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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

自称勇者

自称勇者で他称魔王 ー呼ばれてないけど来てやったぞー 前編

勢いで書いてしまった。


何も考えずに読める短編を目指して書きました。


 日本のとある山奥に2人の男が居た。


「マオ!テメエだなやりやがったのは!?」


 俺の名は織葉おれは 摩雄まおだ。職業魔法使いをやっている。そしてこのおっさんはワリク・テールと言うヨーロッパから来たベテラン魔法使い。俺の師匠だ。


「うむ、なぜか同じ小説があり、包装したままだったからな。間違えて買ったと思い、返品してきてやったぞ。」


 そう、このおっさん、よく漫画やラノベと呼ばれる物を、複数買ってくるのだ。数百年生きていると言っているが、本格的にボケて来たみたいだ。


「あれは保存用なんだよ!読書用と、保存用!!キチンと魔法を掛けて保管してるんだよ!!」


 なんだ、そうなのか、てっきりボケたかと思ったが、正常だったようだ。まあ、正常の状態が既にボケているようなものだから結局ボケているのだろう。




「それは済まないことをした。『リバース!!』、ほれ、時を戻して返品を無かったことにしたぞ。」


 そういってラノベをもとの形のまま渡す。


「お、おう…お前何でそんな大禁呪を息するように行使できるんだよ?」


 知らん、出来るのだから仕方ないだろう。




 俺は赤ん坊の時、何故かこの自称大魔術師に拾われたらしい。詳しくは知らない、段ボールに入っていたみたいだ。そして、15年間、魔法使いとして育てられた。



「まあいい、お前もこれを読んでみろ、ハマるぞ?」


 師匠から無理矢理ラノベを渡される。だがそんなに読めないので、可愛い絵が描いてあるやつ1冊だけ受け取り、部屋に戻る。


「こんな本1冊によくあんな手間をかけて街に行く。」


 俺は師匠に呆れながらラノベを読む……




















 次の日



「師匠、俺は異世界に召喚されてくる。」


「何を言っとるんじゃお前?」


 ボケ老人から心配される。これほどの屈辱があろうか?


「俺は異世界に召喚されて魔王を倒し、姫を手に入れてくる。」


 師匠にコブラツイストを決めながら宣言する。


「ギブギブギブッ!」



「俺のこの力が役に立つならば…力を使うことに躊躇は無い!」


「いやダメだろ!お前が力使うとシャレにならん!」



 俺の魔法「アカシックレコード」は、神に等しい力を行使することが出来る。これならば次元を超え、ピンチの国に召喚させることが出来る!



 師匠が必死に俺を止める声が聞こえるが、そんなものでは俺の意思を覆すことは出来ぬ。


「師匠、今まで本当にお世話になりました。きっと世界を救って帰ってきます。」


「もうお前帰ってくるな!!」










 そして俺は早速魔法を使い、次元の窓を眺める。どこかに俺を必要とする可愛い姫はいないものか…










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「はぁ、これでひと段落しました。」


 近隣諸国との外交の旅を終え、帰ってきたら書類が溜まっていました…それを国王である父と王太子の兄の代わりに処理します。何とか徹夜で片づけることが出来、ようやくベッドの中で眠ることが出来ます。まだお昼過ぎですが、わたくしは休むのです!



 初めまして。フラワ皇国第一皇女リリィ・エンパイルです。この春18歳になり正式に成人となりました。ちなみに未婚です…婚約者も決まっていません…






 このフラワ皇国は、近隣の3カ国を含む皇華連合をまとめる盟主国です。そのため、このような外交は割と頻繁にあります。元々は、シザー帝国に対抗するために対等な関係で同盟を組んだのですが、我が皇国の歴代皇王家の女性達が非常に優秀だったため、同盟4カ国の中で最も大きな力を持つことになりました。皇王家の男性?ごく潰しです!


