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「だから手伝って欲しいの」

「あ、そういうことなら納得だわ。わかった、手伝うよ。実の妹まで事件の被害者にしたくねえし」


 男に生まれたお兄ちゃんにとっては理解し辛い感覚だろうけど、お兄ちゃんはそう言ってくれた。


 昔から、お兄ちゃんはお父さんに似て優しい。

 

 私がほっとしたところで、お兄ちゃんは切り出す。


「で、あの人を調べるって言っても、どっから手を付けるつもりなんだよ?」

「やっぱり、最初はお母さんの方のおじいちゃんおばあちゃんかな。もしかしたら、お母さんから何か聞いてるかも知れないし」


 お母さんがお父さんの浮気を責めているところなんて見たことがなかったけど、「男は女の浮気に気付かないけど、女は男の浮気に必ず気付く」なんて聞いたこともあるし、お母さんが女の人の影に気付いていてもおかしくはなかった。


 運が良ければ、あっさりあの女の人がどこの誰だかわかるかも知れない。

 

 私がポケットから格安スマートフォンを取り出していると、お兄ちゃんが訊いてきた。


「わざわざじいちゃん達に訊かなくても、管轄の警察署に問い合わせてみれば? もう十年も前の事件だから、担当だった人達も移動になったり、退職したりしてるだろうけど、もしかしたらあっさりあの人のことわかるかも知れねえし」

「そりゃあ、ドラマや映画みたいに親切な刑事さんがいてくれたら、トントン拍子にあの女の人がどこの誰か突き止められるだろうけど、私達そもそも誰が担当してくれてたのかもわからないし、警察の人もいきなり『十年前の事件を担当してた人に会わせて下さい』なんて言われても困ると思うよ? 多分捜査資料を見れば、誰が担当してたのかなんてすぐにわかるんだろうけど、わざわざそんなことしてくれる程向こうも暇じゃないだろうし、やっぱりまずはおじいちゃん達に話を聞くのがいいんじゃない? おじいちゃん達も警察の人から話を聞かれてるかも知れないし、担当してくれてた人の名前とか人相とか覚えてるかも」







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