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お夕飯の後片付けが終わって、私は台所に置きっ放しにしていたバッグと一緒に、自分の部屋に引き上げることにした。
ドアを開けると、白くて丸いラグ。
その上には四角い白のローテーブルとマカロン型の空色の座椅子があった。
同じ空色が鮮やかなベッドや、教科書や小物を並べた白いローチェストが置かれた部屋は、私が部屋を出た時と何一つ変わったところはなかった。
私はバッグをローテーブルの上に置くと、開いたままになっていたクリーム色のカーテンを閉める。
そうしてバッグをクローゼットにしまおうと再び手に取った時、ふとあのお兄さんの言葉を思い出した。
「時が経てば、それは消える」
まさか本当にそんなことはないだろうと思いつつも、私は試しにバッグの中を覗いてみた。
でも、そこに日傘は見当たらない。
確かにこの中にしまった筈なのに。
私はマカロン型の座椅子を開いてその上に座ると、バッグの中身を全部ローテーブルの上に出してみた。
パスケース、財布、ハンドタオル、ペットボトル、図書館から借りた文庫本、花やしきのチケットにパンフレット。
やっぱり日傘はなかった。
一体どこに行ってしまったのだろう。
お兄さんはくれると言ったし、きっともう二度と会うことはないだろうけど、いつかまた会えたら、ちゃんと返したいと思っていたのに。
悪いことをしてしまったと思う一方で、私はもしかして本物の妖怪に会ってしまったのかなとちらっと思った。
あの日傘、不自然なくらいに軽かったし。
でも私はすぐにその考えを打ち消した。
そんなことがある訳ない。
多分家の前まであったというのは私の思い違いで、ペットボトルをバッグから取り出す時にでも、どこかで落としてしまったのだろう。




