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「ならば、其方の目的は半ば達成されたようなものだな」
急に訳の分からないことを言われて、私は目を瞬かせた。
「どうしてですか?」
「我はこの国で言うところの妖怪で、其方はその妖怪とごく自然に会話しているからだ」
そう言われて、私は反応に困った。
只の冗談の筈だから、ここは笑ってあげるべきなのだろうけど、人間離れした綺麗さのこの人なら、本当に人間でなくてもおかしくない気がして、あまり笑う気にはなれない。
なまじ妖怪めいたものを目の当たりにしたことがあるから、余計に本物かも知れないと思ってしまうし。
私はとりあえず、お兄さんに話を合わせることにした。
「お兄さんは何の妖怪なんですか?」
「妖怪と言ったのは『人ではない』という程度の意味合いであって、『鉄鼠』だの『大首』だのといった、具体的な名はない。ああした妖怪はあくまで人間の想像によって産み出されたものであって、その方が人間にとって都合が良かったというだけのことだからな」
「えーと、つまりお兄さんは人じゃないっていう点では妖怪に分類されるけど、『雪女』や『のっぺらぼう』みたいな、有名な名前や設定の付いた妖怪じゃないってことですか?」
「そういうことだ」




