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 新聞記事によると、お父さんを刺した犯人は複数犯で、事件の後すぐにその場から走り去ったそうだし、実際私が現場に駆け付けた時には犯人らしい男達の姿は見当たらなかった。


 あの女の人と犯人に関わりがあったなら、女の人も男達と一緒に逃げていた筈だ。


 私が倒れたお父さんに呼び掛けたら、何故か逃げて行ってしまったけれど、あの人はきっと無実なのだろう。


「何で今更そんなこと訊くんだよ?」

「ちょっと、調べてみようかなって思って。もうすぐ夏休みだから時間もできるし、前から気になってたし……」


 いくら兄妹でも、と言うか兄妹だからこそ馬鹿正直に「妖怪や幽霊の怖さを克服するため」なんて話す気にはなれなくて、私は曖昧にそう答えて言葉を継いだ。


「お兄ちゃんだってそうでしょ?」

「まあ、確かに気にはなってたけどさ、あの人のこと調べてどうする訳? あの人が父さんを殺した犯人だって言うんならまだわかるけど、多分何の関係もねえだろうし、調べるなら父さんを刺した犯人の方だろ?」


 お兄ちゃんの言葉は文句なく正論だったけど、ここで黙り込んでしまったら、お兄ちゃんの協力は得られないだろう。


 私は少し考えてから言った。


「……勿論、私だって犯人のことは気になってるよ? でも只の大学生と女子高生でどこにいるかもわからない犯人を見付けるなんて、普通に考えて無理だもん」


 手放しで好きだとは言い切れないけれど、お父さんのことは今でも嫌いじゃないし、犯人が捕まってくれればいいとは思っている。


 でも犯人の見当も付かないのだから、調べたくても調べようがなかった。






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