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私が自分自身にそう言い訳をしていると、お母さんはいつもの調子で訊いてくる。
「いつ行くの?」
「まだ決まってないんだ。さっきおばあちゃんにメールしたんだけど、返信がなくて」
「そう。決まったらちゃんと教えてね」
お母さんはいつもこんな風に、私達の予定をできるだけ把握しておきたがった。
夜勤で一晩家を空けることもあるし、私達が非行に走ったりしないか心配なのだろう。
私もお兄ちゃんも昔から真面目な優等生で通っていて、今まで警察のお世話になるようなことをしたことはないから、ある程度信用されてはいるみたいだけど、それでも心配してしまうのが親というものらしかった。
ちゃんと仕事をして、子供も育てているお母さんを見ていると、親の役目を果たすのは大変だなとつくづく思う。
私がお母さんの年になったとしても、お母さんと同じことはできないかも知れない。
こんなに頑張って育ててもらっているのに、我ながら親不孝だなと思いながらエプロンを着け終えると、私はお兄ちゃんと一緒に流しの前に立った。




