プロローグ
どうも、abyss 零 です。なんか自由度の高い作品を書きたく思いましたので書きました。今回は、そのプロローグです。
ふと時計を見た時、秒針が一瞬だけ止まって見える、もしくは秒針の進みが妙に遅いように見える瞬間を、誰しも経験したことがあるのではないだろうか。この現象の正体は『クロノスタシス』という錯覚の代表例で、端的に説明するなら、眼球が特定の速い運動をした際に起こる時間の認識の遅延ということだ。
錯覚。つまりは脳の勘違い、誤作動といったところか。どうでもいいことを付け加えるなら、このクロノスタシスという言葉はギリシャ語で『時間』を意味し、またとある神話において時を司る神『クロノス』と。『持続』という意味を表す『スタシス』という単語とを複合させた造語ということらしい。
人はそう、無意識下で自らに流れる時間を遅めたり、あるいは止めたり出来るのだ。一瞬ながら。刹那ながら。
結論として何が言いたいのかというと、人間はその気になれば時間を止めることが出来る、ということだ。突飛な話ではあるのかもしれない。突拍子もない話ではあるのかもしれない。しかし。しかしだ。それでも人は、時間に干渉できるのだ。
時間――それはこの宇宙において、およそ不可侵絶対の概念である。この時間という概念に勝る現象はと言えば重力や光くらいだ。時空間を歪めるほどの重力、時空間を跳躍するほどの光速。でもそれでさえ理論的な考察の域を出ず、実際に観測はされていない。そもそも、時間の流れとは不可視なのだから、それに影響を及ぼす事象を可視化できないのも摂理というものなのだが。
時間。不可侵の概念。時間に干渉できる人間は、たとえ自己という限定された対象にしか干渉できなかったとしても、ある種、神と形容できるのではないだろうか。時間を司る神もいるわけだし。
つまり僕は神だ。
気軽に、気ままに、ふと思い立ったその日に最新話が更新できるような、そんな作品が欲しいなあと思い、生まれた今作です。愉快なキャラクターたちの、楽しい物語をお楽しみくださいと、そんな感じで銘打っておきます。
また、今作以上に力を入れている『ALTERNATIVE~オルタナティヴ ~』という作品も現在連載中ですので、ご縁がありましたらそちらもよろしくお願いします。