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帰還勇者のための休日の過ごし方  作者: 一条由吏
超感覚探偵のエアポート滞在記
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第7話 凄いと言われても困る

お読み頂きましてありがとうございます。

「なあタマ。怒るか?」


 テロリストの1人はボールで脳震盪を起こし、もう1人をノック用の金属バットで足を払って黙らせた後、1分間に数十発の機関銃が僕に向けられた。敵だと認識されたらしい。


「バケモン!」


 平然と弾を受け続ける僕に向って1人のテロリストが呟く。


 それでもあまりにも攻撃手段が無さ過ぎる。金属バットは既に穴だらけだし、1度『箱』スキルからボールを取り出し投げたらボールも穴だらけにされた。そうは言っても弾丸の反動で相手にも近づけない。やっぱりパン切り包丁を出すしか無いのかな。


 万が一、テロリストを殺してしまっても過剰防衛で告訴されないという保証が日本の法律に無いからな。やっかい過ぎるだろう。


 これだけは使いたく無かったんだが仕方が無いな。


「呪われろ!」


 僕はそう言って、首筋から頬に向って切り上げる仕草をする。


 その途端、テロリストたちは武器を放り出して何もない空間に向って指差し何かを叫んでいる。霊体が見えるようになったらしい。自分たちが殺した何十体もの霊体に襲われて蹲っている。


 そこに4階から成田国際空港警備隊が雪崩れ込んできた。


     ☆


「お呼びですかご主人様。」


「ゴメンな。タマ。犬神の力を使ってしまった。」


 本当は僕かタマが死ぬまでこの力は封印しようと思っていたのだ。なのにこれといった決定打に欠ける僕はこの力に頼ってしまった。


「何を仰います。ほらこの霊たちを見てください。しもべになりたいそうですよ。貴方が正しい行いをした証拠ではないですか。」


 悪霊となって塊になっていた霊体はテロリストたちに付いていってしまったが霊体の形がハッキリと見えた数十体の霊たちの半分は気が済んだのか消えたし、もう半分は僕についてきているのだ。


「やっぱり、このひとたちって僕についてくる気なの?」


「大丈夫ですよ。ご主人様が感覚で解る方向に居る霊体に対して神経を集中しないかぎり見えないですから。」


 嫌なことを言われてしまった。第6感が備わってしまったらしい。感覚的に霊体が居る方向が解るようになってしまったようである。確かに意識を散らせば解らなくなるのだが嫌なものは嫌だ。


 僕は1体の霊体に近付いていく。凝視すると霊体の生前の姿が見えてくる。若い女性らしい。


「なあ。成仏してくれないかな。成仏すれば転生するって神さまは言っていたよ。だから、なるべく早いほうがいいと思うんだ。」


 こうなったら、説得するしか無いと思った僕は霊体に話しかける。


 異世界召喚されたときに情報を収集したところによると成仏した霊体は必ず転生するらしい。それまでの行ないによってその転生先が人間じゃないこともあるらしいが、天寿を全うせず今回のような突然の死を迎えた場合は優先的に人間に転生できるらしい。


 1ヶ所で多くの人間の命が失われたといっても数十人規模だ。神さまの仕事が追いつかないということもないだろう。これが地震とかで一度に数百人規模で亡くなってしまうと異世界へ転生させることもあるのだそうだ。


 その女性は首を振り続ける。さらに凝視続けるとその人の名前も浮かび上がってくる。


「ねえ圭子さん。お願い。この通りだよ。」


 目の前で拝んでみる。


『やめてください。』


 突然、頭に声が聞こえてくる。目の前の女性の口の動きと合っているから、霊体が伝えてきているらしい。


「ご主人様。凄いです。今まで霊体と話ができる方はいない。私を調伏して壷に押し込めた人物とも会話できなかったのに。」


 おいおい『超感覚』スキル。そんな方向へチートすぎる能力を発揮しないで欲しかった。


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