転生、召喚、再会
ハーメルンとなろうで二重投稿しています
「おめでとうございます! あなたは異世界に転生できることになりました!」
「…………は?」
死んだ……と思った瞬間、俺は見知らぬ白い部屋にいた。
……全く理解が追いつかない。
「更に! あなたは幸運なことに、特別に特典付きで転生できます! 転生する異世界の名は『サモアニア』。召喚で全て決まる世界で、平民であっても召喚次第で英雄になれます! そこで何と、あなたは好きな種族を召喚する能力を貰うことができます!」
まだ頭の整理が付かないまま、目の前の金髪碧眼で淡い水色の髪を靡かせた熟女は次々と「転生」やら「特典」といったパワーワードで俺を混乱させてきた。
「だっ、誰が熟女ですかっ!?」
「うるさい。整理中なんだから静かにしろ」
「なっ!? ……これでもうら若き少女なんですよ! 訂正して下さい!」
どう見たって15歳は越しているだろうが。
「違っ……くない! だとしても熟女じゃないです! 心の中でも言って良い事と悪い事があるんですよ!」
必死な熟女はあまりにも惨めだった。どうやら自らが幼女だと勘違いしているらしい。可哀想な熟女だ。
「幼女でもないんですが……。女神に対して何という言い草……いえ心草。
俺の中で女性は幼女か熟女だけだ。
……と言うかこの熟女、思考が読めるのか。
「今更過ぎますね……。まぁ女神ですから。あといい加減、熟女熟女言うのやめて下さい」
仕方ないだろ? 熟女は熟女だ。
「はぁ……もういいです。あなたの死因は……幼女が横断しているところに遊びで幼女が運転していた暴走トラックが突っ込んできて、それを助けようとした幼女をあなたが助けようとし、運転していた幼女含め3人を救出したものの道を歩く別の幼女に気を取られて轢かれてしまった…………で合ってますか?」
あれは一瞬のことだったので自分でも無我夢中でよく分からなかったが、助けた3人の幼女と道行く幼女は覚えているので、多分合っているんだろう。3人は救えたのか、良かった。
「いえ間違っていて欲しかったです。何ですかあなたの世界、幼女しかいないんですか? 幼女幼女言い過ぎて幼女がゲシュタルト崩壊起こしそうなんですけど」
何っ、幼女しかいないとかそんな素晴らしい世界があるのか!? ぜひ転生してみたいんだが。
「この人もういやです……助けて主神様ぁ……」
熟女が嘆くな、見苦しい。早く進めて欲しいんだが。
「(ピキッ)…………分かりました。なら転生させたいので、さっさと特典を選んで下さい」
えーと、確か好きな種族を召喚できるんだっけ? という事は人間だけじゃなくてエルフとかもいるって事か?
「はい。人間の他にも、エルフ、ドワーフ、獣族、魔族、吸血鬼、妖精、精霊、植物……と好きな物を選んで構いません」
好きな物……アレしかないな。
「幼女を召喚する権利をくれ」
「……今なんて?」
「幼女だ。召喚するなら幼女が良い。幼女以外など召喚したくない」
「……人間種、という事で良いんですね?」
「いや幼女だ。召喚するならば、人間の幼女もそうだが……エルフの幼女、ドワーフの幼女、獣人の幼女、他にも魔族、吸血鬼、サキュバスといった夜の幼女も要る。植物の幼女もいるならば見てみたい」
「……夜の種族を纏めて夜の幼女って言うのやめて貰えません? 卑猥に聞こえるので」
「で、どうなんだ?」
「無理に決まっているでしょう」
はぁ……やっぱ熟女は融通が効かないな。幼女は素直で良い娘ばかりなのに。
「黙れロリコン」
「誰がロリコンだっ!?」
「そこに反応するんですかっ!? どう考えてもロリコンですよ!!」
「違うっ!! ロリコンは幼女に手を出す奴らだが、俺は幼女を愛でるだけだっ!!」
……その後しばらく、熟女神と言い合っていると、突然熟女神が驚愕の表情を浮かべた。
「え……う、うそですよね主神さま…………そんな……」
「どうした熟女神」
すると、俺の熟女発言に突っ込む事なく、その余裕もなさそうな傷心した様子で女神は告げた。
「み、認められました……種族『幼女』が……」
なんだよ。認められるんじゃねぇか。さっきまでの言い争いは無意味だったな。
「み、認められるなんて思えないでしょう!?」
「騒ぐな熟女神。結果を見ろ、これが事実だ」
「ふ……ふぐぅっ」
幼女が泣いていたら慰めるのが常識だが、熟女だと何とも思えないな。
「…………ぐすっ」
だけどまぁ、呼ばれたお陰で転生して幼女を召喚できるんだ。感謝しない事もない。
「……それは口に出して言ってくださいよぉ」
「どの道伝わるだろうが。熟女が嘆くな」
「ふん……もういいです。特典も渡しましたし、転生しますよ」
「ああ」
俺と女神の間に魔法陣が現れ、それが次第に光を増していく。
「それでは……二度と会うことがありませんように」
──折角の人生2回目だ。思いっきり幼女ライフを満喫してやる!
☆☆☆
光が収まると、周囲は薄暗い木で覆われていた。どうやら俺は森の中に転生したらしい。
テンプレだと、この後国の幼女姫が襲われてそれを颯爽と助けたり、さまよう幼女とばったり出くわす訳だが…………周りには人影は愚か、生き物がいる気配すら無かった。
「幼女の『よ』の字も無いな」
だが俺には召喚がある。幼女がいなければ呼び出せばいいじゃない、とある幼女も言っていた。
「よし……幼女召喚!」
そう叫ぶと、目の前に魔法陣が広がった。……一瞬、さっきの熟女神が出した魔法陣を思い出したが……あいつは熟女、今は関係ない。
さてどんな幼女が来るのかとワクワクしながら、光が収まるのを待つ。暫くして光が収まると……そこには、
「……なんで私が元の姿で呼び出されるんですかぁ……主神さまぁ……」
金髪碧眼で水色髪で、どこか見覚えのある幼女が涙目で座り込んでいた。
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