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 お兄ちゃんの言う通り、関わった人全員が不幸になるだけかも知れないけど、あの人がどこの誰かちゃんとわかれば、多分もう怖くはなくなるだろう。


 たとえお父さんがどんな酷いことをしていたとしても、お父さんはもういなくて全部終わってしまったことだし、ある程度は受け入れられる気がした。


「都合のいい考え方だろうけど、もしかしたらお父さんとあの女の人って、私達が思ってるような関係じゃなかったのかも知れないし、調べてみる価値はあると思うんだよね。もし私達が勘違いしてても、お父さんはもう言い訳の一つもできないんだし、協力してくれない?」

「やだよ。今更蒸し返したくねえもん。何でいちいち俺を巻き込もうとする訳? 一人でも平気だろ? もう子供じゃねえんだし」


 面倒臭そうにそう言ったお兄ちゃんに、私はむっとして言い返した。


「全然平気じゃないよ。むしろ高校生だからこそ不安だよ」

「何で?」

「だって、あの女の人について調べようと思ったら、きっとお父さんの友達にも話を聞くことになるでしょ? お父さんの友達なんてほとんど知らないけど、多分男友達の方が多いだろうし、知らない大人の男の人に連絡取るのって怖いもん。こっちは大人の男の人が、お金払ってでも相手をして欲しがる女子高生なんだよ? やっぱり怖いし、警戒もするよ」


 記憶の中のお父さんは優しくて穏やかな人だけど、如何せんあの時の私はまだ五歳だったから、実際のお父さんと違っていてもおかしくない。


 まだ私もお兄ちゃんも小さかったせいか、お父さんは家に友達を呼ぶことはほとんどなかったし、時々お父さんから話を聞くだけだった。


 「類は友を呼ぶ」なんて言うけど、お父さんが私の記憶通りの優しい人だったとしても、友達もそうとは限らない。






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