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「この国では中世以降絵巻という表現技法が確立され、有名な物語や霊験譚などが描かれるようになったのだ。これを享受していたのは貴族層だけだったが、中世も後半の室町時代になると、庶民層にまで拡大し、民間に流布していた伝説や妖怪退治などの物語も絵物語化されるようになった。妖怪に姿形を与えたことで、人間は自らの優位性を確立し、妖怪はただ恐怖する対象ではなくなって、次第に娯楽の対象へと変わって行った訳だな」


 もう高校生だから、専門書を読み上げてるみたいなお兄さんの説明も大体は理解できたけど、ちょっとよくわからないところがあって、私はお兄さんに尋ねた。


「姿形を与えることが、どうして優位ってことになるんですか?」

「姿形を与えることは、妖怪を伝承や説話といった『言葉』の世界から切り離し、名前や視覚的形象によって弁別されるものにすることだからな。それは今の世で言うところのキャラクター化だ。キャラクターというものは、人の手で自由自在に操ることができるものだろう?」

「ですね」


 時には思うように描けなくて苦悩することもあるだろうけど、漫画家やイラストレーターといった人なら、自分で生み出したキャラクターをどんな風にも描けるに違いない。


 そもそもゼロからキャラクターを生み出すことこそが大変で、一番難しい作業だろうから、決して簡単なことではないのだろうけど。






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