 言いすぎました…しかし、不満があるのです。彼らには確かに女性にはないカリスマを持っています。ええ、父も兄も大変多くの国民や家臣に慕われています。有事の際には国内や連合をまとめるのにこれほど相応しい王はいないでしょう。


 で・す・が!書類仕事のような事務処理となると、途端にポンコツっぷりを発揮してしまいます!



 宰相含む家臣達には、私達、皇王家は女性しかやらないでくれと嘆願されています。少なくとも数百年前から…歴代の皇后様達が何とかしようとしましたが、解決することは無かったのです…




 そして最悪なことに、皇王になれるのは、男性だけなのです。なので、兄が早く息子を作ってくれないと、後継ぎ問題により、私が結婚することが出来ないのです!歴代の皇女達は行き遅れないかというプレッシャーと、国の運営というプレッシャーで、常に胃を攻められる生活を送っているのです。理不尽すぎますわ!



「はぁ、問題が山積みです…」


 寝るつもりだったのに、ついつい国の未来を考えてしまい、なかなか寝付けません。


・最近動きを見せる帝国

・魔物の氾濫の兆候

・軍事力の拡大と、軍事費の削減の調整



 一つだけでも考えるのが嫌になるのに…しかも細々とした問題は無数にあります…




「はぁ、何もかも一発で解決してくれるわたしだけの王子様はいらっしゃらないでしょうか…」




 我がフラワ皇国は、現人神あらひとがみが建国したと伝えられています。そして、歴代の皇王家の血を引く女性は、清らかな乙女であるならば、この神通力を身に宿していると伝えられています。


「伝えられているだけですけどね…」


 そして、いつか皇都の広場にある神剣を使うことが出来るものとともに国を導く定めを持ちます。こういう理由もあり、皇王家の血を引く女性は、なかなか婚約者も決まらないのが現状です。しかし、優秀な女性が多いため、


「男子は少な目、で女子はいっぱい、産めよ増やせよ」


 と言われています。女性を何だと思っているのかしら…




「いけないいけない」


 あの能天気な父達のことを思い浮かべると、どうしても愚痴っぽくなってしまうわ…


「早く寝なくては、ただでさえ肌が荒れ気味なのに…はぁ…」


 そして私はようやく眠りに付けました。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「うむ、決まりだ。彼女に召喚されよう!」


 ハッキリ言って俺の好みだ。俺も16歳(多分)の男だ。女の子に興味津々だ。どうせ助けるなら好みの娘が良い。早速召喚されてみよう。



「あ~あ~、リリィさん聞こえるか?」


 俺は彼女の夢の中に魂を送り、語り掛ける。


「貴方は…何方どなたですか?」


「あなたが国のためを思って行動しているのは見ていた。そして、山積している問題を解決したいとも。俺が手伝おう。」


「まぁ、貴方が私の勇者様ですの?であれば助かりますわね。」


「ふむ、ならば俺を召喚してくれ、乙女のあなたなら、その身に宿る神力で召喚できるだろう?」


「それは無理ですわ、私にそのような力が有るのか分かりませんし、実際これまで使えたことなどありませんから。」


「ならば俺の力であなたの神力を操作し、召喚されよう。」


「ふふふっ、殿方にそこまで言って頂いたのは初めてです。ありがとうございます。そろそろ起きなければなりませんわ、先ほどはああ言いましたが、神剣を持つものでないと勇者を名乗れないのです。それに、やはり国を導くのは我が皇王家の使命、そして、フラワ王国の発展はフラワ王国の力でしていきます。」


「ふむ」


「夢の中とはいえ、お話しできて嬉しかったですわ。ありがとう、私の勇者様。それではご機嫌よう。」




 そして彼女は消えて行った。


「ますます良い女だな。よし、ならば無理矢理にでも召喚されよう!」


 彼女の魂の色は覚えている。ならばそれを操作する!



