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 明らかに日本人とは違う、ほとんど色素の混じらない白い肌。


 その白に映える艷やかな長い黒髪を、編込みを作ってサイドアップにし、大きな紫の蝶のヘアピンで留めている。


 カラーコンタクトを入れているらしい目は、瞳孔だけでなく虹彩まで黒くて、知的な印象の静かな眼差しを湛えていた。


 高貴さを感じさせる彫りの深い面差しは、直視することに躊躇いを覚えるくらいに妖艶で、この世のものではないと言われたら納得してしまうような綺麗さだ。


 でもその綺麗さは女の人と見間違うような繊細なものじゃなくて、もっと力強い、男性的な綺麗さだった。


 一八〇センチを超えているであろうすらりとした長身に纏う、黒地に白と紫の蝶が舞う華やかな浴衣と紫の鼻緒の下駄が、誂えたみたいによく似合っている。


 女物みたいなデザインだけど、帯は太くないし、決して女装している訳ではないのだろう。


 女性的な髪型と相俟って、トランスジェンダーの人なのかなと、ちらっと思ってしまったけれど。

 

 その綺麗でちょっと変わったお兄さんが、続けて私に訊いてきた。


「随分と顔色が悪いが、手を貸してやろうか?」


 もう高校生だから、こんな風に知らない男の人に声を掛けられたら、いつもならまず警戒するところだ。


 でもお兄さんは軽薄そうな人には見えないし、何より私は今とても困っていたから、お兄さんを頼らせてもらうことにした。







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