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つまらない。つまらない。もう飽きたよ。
【ダイジェストってやつ?】
朝、6時に起き、7時45分の電車に乗る。
お揃いのモノクロカラーの服を着た見ず知らずの人々と顔を合わす。
8時30分、いつもの椅子に座る。
息をするだけの時間が過ぎ。
18時50分、また電車に乗る。
繰り返しの日々。
そんなつまらない毎日を歌にしてみた。
20代後半の青年が贈る歌に惹かれ
今宵も駅前は煌びやかなステージに変わる。
青春を終えた男の悲しいサクセスストーリー。
【プロローグ】
午前6時10分。
甘い香りを漂わせ、ベッドに横になる。
五月蝿いベルを鳴らす憎めないあいつを止めて
唯一、心落ち着かせることが出来る大切な時間。
午前7時15分。
身支度を終え、自転車に跨り駅に向かう。
今日も一日が始まってしまったと痛感し、小さな絶望が僕を襲う。
午前7時45分。
電車がホームにやってくる。
僕を迎えにやってくる悪魔の使い。
いつもはこれに乗るがこの日は違った。
僕はホームに足を滑らせてしまい、線路に叩きつけられた。
強い衝撃に意識は遠のき、音だけが近付いてくる。
激しい音と共に僕の物語は終わった。