「ハアアアアアアァァァッ!!!」


 俺は魔法を行使した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「久しぶりに夢を見ましたわ、あんなことを言ってしまうなんて、少し疲れているのかしら?」




コンコンっ


「皇女様、お目覚めでしょうか?」



 私の世話係が、丁度いいタイミング出来ました。身支度をする為に準備を頼み、時間を余り掛けずに、でも丁寧に整えます。さて、仕事の時間ですわ!










「リリィ様、お疲れのところ申し訳ありません。」


「いいえ、これも私の務めです。」


 この方は宮廷魔術師のアイン大師、私の補佐も務めて頂いています。


「では早速報告いたしますぞ、北の森から、やはり瘴気の漏れを確認、魔物の数も増えているとの報告がありました。それに伴い、防衛軍の編成を仮指示しています。」


「分かりました。許可します。書類はこれでいいかしら?」


「はい、ありがとうございます。」




「ハンターギルトには依頼は?」


「それも出してあります。そして、依頼の報酬額は○○ほどにいたしました。」


「皇王家の私財から追加で出し、△△△に訂正しなさい。ここで出し惜しみすれば、彼らの士気に関わります。結果、さらなる被害が出ては本末転倒です。」


「承知いたしました。」



 はぁ、お金も無限にある訳では無いのですが、使い道を間違わないようにしないと効果は半減以下になってしまいますからね…



「大分お疲れのようですな…」


「せめて父上や兄上が…いえ、何でもありません。」


「仕方ありますまい、こういうことは皇女様達の方が向いておりますので…パトリック皇子は、軍の士気向上と訓練に力を入れております。」


「…兄上はまさか出陣しようなどと申しては居りませんよね?」


「…その時は手荒な手段を使ってでも止めますので、ご心配なく」


 兄上は脳筋ゴホンッ、真っ直ぐなところがありますので、時には心配になります。


「はぁ~お母様はまだ戻ってきていないのですか?」


「皇后さまはあと1月ほど外遊の予定です。」


「そういえばそうでしたね…」




 今代の女性皇王家は私と従妹のブロッサム公爵家のチェリーのみ、しかも彼女はまだ16歳、あまり仕事をさせずに学生生活を今のうちに満喫させてあげたいので、実質私一人のみ…



「…家出しようかしら…」


「やめてください!!?国が潰れます!!!」


「冗談ですよ。それにあなたたちが居ますので、簡単には国は潰れません。」


「心臓に悪いのでやめてください。宰相が聞いたら気絶しますぞ?」


 宰相は別の部屋で大臣達とデスマーチ中です。確かに彼らに気絶されたらどうにもなりませんわ…


「文官の育成はどうなっていますか?」


「貴族の新成人を10名ほど採用しましたが、まだまだ戦力になるには半年はかかります。」


「さらに追加で20人程してください。学園には優秀な平民出身の生徒もいますね?彼らも積極的に採用しなさい、雇用の創出にもなりますし、努力次第で出世できると、国民の労働意欲も刺激できます。くれぐれも公平に扱ってくださいね。」


