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一人は同じ中学出身の子で、もう一人は高校で知り合った子だ。
同じ中学校の子が望月清香ちゃん。
清香ちゃんはストレートの髪を背中の真ん中辺りまで伸ばした、なかなか綺麗な顔立ちの子だった。
さばさばした雰囲気で、そこがちょっとだけお母さんに似ている気がする。
普段は制服以外でスカートを穿かないらしいし、プラモデルを改造してオリジナルのロボットを作るのが好きという、女の子としてはちょっと珍しいタイプの子だった。
一方、高校で知り合ったのが高槻神奈ちゃん。
神奈ちゃんは茶色がかった髪を肩に届かない長さで綺麗に切り揃えた、びっくりするくらいに可愛い子だ。
嫉妬や勘違い以外で人に嫌われることなんてなさそうな、とても優しい雰囲気を漂わせている。
マイペースと言うか、ちょっと独特の感性を持っていて、美術の授業で描いた自画像の目を黒く太い横線で塗り潰したりしていた。
勉強以外に取り柄がない平凡な私と違って、二人共ちゃんと得意なことがあるから、一緒にいるとちょっと劣等感を刺激されたりするけど、結構気が合うし、一緒にいて楽しい。
二人は私の少し先を走っていて、白い半袖のシャツと紺色のスカートの裾が、風で小さく揺れていた。
私が二人を追い掛けて自転車を漕いでいると、清香ちゃんが軽く私を振り返って訊いてくる。
「今日借りた漫画、長い間借りっ放しになっちゃうかもだけど、ホントに良かった?」
「うん。夏休み中一回も会わないってこともないだろうし、その時返してくれればいいよ。私もう全部読んでるし、この間私も貸してもらったから」
「あれ、読んだことないけど面白いんだよね? 清香ちゃんの次は、私にも貸してね」
振り返ってそう言った神奈ちゃんに、私は小さく頷く。
「いいよ」
私達三人の共通点は、クラスの中では目立たない大人しい性格であることに加えて、程度の差はあれ本好きということで、時々こんな風にお互いのオススメの本を貸し借りしたりしていた。
入学から三ヶ月ちょっとの間に随分打ち解けたと思うけど、二人には私が犯罪被害者の家族だということは話していない。
家族相手にさえ長年してこなかった話を、敢えて友達とする気にはなれなかった。




