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まあ、作者が日本人だから日本人っぽく描いてあるだけで、妖怪は日本人な訳じゃないだろうから、外国人風の妖怪がいてもおかしくはないのかも知れないけど、いろいろとイメージが違い過ぎた。
「こう言っちゃ何ですけど、あんまり『ぬらりひょん』っぽくないですね」
「その名で呼ぶな。我は『ぬらりひょん』ではないし、不愉快だ」
そう言ったお兄さんは無表情で、特に気を悪くした風には見えなかったけど、こんなに綺麗なのに『おじいさん妖怪』呼ばわりされたら、愉快な気持ちになれないのは当たり前だろう。
「ごめんなさい」
私は素直に謝ったけど、ちょっと気になることがあったから、もう少しだけ突っ込んで訊いてみることにした。
「あの、『ぬらりひょん』じゃないってことは、人の家に上がり込んで、誰にも気付かれずにお茶を飲んだりはできないってことですか?」
「人間の認識を誤らせるくらいのことは造作もないのでな、その気になれば首相官邸にも入り込んで茶が飲めるぞ」
「それって、やっぱり『ぬらりひょん』なんじゃあ……?」
私が何気なくそう指摘すると、お兄さんは形のいい眉をわずかに皺めて言う。
「違うと言っているだろう。全く、あの適当な解説を考えた連中のせいでいい迷惑だ」
私はきょとんとした。