「はっ」


 さて、また事務処理が増えますが、今無理しないと、あとで取り返しがつかないことになりますからね…私は背伸びをし、体をほぐします。すると違和感が…



「む?姫様?何か妙な魔力が…」


「なんですの?…?!体が勝手に!!」


 なぜか体が勝手に動きます。


「姫様?!」



 何とか体を動かそうとしますが出来ません。そして勝手に声が出ます。



「われの呼び出しに答えよ、古より伝わる英雄よ、汝の力を用いて我が前に立ちはだかるものを打ち砕け、その代価はこの身で贖おう。我が望みを叶え給え、異界召喚!」



 体から急に力が抜けてゆきます。そしてその力は次第に形作っていき部屋の床に魔方陣を描きます。


「これは!?伝説に伝わる勇者召喚の義!!姫様なぜこれを!?」


「分かりません!!勝手に体が動いたのです!!」


「すさまじい魔力の本流です。姫様、床に伏せてください。」



 異常はすぐに外に伝わり、兵たちが駆け寄ってきます。しかし、この凄まじい魔力風により、彼らは近づくことが出来ません。


「キャアアアアッ!!」


「ッ!!!」



 そして魔力がはじけ、光が満ちます。


…………………


「フハハハハハハハッ」



 笑い声が聞こえ、目を開けるとそこには一人の男性が立っていました。








「呼ばれてないけど来てやったぞ。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 リリィ皇女を操り、見事異世界召喚を「させる」ことに成功した。召喚された話は多々あれど、召喚させた話は聞いたことがない!つまり俺が世界初!!これが優越感だ!!



「フハハハハハハハッ」



 俺の高笑いが響く部屋には、動きの固まった皇女と爺さん、そして、鎧を着た兵隊たちがいた。その鎧来たら逆に動きにくいだろ?


 そしてリリィ皇女の方を向き


「呼ばれてないけど来てやったぞ。」



 美少女の呆け顔はなかなか見れないな、可愛いぞ!


「あ、あなたは…」


「うむ、異世界召喚されたかったのでな、困っている可愛い子を探して、夢の中で人物像を見極め、そして召喚させたのだ!」



「…助力は必要ないと申したはずですが?」


「…あれ?異世界召喚されたかったと今伝えたはずだが…?」


「……」


「……」




「な、何者だお前は!?」


 すると爺さんが立ち上がりこちらを睨みつける、兵士たちもいつの間にか俺を囲む。


「うむ、世界最強の勇者だ!」


 なんせ勇者召喚だからな!間違いなく勇者だろう。中二病?あんなのは無能がやるから痛いのだ。俺のように真に強ければそれはカッコよさに繋がる!




「何を訳の分からぬことを…この狼藉者をひっ捕らえよ!!」


「「「「「応!!」」」」」



「バインド。」


「「「「「ギャアーッ!」」」」」



 なんだこいつら、弱すぎだろ…次鋒、レオパ○ドンか?

 



「なっ!我が国の精鋭たちが…」


「いや、ただ影で縛っただけだろう…」


「おのれ…ファ「ふんっ!」


「ぐわーーーっ」


 俺は爺さんをけり倒してキャメルクラッチを掛ける。


「何故こいつらは勇者の俺を捕まえようとしたんだ?解せぬ…」



「そ、その手を放しなさい!」


「分かった。」


「え?」



 俺は彼らを解放する。



「何を驚く?俺はあなたの味方だぞ?態々あなたを守ろうとした彼らを傷つけたくはない。こちらに向かってきたので拘束しただけの話だ。」


「そ、そうですか…」


「ではあなたの悩み事を聞こう。」


「…はい…」














 ふむ、魔物の氾濫ね…


「それはそれ程脅威なのか?」


「はい、過去に現れたのは5000を超える群れでした。1対1体は兵士3人で対抗すれば無傷で倒せるのですが、流石に数が多いのです。中には特殊個体もいて、こちらは通常個体とは隔絶した力を持ちます。30年前の氾濫では

7000名に及ぶ死傷者が出たと記録されています。」


「では、どれくらいの周期で起きる?場所は決まっているのか?今回と前回以前に違いなんかはあるか?」


「およそ50から100年周期で起きると言われており、場所はここから北に100kmほど行ったところにある『死の森』と呼ばれる大樹海から発生します。確かに時期としては妙ですが、実際兆候があります。」


「100km?そんなに離れていてここに来るのか?それに死の森?それに30年しか経っていないのに、早過ぎだろう。」


「はい、彼らは何故か真っ直ぐにここに来ます。死の森とはその昔、邪神メビウスとその眷属ゴッドデュラハンを、我が国を建国した現人神、アダムが封じた場所と言われています。」


