSをチェックしてみたけど、相変わらずお兄さんからのリプライはないし、お兄さんを知っていると言う人もいなかった。


 あのお兄さんは仕事や旅行でほんのちょっと日本にいただけで、日本に住んでいる訳じゃないのかも知れない。


 いくらインターネットで世界中が繋がっていて、いろんな国の人が同じサービスを使っているとは言っても、英語みたいな国際語での書き込みでないと、お兄さんやお兄さんの周りの人達の目には止まり難いだろうし、あのSNSでお兄さんを捜すのは無理があるみたいだ。


 外国の人が友達申請してくるのが珍しくない別のSNSでなら、英語で書けばお兄さんに気付いてもらえるかも知れないけど、お兄さんから連絡があるとは思わない方がいいだろう。

 

 私が半分あきらめの境地に達していると、神奈ちゃんが食べかけのドーナツをお皿に置いて訊いてきた。


「その人って、日本語はちゃんと話せてた?」

「うん。文語で日本語覚えたみたいで、ちょっと固いって言うか、時代がかった話し方だったけど、発音は綺麗だったし、イントネーションもおかしくなかったよ」

「もしもう国に帰ってたとしても、そこまで日本語ペラペラならきっと親日家の人なんだろうし、日本語のニュースやSNSもチェックしてたりするんじゃないかな? もしかしたら名乗り出るつもりがないだけで、日和ちゃんが捜してること自体は知ってるかも知れないよ?」

「そっか、言われてみれば、敢えて名乗り出ないっていうのも有り得るんだよね……」






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