チョコミント
初投稿です。つたない文章ですが、よろしくお願いします。
「チョコミントってさー」
「うん」
「何が美味しいの?」
青に近い緑色のアイスクリームを頬張る彼女にそう尋ねると、肩をすくめて首を左右に振りながら「わかってないなぁ」と言ってきた。
「ミントの清涼感とチョコチップの甘さと食感、このハーモニーが至高なんだよ」
「ふーん……」
時折変な言動をする彼女だけど、特に酷いのがこのチョコミント好き。
どのくらい酷いかと言えば、トリプルのアイスを全部チョコミントで注文するくらい。私はもう見慣れたけれど、いつも店員さんが戸惑って何度も確認してくる。
それにせっかくのトリプルキャンペーンなのに違う味を楽しまなくてどうするの、と聞いたところ「ダブルの料金でトリプルの量のチョコミントが食べられるんだよ!?爆アドじゃん!」と言ってきた。爆アドってなに。
挙句、この前彼女の家に泊まったときはなんと歯磨き粉までチョコミントだった。
チョコミントは歯磨き粉の味がして苦手、と言った私に対してあんなに怒ったのに、これはどういうことなんだと問い詰めると
「チョコミントが歯磨き粉なんじゃないんだよ、この歯磨き粉がチョコミントなんだよ!」と意味不明なことを言い始めたので無視した。
「やっぱり私にはチョコミントの美味しさはわからないなぁ……」
「むぅ……こんなに美味しいのに」
頬を膨らませて拗ねる彼女はとても可愛いけど、それでもやっぱりチョコミントは苦手だ。
「あ、食べ方を変えてみたらおいしく感じるんじゃないかな?」
「食べ方?」
「そうそう、例えばー」
そう言ってチョコミントのアイスを口に含んだ彼女は、いきなり私にくちづけをしてきた。
突然のことに対処できなかった私は、顔をしっかり押さえつけられて唇を触れ合わせる。
徐々に彼女の舌が唇をこじ開けて、私の口腔に入り込んできて
彼女の体温で溶けたチョコミントと、唾液が混ざってぐちゃぐちゃになる。
どろどろに甘くて、少しだけ清涼感があって、その感覚が私の脳みそをアイスのように溶かしていく。
そうやってチョコミントをたっぷり味わわせられて…薄緑色の橋をかけながら、ゆっくりと彼女の唇が離れていく。
「こんな風に、ね?」
してやったり、というような顔をしながら彼女は言う。
「いきなりなにして……っ!」
彼女を睨んでみても、どうしようもなく顔が熱くて。真っ赤な顔では威嚇することなんてできるわけがなくて。
「美味しくなかった?」
にやにやとした笑みを浮かべる彼女に、そう問われても、あんな恥ずかしいことをされながらじゃ、味なんてよくわからなくて。
「……わかんないっ!」
赤くなった顔を見せないように、視線をそらすことしかできなかった。
でも
「じゃあもう一回、する?」
「……する」
あのチョコミントは、少なくとも嫌いじゃなかった。