「…ならば夢の中で言っていた神剣が目的なのではないか?」


「「!?」」


「?神剣と言われる物なのだから、そんなに数は無いのだろう?それにそのような経緯で封印されたのならば、復讐の為にそのアダムとやらを狙うのではないか?彼がもういないとすれば彼の使っていたその神剣の気配を追ってここまでくると考えるのが自然だと思うが…」


 俺の読んだラノベにはそう書いていた。



「…そうだったのですね、アイン大師、すぐにその可能性があると会議を開きます。そして、彼の神剣を手に出来るものを、至急探し出すのです。」


「はっ!」


「まて、神剣ならば俺が抜けるかもしれない。なぜなら俺は勇者だからな!」


「「……」」


「どうした?」


「いえ、マオ様今からすぐに向かいましょう。」


「ああ」


「姫様…」


「大師、行ってまいります。」


「はっ、お供にソフィアを連れて行ってください。」


「ソフィア?」


「はい、大師のお弟子にして、『剣姫』の二つ名を持つ私の近衛部隊の者です。」


「分かった。」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 あれが私の中にある神力ですか…マオ様による切っ掛けで(強制的に)感じることが出来ました。そして、この力を私を通して操ったマオ様は本当に真剣を扱えるのではないのでしょうか?であるならば、数百年ぶりに神剣を使える伝説の剣士が再臨したということになります。


「姫様、申し訳ありません。私が姫様のお傍を離れているときに…」


「私があなたに任務を言い渡したのです。貴方に責任はありません。そんな顔しないで」


「姫様…しかし、あの男がもしあなたに何かすれば…」


「…操られていたとはいえ、私の口からあの方を呼んだのです。意識が無かったならともかく、意識があったにもかかわらず操られるというのは私の精進が足りない証拠、全ての責は私にあります。それに、あの方は悪い人ではないと思うのです。あの方の魂はとても澄んでいる。彼ならばもしかすれば現状を変えてくれるのかも…」


「姫様には危機感が足りないかと、具申させていただきます。」


「ふふっ、ありがとう、貴方はいつも私のことを考えてくれますね。」


「当然です。姫様に救われたこの命、我が生涯にかけて、必ずやこの恩を返させていただきます。」


「もう、あなた自身の幸せも考えてくださいね?」








 美少女と美女がキャッキャウフフしてる。魔法があって良かった。なければ確実に殴りたくなる顔になっているな。むっ?妙な気配を感じる…あれが神剣か…


「あちらにある岩に刺さっているのが神剣アプリコットです。アダムが封じて以降、誰も使用出来なかった剣です。」


(久しぶりねリリィ、貴女がここに来るなんて珍しい。)


 彼女は私にしか見えない、神剣の精霊です。


(ご機嫌ようアプリ、彼が今回の挑戦者です。)


 今まで何人もの人がアプリを抜こうとしましたが、誰も認められることがありませんでした。


(うーん、この子も無理だと思うな?アダムみたいな力を感じないもの…)


(そうなのですか?)


(うん、私がアダムと初めて会ったときはビビッときたの!でもそれ以降そんな風に感じる人はいなかったの…)



「では行ってくる。」


「…はい。」


 まあ、アプリがそう言っているのでとても抜けるとは思いませんが…周りには私が連れてきた者が挑戦するということで人だかりが出来ています。


 そして、そんな彼らにソフィアは警戒しています。でも国民にそんな目を向けるんじゃありません!




「ではやるか、ふんっ!」


 マオ様が力を込めて神剣を抜こうとします。しかし、ビクともしません。


「ぬぬぬぬぬっ」






「駄目みたいですね。」

「我が国の宝剣をあのような得体の知れない者が使えると思うことが間違いなのです。」

「失礼ですよソフィア。」

「申し訳ありません。」


 ですが、少しホッとしています。あの件を引き抜くということは、必然的に私の嫁ぐ相手であるということです。さすがに急にそんなことになると、私も受け入れる準備が出来ていないというか…いつかそんな相手が現れるのでしょうか?



「ふぅ…このままでは無理だな、時にリリィ皇女、一つ訪ねたいことがある。もし剣を抜けたとして、鞘はどうするのだ?」


「鞘でございますか?もしそのようなことがあれば、この国一番の鍛冶師に作成を依頼することになると思いますが。」


「マオ殿、捕らぬ狸の皮算用は止めた方がよろしいと思います。」



 全くソフィアったら、そんな言葉遣いをしているから未だ嫁の貰い手が無いのですよ?


「ふむ、それもそうだな。時にソフィアさん、俺は貴方に何か不快な思いをさせてしまったのだろうか?なぜか貴女が不機嫌だと感じるのだが…」


「…それは申し訳ありません。元々こんな性格なのです。もし、貴方がその神剣を抜くようなことがあれば、私も貴方にもう少し優しくなれるよう努力いたしましょう。」


 まぁ、ソフィアったら、そんな言い方は余計な衝突を生んでしまいます!後で話し合わなければならないようです。


「そうか…まあ、リリィ皇女と同じくらい美人の貴方に優しくして貰えるのならば、俺も張り切れるな!」


 マオ様ったら本当にうれしそうに笑います。あの笑顔は少し応援したくなりますね。


「うっ…そのようなことはありません///」


 おや?ソフィアったら褒められなれていないせいか、赤くなっていますね。まぁ、あんな純粋に受け取られたら少し気まずくなるし、あんな嬉しそうにされたら嫌な気はしないですものね、ふふっ。




「ならば俺も本気でやる。」


 そういって再度剣のつかを握ります。そして、あの方に物凄い濃密な魔力が集まります。


「「!!!?」」


「ふぬぬぬぬんっ!!!」


(やあああああぁぁぁ、何この子!!?ものすごい力!!!」



「ぐぎぎぎぎぎぎぎっ!!!」


 あまりに強力過ぎるその身体強化の術と、神剣の封印がぶつかり合い、物凄い地響きが起こっています。


「きゃっ!?」

「姫様!」



「うううううぅぅぅぅぅおおおおおりゃああああああああ!」


ボゴッ


(いやああああああ)



 そしてなんと岩ごと神剣を引き抜いてしまいました。





「うむ、これで鞘を用意する必要はないな。」






「「「「「「「「「………」」」」」」」」」





 周りの人を含めて皆唖然とします。



「なぜ黙っているんだ?…!そうか、こんな大きい岩が付いていたら通行の邪魔だな!」



 いえ、そういう問題ではありません。


「えい、ほっ、とりゃ!これで問題ないな。」


 引き抜いた地面を、凄まじい風魔法で切り落とし、剣の周りに10㎝ほどの岩を残し、天然の鞘?を作ってしまいました。いえ、分かっているのです。あれは鞘ではありません。岩です。


「そしてこの岩が埋まっていた穴を、ほれっ、よし、これで元通りだ。ソフィアさん、これで優しくしてくれるか?」


「……あ、はい。」


 ソフィアも付いていけてないみたいですね。分かります。


「よし、神剣も手に入れたし、帰ろうか。」


「「はい…」」


 あまりに無茶苦茶過ぎて何も言えません。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 俺は無事神剣を手に入れ(入れてないから!!)なんか聞こえたな…まあ、城に帰っているんだが、リリィが顔を赤くしたり青くしたり、ソフィアがずっとハニワみたいな顔になっている。まぁ可愛いな!



(ちょっと君おかしいよ!こんなの使い手なんて認められない!!)




 ふむ、幻聴が聞こえる。まぁ、無視でいいだろう。



(ねぇ、ちょっと!聞いてるの?!)


「これで森の魔物の氾濫を止めればいいのだろう?」


「ええ…そうですね…」


「分かった、ちょっと行ってくる。」


「お待ちください!そんなポンポンと非常識なことをされても付いていけませんわ!今日はもう休みましょう?!」


「ええ~やだぁ。」


 面倒なことは早く済ませたい。やる気がある時にやらないと、全然やらないんだよな。未だに小二の頃の宿題残っているよ…




「と・に・か・く、今日はもうお休みください!いいですね!!」


 リリィ皇女が物凄いどアップで来る。やっぱり美人だね。思わず俺、顔が赤くなっちゃうよ…


「まぁ落ち着いて、そんな可愛い顔を近づけられたら困っちゃうよ。」


「なっ?!///何を仰ってらっしゃるのでしゅか?」


 うむ、そこまで言うのなら休もう、そろそろ5時か…!?しまった。



「よし!急いで帰るぞ皇女!!」


「え?え?どうしたのですか急に…」


「駄目だ、気づいてしまったのなら、早く行かねば…失礼!」


「きゃっ///おお降ろしてください!!?」


「ソフィアさん走れ!!」


「え?あ、はいいぃぃ!??」



 そして、俺はリリィをお姫様抱っこし、速攻で城に帰った。どこかにいい部屋は無いかと思い、リリィの部屋に案内してもらった。



「なっ!?私の部屋に何故くる必要があるのです!?」


「貴様!!やはり姫様を!!?」


「うるさい!!」


「「キャアアアアァァッ?!」」




 俺は二人をバインドで縛り、空中に吊り上げる。

































「うぐっ…む…むぐぅ…」


「ん……うんっ……んっん~…」







 俺は今汗をかいている。ベッドの上で…神剣を抜く時にもこれほど汗はかかなかった…



 俺の目の前にはほとんど裸な二人が居る。そして、思いっきりぶつかり合う、お?今のは良いのが入ったな。



「んんーーーっ」


「あっ…あむっ…」



 パンパンッと、肉をたたく音が聞こえる。そして腰に手を回す。そして、相手を押し倒す。



「ん…」


「むむっ…んんんっ…」












 行事が勝ち名乗りを上げる。やはり大相撲は迫力が違うな!あの一瞬の駆け引き、見ているだけで手に汗が…、あ、二人はうるさいので縛り上げて宙に浮かす。地面に置いておくと暴れてバタバタうるさいからな。俺は静かにテレビが見たいのだよ…






パチンッ


 二人を解放した。



「一体何をするのですか?!」


「貴様!ふざけるな!よくもこんな辱めを…///」



「いや、だって五月蠅かったから…俺静かにテレビを見る派なんだよね。」


「その面妖な魔道具を眺めるのは良いのですが、何故私の部屋で見るのです!!」


「俺はテレビを見る時は、ふかふかのベッドに寝そべって見なければ気が済まないんだ…」


 誰だってあるだろう?そういうこだわり。



「だからって…あんな…///」


「うぅ…ただでさえ行き遅れているのに…もうお嫁にいけない…」



「??二人ともまだ若いよね?何故行き遅れるんだ?!」


「嫌味ですかそれは?私はもう18です!成人しているんですよ?!」


「私は20になりました…もう…完全に…」


「まだ18と20だろ?全然俺はありだけど?」


「「なっ///」」



 昨今の日本では40で結婚する者、50で子供を産む者までいるんだ。まだ高校生と大学生では若すぎるぐらいだ。


「あ、あなたっ~~~うぅ///」


「そ、そんなことを急にぃぅな…///」





 相撲を見ながら飯を食ったし、魔法で体の汚れを落としてさっぱり、歯磨きも完璧だ。


「じゃぁ寝るよ、おやすみ。Zzzzz」



「「好き勝手しすぎだろ!!」」





マオはやりたい放題

後編は明日の6時に予約投稿してます。




あと、こちらも連載しています。



シリアス×コミカル 悪役令嬢えんざいかのじょのヒーローは、とある世界の廃課金者せんしです。


https://ncode.syosetu.com/n0067en/

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